庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

原子力エネルギーは国民の期待「環境立国」に沿えない。

2010-02-26 | 核エネルギー・原子力問題
中長期のエネルギー政策が、経済構造の再構築の計画に欠かせない課題である。
新政権での見直しが、5カ月近くもたってやっと表面に浮上したという状況だが、遅すぎる感じが否めない。
その中で、原子力エネルギーを将来にわたってどう扱うかが、重要な分かれ目である。
燃料のウラニウムは枯渇性の資源であり、全量輸入依存である。
エネルギー自給率を重要視するならば、原子力は輸入エネルギーであり、現状での国内自給率は4%にすぎない。

そこで、原子力族は保存のきくウラニウムは、自給しているとみなして、原子力発電の分は、自給エネルギーして計算する。
この方法で自給率は約19%となるが、それでも2割に満たない現状であって、とてもエネルギー面からみた、国の安全保障には、ほど遠いことには変わりない。
化石燃料や原子力エネルギーに頼らない、自給可能な再生可能エネルギーを、国策でもって拡大することが、中期的なエネルギー政策の基本に据えなければならない。

ところが原子力族は、「高速増殖炉」と言う、ウランをプルトニウム(水爆の原料)に変換しながら、発電する技術に将来を託した。
これは、燃料にならないウラニウムを利用出来る技術として、当時は脚光を浴びたが、14年前に、性能を確認するための小型の原子炉が、事故を起こして停止して以来、何も技術的な進展はない。
既に9000億円の研究・開発投資をつぎ込みながら、ほとんど進展がないと言える。

民主党政権になってから、この「高速増殖炉」の性能試験を再開するために、予算(約190億円)を付けて、準備を開始させた。
しかし、この性能試験だけで3年間は必要になる、現状の規模の高速増殖炉は、通常の原子炉の1/3の出力でも建設費は6000億円(通常原子炉の2倍)かかっている。
つまり、現状では原子炉を増設する費用の6倍以上がかかった。
仮に性能試験が上手く言っても、大型化するために研究開発が必要であり、さらにその先には、通常の原子炉並みの建設コストに引き下げなければならない。

どれだけ上手くいっても、2040年以降にやっと商業炉が動き出せるくらいに難しい技術であり、失敗する可能性の方が、きわめて高い。
このような危うい技術に未来を託すことは、避けるべきである。
原子力エネルギーは、現状(国内50基)レベルで、安全性をさらに高めることに技術開発を予算、人材を集中していき、建設寿命がきた老朽炉から、順次廃止していくことが選択肢として最良であろう。

マスコミ、ジャーナリストは、このような現状や技術開発の可能性を、的確に国民に伝えて、間違いだらけであった{日本の中長期エネルギー政策}を、ただす使命があると認識せよ!

短期間の間違い政策を暴くばかりでは、世の中も政権も迷走するばかりである。