庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

新政権の本物度を試される環境技術立国への第一関門。

2010-02-21 | 経済問題
新政権の目玉になっている「環境技術立国」を目指す基本となる法制度として、今国会に提出する予定の「地球温暖化対策基本法(仮称)」に続いて、地球温暖化対策税(炭素税)の成立を必要とするのは自明である。
しかし、産業界の代弁をする経済産業省の担当大臣は、それにブレーキをかけようとしている。
多分、官僚側からの猛烈な反対レクチャーを受けた影響の表れであろう。

言い分としては、「基本法」であるから、あまり踏み込んだ内容は書けないのではないか、と言う理由で現時点では炭素税については触れないのが良いとしている。
しかし今までの自民党政権も、いろいろな基本法を議論しても、必ず内容のない取り組み姿勢を目指すだけのスローガンに終わっている例がたくさんある。
まさか、新政権に交代しても、基本法だけで中身の伴わないゼスチャーだけになってしまうのではないかと、危惧させる発言である。

確かに、国内排出量取引制度や環境税の導入などを盛り込んだ素案を提出した、と言う中身では、
経産相は「(排出量削減の)国際的な枠組みが決まらないなかで、あまり細部を議論しても仕方がない」と指摘している。
排出量取引制度や環境税(炭素税)について「国民の声は賛否両面がある。いまの時点で、具体的な内容まで決めていくのは率直に言って無理がある」と慎重な姿勢を採っている状況である。
だがこれは、どちらも一緒にしてしまうのは、大きな誤解があり、認識不足である。
地球環境問題に取り組む先進的な経済学者は、炭素税の導入は理論的にも実践的にも有効で、正しい方向であると言明している。
一方、国内排出量取引制度は、実施の段階における大きな問題が潜んでいて、これには、多くの学者や専門家が危惧を表明している。
閣僚レベルですら、よく解っていない制度を導入前提で基本法に書きこむのは難がある。
国民の声の賛否を言う前に、マスコミの担当記者も含めて、[炭素税]と「排出量取引」の、大きな違いを理解したうえで、賛否を論じる必要がある。

炭素税は既に20年以上の研究と実践の成果、課題が明確になっている。
これは、もうグズグズせずに、2011年度の実施を目指して、実現させるのが正しい。
経済産業省は産業界の代弁をして、抵抗して成立を遅らせるか、骨抜きにしようとするであろうが、担当大臣は官僚支配を受けてはいけない。
日本の新産業への転換の取組み遅れは、官僚に取り込まれた雇われ大臣の連続で大きな転換ができずに、失われた20年を過ごしてしまったことを肝に銘じるべきである。

まずは「地球温暖化対策基本法」を、今国会で成立させることが入口である。
そして、地球温暖化対策税(炭素税)の中身を決定して、国民に説明しなければならない。
新政権の目指すべき「第一関門」の[炭素税]の実現によって、その姿勢と力量が明確になる。

本物の政治主導内閣になれるか、それとも、スローガンだけの雇われ政治家の集まりに終わるか、いよいよ正念場の挑戦である。