庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

偽物の環境技術に惑わされない様に情報を正確につかむ。

2010-02-23 | 環境問題
日本の経済再生と健全な社会を築く上で、環境技術立国を目指す方向は、多くの国民が理解し賛同している。
そのためには、温暖化対策基本法の制定や、実施に必要な財源を得る「炭素税」の創設など、乗り越えるハードルが、山ほど控えている。

その流れにうまく乗ろうとする、旧勢力の一部が偽物の環境対策技術を売り込もうとして、影に日に動いているが、その中で「原子力族」は、一番目立つ形で、宣伝を繰り広げている。
本日の主要各紙に2面全面広告を出して、「低炭素社会へ向けた原子力発電」との表題で、必要性と環境への貢献を、5人の有識者?の言い分を載せて、強力に進める論旨を展開している。
この広告のスポンサーは経済産業省の資源エネルギー庁だが、国民の税金を勝手につかっている。

この数年のうちに、このような「地球環境問題」の対策として、原子力発電が「CO2排出削減」に貢献するという「大義名分」のもとに、拡大路線を進めようとの狙いである。
これが功を奏したか、最近の世論調査では原子力発電の対する意識が変化していると伝えられている。
博報堂生活総合研究所「生活定点調査」(2008年)のデータでは、「原発は必要だ」と言う人が増えている。
2002年→2008年の変化では、≪男性 39.6%→45.5% 女性 21.5%→28.8%≫とのデータがある。
また、内閣府の最近の調査結果でも、同様の傾向がでている。

しかし、この調査時も含めて原子力発電に対する正確な情報が伝えられているかどうか、疑問である。
このブログで何度も書いてきた様に、原子力発電のネガティーブな面を、きちんと公正に書いて国民に正確に伝えて認識を深めてから、意識調査をすべきである。
今の様な状況になっている原因が、原子力発電の推進論者が、危険な放射性物質を使っているのに「100%安全」と言う論法で押し通してきた「神話の崩壊」がある。
その上、使用済みの放射性廃棄物が、大量にたまっているのに、いまだに、処分方法や処分地が決まらない実情も伝えないで、ただ拡大路線を強調している。
さらに、北朝鮮やイランの様に、原子力発電への利用を隠れ蓑にした、「核兵器開発の拡散」への不安要素は、まったく切り離して、ただ原子力発電所の単体での安全性のみに限定した情報にとどめている。

都合のよい情報のみを提供して強調し、未解決の問題や、核兵器の拡散防止に対する不安要素は、ないものとする姿勢は、安全神話を作り続けて拡大路線を一方的に進めた「旧来の原子力族」の体質から、ほとんど変わっていない。

今の原子力族の論法は、ネガの部分は隠した状態で、地球温暖化対策は不可欠であり、日本の大胆な削減目標を支持する姿勢を取りながら、「原子力発電の拡大がなければ達成は無理だ!」という。
削減に必要な新技術や、ほかの手段との公正な比較もしないで、判断は我々のような専門家に任せて、技術のわからない人が文句は言うな!と言っているのである。

しかし、国民はそんな論法や進め方には、もう騙されないようになっている。
偽物と本物を見分ける知識と品格を備えている人が、大幅に増えている日本になるよう期待したい。