庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

言葉の操作によってつくられる空気に流されるな!

2009-06-23 | 環境問題
前回に「低炭素社会」という言葉には、暗黙には「原子力発電」を推進したい勢力の思惑によって、作り出された合言葉であると指摘した。
原子力発電は、炭酸ガスを全く放出しない「期待されるエネルギー源であるというイメージつくり」を売り込みたいからである。

しかし、原子力発電には多くの未解決の問題と、核兵器への拡散の危険性が潜んでいるとして、このブログで、5月31日~6月5日にかけてデメリットを具体的に書いてきた。それを読んできた方には、もう十分に理解していただけると思います。

原子力発電の設備を入れれば、燃料の濃縮ウランが手に入る。
この原料を使えば少しの努力で核兵器ができる。
60年以上前に、広島に投下された原爆が、北朝鮮の様に平和を脅かす国でも手に入れることができるようになってしまう。
イランやシリアの様に、アメリカなどの先進国に敵対するためには核兵器の保有を目指す国に対する歯止めが利かなくなる。
20世紀の最大の負の遺産である核兵器をどのようにして削減し、最終的には廃棄・禁止する世界に移行する必要がある。
しかし、原子力発電の拡大・拡散は、核兵器の保有国の拡散につながる危険な流れである。

インドは、本来は核兵器を保有する国ではなかった。
しかし、隣国の中国(核兵器保有国)との対抗上から、保有することを狙っていた。
そして、「平和利用」という大義名分の原子力発電施設を導入し、着々と原子力関係の技術を磨き、そして、ついに核兵器を開発してしまった。
あわてたアメリカはなんとか廃棄させようとしたが、既成事実を盾にインドは譲らず、なし崩し的に保有を認めさせてしまった。
黙っていられないのは、従来から敵対関係にあったパキスタンである。
そして原子力発電の技術の導入にかこつけて、核兵器の開発に向かっている。
イスラエルが秘密裏に核兵器を開発し保有していることは、公然の秘密になっている。

21世紀の課題は、平和な世界を持続可能に作ることができるか?という難問に向かっている。
それを「気候変動(温暖化問題)の抑制」を重視することが誰も否定できない課題になってきたことを好機として、ひとつの対策案にすぎない「原子力発電」を必須の手段だとしている勢力が、台頭している。
「平和利用」という美化された言葉を表面に包んでいる「兵器産業」になっている事実を隠ぺいして、拡大する好機ととらえている。

原子力発電産業界の狙いはなんであろうか?
それは、今まで蓄積してきた技術と、外資系の企業を買収して増強した企業の収益を確保したいからである。
地球環境によいとか、エネルギー費用が経済性に優れているなどは、売り込み文句にすぎない。
結局、自社の儲けが狙いである。
民間産業としては当然の行動として規制できない。
いや規制どころか、日本では経済産業省が国策として後押しをしている状態である。

数年前から経産省、電力会社、日本貿易振興機構などにアジアや中東諸国からに協力要請が来ていることを理由にして、売り込みを開始している。
相手国が導入する段階で技術提供や人材供給で積極的に参加し、国内産業の活性化につながる。(朝日新聞、6月16日朝刊)
すでに、インドネシア、ベトナム、アラブ首長国連邦、ヨルダン、などと個別に原子力協力文書を結んだという。

うまくいけば、「原子力発電産業界」の儲け。
もしまずいことが起きれば、国と外国の問題として、対策の費用は全部、国民の税金で始末をしてもらう。
どこかで見たような構図ではないか。
金融界の不始末で起きた問題だけでも多大な被害が生活者に及んだ。

原子力の場合の事故や紛争では、その程度では収まるはずなない。
表面的な「言葉の空気」に流される危険・・・・!