庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

公務員制度が日本の停滞を招いた主原因であると認識せよ。

2010-02-13 | 暮らし・健康問題
公共工事に支えられて発展してきた日本は、20年前に方向を転換しなければならなかった。
土建工事による国造り、インフラ整備はほぼ行き渡り、あとは地域主権にゆだねて地方の生活に本当に必要な施設、道路、治山治水(森林整備)にお金を回す方針に変える時期であった。
しかし、「政・官・業」の癒着が進んでいて、既存の路線を続ける圧力が強く働き、必要な政策転換をしないように、あらゆる手段を講じてきた。

この悪影響は、現世代においては経済の停滞を20年も招き、見えないところでは次世代に膨大な借金と維持・管理・撤去の費用すら生み出せない、不良資産、施設を残している。
これを転換するためには、既得権を持ったグループから権限を取り上げていく、政権交代がもっと適した手段である。
民主主義国家は、この政権交代が暴力や混乱を招かずに実行できる仕組みを創ってきた。
国民の代表を選ぶ選挙によって、政権担当する与党と選ぶ権利が国民にはある。

昨年の秋に選挙による政権交代が実現したが、実際の政策の中身が変わり、時代に即応した個々の施策が実行出来る様になるには、実行組織である官僚機構が転換しなければならない。
小泉構造改革内閣は、この官僚の既得権構造に穴をあける狙いで、「官でやる必要のない事業は民間に」との掛け声で、規制緩和と民営化促進を打ち出したが、どちらの政策も入口のところで失敗してしまった。
規制を緩和すれば、民間の競争が激化し、強者の企業と利益を圧迫されて活力を失った、大量の弱者企業を生み出した。
今、民営化と規制緩和の見直しが大きな声となって政府の政策転換が行われている。

失敗した政策を転換するには政権与党の交代は必須であるが、「官僚機構」の強固な壁に阻まれた既存路線は、簡単には変えていくことはできない。
それには、「公務員制度改革」が必須であることを認識しなければ進まないのは常識となっている。
しかし、自民党政権の末期の麻生政権は、世論に押されて公務員制度改正案を出したが、中途半端な生温い改定で、とても改革と言える中身ではなかった。
民主党など野党の反対で、成立しないで廃案となっていたが、これは官僚の作った骨抜き法案であるから、当然の運命であった。

ところが、政権交代後に改革に手を付けた筈の民主党連立政権で、昨日の閣議に提出された「公務員制度改革法案」は、自民党政権時と殆ど同じ生温い「官僚による骨抜き法案」と呼ばれるような、実効性のない代物であった。
この法案の担当大臣は、閣議のわずか3日前に目を通したと言うが、その問題認識能力を疑う事態である。
担当大臣以外の総務大臣から、改革の不徹底を指摘され、温厚な鳩山首相もこの法案を差し戻して、見直すことを指示した。と報道されている。

この改革案は、幹部を降格しやすい制度にする狙いであったが、官僚の骨抜き技術で、実際には、まったく降格が出来ない状態を維持する制度であった。

こんなことでいいのか!(以下次回に)