庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

時間の経過で巨悪に転落する産業界と守旧官僚の体質。

2010-02-11 | 暮らし・健康問題
1990年代のバブル崩壊以後は、日本は漂流の10年と言われたが、経済界も政界も転換出来ずに、日本の将来を見定めないままに、さらに10年間を浪費してきた。
その原因には、既得権を守り従来の方針に固執したままに、お金を使い続ける「巨悪」が存在している事にある。
これを暴くには、「政権交代」がひとつの優良な手段であると、国民が気付いたので昨年の秋に実験的に実現した。

この実験政権が、本当に日本の将来を見定めて、適切な政策を打ち出すことが出来るのかは、大きな試練である。
少なくとも、ダムや不要な道路を造り続ける非を、国民の前にさらすことで、その判断を民主主義にゆだねる方向に転じている。
しかし、「政・官・業」の既得権構造は50年以上にわたる強固な仕組みなので、そう簡単には変わらない可能性が高い。

昨日、採りあげた「原子力族」による日本の将来のエネルギー戦略は、政権交代しても、まだ何も変わっていない。
環境技術立国を目指すという「新政権のスローガン」も、中身は全く未熟な段階である。
それだから、基本となるエネルギーを未だに「原子力主体」と位置づける、旧来の原子力産業や経済産業省の原子力推進官僚の言いなりに、従来の政策を続行することになってしまう。

自民党政権時代には、政治家は何も政策研究をしていないので、エネルギー政策などの専門性の高い分野は完全に官僚依存であり、産業界の旧時代の代表である「重硬長大」企業経営者の言い分にすり寄ってきた。
その結果がコンクリート国家であり、大規模公共工事依存経済の借金国家の実現であった。
さらにエネルギー産業は、せっかくの再生可能エネルギー産業(太陽光、風力、バイオマス)など、次世代の新規産業を冷遇して普及の芽をつぶし、世界から大きく遅れる実績を残した。

時代の変化により、世界の重要課題はドンドン、複雑になっていく。
一方、技術の分野では、各国、各企業の切磋琢磨の革新技術で、一昔前には想定も出来なかったレベルの実現や、まったくの新技術の実用化も進んでいる。
それに対して的確な評価と将来を見越した判断が重要になっているのだが、政治家の不勉強で、日本は大きな失敗を、この20年でしてしまった。
だから時代の進歩から取り残された政治家は、政権交代をして出直してもらうしかなかった。

その一方で、産業界は経団連に代表されるように、世代の交代も遅れ、旧産業にしがみつく構造が強固にできている。
それでも、産業界は民間の市場競争にさらされる制度なので、徐々に交替していくであろう。
巨悪が存在し続けられる環境は、官僚の世界であり、学術関係の守旧派学者の世界である。
失敗の成果しかなくても、交替させられる仕組みがないから、居座ること出来てしまう。

新政権の課題は、この時代の変化に対応出来ない官僚群を、交替させることが出来るかにある。