庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

地域社会の最大の関心は、次の仕事が取れるのか? 

2010-02-03 | 経済問題
テレビや新聞で政界のお金の詮索に明け暮れ、国技の相撲の将来を採りあげているうちに、日本の産業はマスマス疲弊して、そのしわ寄せは地域社会にいく。
自動車産業でいえば、国内販売は減り続け、輸出向けも現地生産にどんどん移管するので、国内での生産台数は減少の一途であろう。
自動車産業は部品生産のすそ野が広く、地域社会での主要企業が自動車部品製造のところが多い。
このような地域での最大の課題は、次の仕事が地域に取ってこれるかどうかである。

一方、新産業の成長期の段階になっている「太陽光発電」関連の仕事は昨年の秋から活況を呈している。
自民党政権の最後のあがきとして、2009年の11月からの実施となった、太陽光発電による電力の固定優遇価格による買い取り制度が始まったからである。
この制度は、家庭用であれば48円/kWhで電力会社が買い取る義務があり、設置した人は10年程度で、元が取れる計算になる。
性能の悪い設備を使ったり、設置場所が悪いと、発電量が少なくなって元が取れるのに年数が余計にかかるので、どこのモノでも良いわけではない。

最近は、この「太陽光発電設備」の売り込みが活発になっている。
各地で、販売業者が参入し、設置する工事の講習を受けて設置業に転身する業者が増えている。
まだまだ、割高の商品であるが、一設備で200万円程度する仕事であるから、受注出来れば利益も確保できる数少ない仕事である。
性能不足の商品を売り込んだり、設置工事の手抜きをする悪徳業者も増えているというから、今後の健全な販売網やアフターサービス体制の仕組みも必要になる。
まさに、次世代に通用する「新産業の育成」段階になっている。

民主党は、自民党の中途半端な優遇政策を批判して、2011年の秋からは、太陽光発電による電力の優遇買い取りの条件をさらに設置者に有利にする制度を検討している。
それには太陽光発電だけでなく、風力発電や地熱発電、小規模水力発電など、今までの電力会社は「余計者のガラクタ発電」として買い取りを拒否してきた電力も、優遇価格で買い取りを義務付ける。
この制度が発足すれば、小さな産業でしかなかった業界に仕事が一気に増えて、それを普及させるための製造、販売、設置工事、アフターサービスなど、多くの雇用が生まれる。

そして、その中でも「バイオマス発電」の電力優遇買い取り制度が実現すれば、地域に捨てられている大量の木質廃棄物が、エネルギー源となって電力に転換されて、有価物になる。
これは、林業に貢献するだけでなく、製材関係や関連の機器製造業者や、販売事業者などの仕事が一気に増えていく。
仕事が減って寂れていく一方の地域社会にとって、活性化出来る有力な政策であり、ヨーロッパの森林国では、効果が実証されている仕組みである。
先行きの雇用不安や経済活動の低迷に悩む地域社会にとっては、干天の慈雨になる制度である。