再生可能エネルギーの重要性は、ますます認識されて、国民のだれもが普及促進には、大賛成の立場である。
しかし再生可能エネルギーといっても、現在は、「電力エネルギー」だけが突出して取り上げられて、社会の話題に上がるばかりである。
太陽光発電が、20年前には一部の篤志家が、自宅の屋根に設置していただけであったが、今では、一般の国民にも理解が進んでいる。
その設備コストは割高で、技術的には未開拓の段階であったから、今よりも、10倍も高い発電コストであったが、技術革新がすすめられた。
そして今では、「再生可能電力の固定価格買取り制度」[FIT]の影響もあって、普及が大幅に進んだ影響で、発電コストは目標の2倍程度に下がっている。
もう10年もしたら、[FIT]による助成制度も必要がなくなって、他の電力コストと同等以下になり、経済原則に沿って、着実に普及が広がるであろう。
現段階までの普及に必要な技術開発や、量産効果が生まれる規模への拡大は、電力消費者の料金上乗せにお金によって、支えられてきた。
このお金が助成される制度があったからこそ、30年程度で、独り立ちできるエネルギー技術に育成されたのである。
これが、「石油の代替になるバイオ燃料」となると、政府による助成制度は、まったく不備の状態である。
経済産業省の官僚が、長期展望にもとずく技術開発戦略をおろそかにして、欧米の後追いの研究に、補助金を出して失敗を繰り返してきた。
バイオ燃料だから、農水省も所管するとして、それこそ、思いつき的な研究テーマに、申し訳程度の補助金を出しては、無駄使いを繰り返すだけであった。
これは、再生可能エネルギーの将来性について、確たる目標も戦略も練らないママに、欧米の真似をしようとしているからである。
再生可能エネルギーで、電力エネルギー分野の技術開発促進策については、各種の補助政策が実施されてきた。
2000年には「新エネルギー特措法」によって、一定割合の「新エネルギー電力」(太陽光、風力、小規模水力)が、電力会社での買取り義務付けが実施された。
これは、電力消費者の料金負担で、再生可能電力の事業者のリスクを減らす目的で法制化されたが、電力会社の抵抗で義務量を低くしたので失敗した。
だが、2000年の初頭に制度化に挑戦した成果が、2012年には実を結んだ。(続)