庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

電力業界の経営陣は旧JALの親方日の丸体質のまま。

2010-02-04 | 経済問題
次世代を担う新たな産業として「太陽光発電」は、昨年からやっと社会的にも優遇される制度で、普及拡大期にはいった。
2001年まで世界一の設置量であったのが、自民党政府のもとで冷遇された結果、世界の6位に転落したが、やっと回復させる軌道に戻ってきた。

一方、「風力発電」の現状はどうなっているであろうか?2009年の実績でみると、
・世界全体で31%増、1億5790万kW
・アメリカが992万kW増で合計3516万kWとなり、累積では世界一、
・単年度では中国が2年連続で倍増の1300万kW増の世界一、累積でもドイツ(2578万kW)に迫る世界3位(2510万kW)、ほんの数年前まで日本より少なかったのがウソのようです。
単年度の市場規模(MW)
1. 中国  13,000   2.アメリカ 9,922  3.スペイン 2,459
4. ドイツ 1,917   5.インド 1,271   日本は178MWで、18位に転落。

日本が風力発電に適した風土ではないにしても、世界では一流に匹敵する技術力を持ちながらも、国内に設置する量が、世界に18位と言うのは、あまりにも情けない状況である。
このような事態に陥った原因は、2009年3月22日のブログにも書いた様に、経済産業省と電力業界の古い体質にある。
化石燃料による発電を前提にした、現在の送電線システムに安住し、太陽光発電や風力発電の様に、気候によって変化する発電を邪魔者扱いしてきた。

本日の新聞(朝日、朝刊9面)によれば、電力業界はやっと、アメリカで進められている、ITを駆使した次世代の送電線網「スマートグリッド」の検討に着手したと、報道された。
電機事業連合会の会長は「取り組みは危機感を持ってスピードをつける」と話している、というが、私から言わせれば、スタート時点が10年は遅れている。
風力発電が普及し始めた2000年の当初には、送電線の容量の制限で、せっかくの発電事業者の計画をわざわざ制限して、設置設備の増加を止めている状態であった。
次世代の発電源をいかにして、日本の各地に安定して電力を届けるかが、電力会社の仕事であるのに、断っているとはどういう感覚なのか。

これは、まさに親方日の丸の体質で、経済産業省とのもたれ合いで、現状の路線の延長上の仕事しかしない、官僚体質そのものの経営である。
電力業界は、国際競争にさらされないために、親方日の丸でも、JALの様な債務超過、倒産という場面に行かない。
しかし、世界全体での風力発電の設置の増加が30%以上に伸びている段階で、完全においてけぼりになる事態は、電力業界と経産省の責任者は、即刻、クビにされるくらいに責任を負わなければならない。
せっかくの新産業が成長する芽を押しつぶし、国民が一番必要としている雇用の機会を奪った。
雇われ経営者であった自民党政権は、昨年の政権交代でクビになったも同然である。
なぜか、電力業界幹部と官僚の責任者は、ノウノウと居座る。
なぜ刷新出来ないのか?