庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

次世代の負担に頼る麻生政権は交渉の目標をどう見ているか。 

2009-06-11 | 環境問題
麻生太郎首相は6月10日、2020年の日本の温室効果ガス排出削減の中期目標を「2005年比で15%減」とすることを決めた。
これに対して、内外から早くも日本の取り組みに疑問を呈する意見が飛び交い始めている。

まずは、削減目標が低過ぎて意欲的な取り組みとは見なされず、2050年には80%以上の削減を目標とするには、低すぎるという意見である。
2020年で15%ならば、15年間で1%ずつの削減の目標と言えるから、2050年には45%になる計算だが、その頃には今の世代はとっくにいない。
次の世代に、削減量の努力をツケマワシして行こうという考えとみられる。

次に、削減の基準の年度を1990年から2005年に変更している点である。
これは、京都議定書の決めた基準年を、自国の都合で変えようというもので、アメリカに配慮したとみられる面もある。
日本政府の説明では、
1990年比で20%減を目標としている欧州連合(EU)も2005年比でみれば14%減となることや、オバマ米大統領が選挙期間中に打ち出 した「2020年に1990年レベルに戻す」との目標も2005年比ではやはり14%程 度の削減率となることを指摘、日本の中期目標が他の先進国に比べて遜色のないものであることを強調している。

これに対して、各国から基準年を変えるという日本の態度は、交渉を混乱させる目的にみえて、誠意がないと批判されている。
まあ、1990年比で4%増加を要望した「日本経団連」の時代錯誤感覚からすれば、国際感覚はあるといえるかもしれないが、このような作戦で交渉がうまく成立するのであろうか?

国際条約の締結は、各国の国益と大義名分のぶつかり合いであり、「武力を使わない戦争」である。
今年中に国際交渉が何度も行われる中で、日本が絶対に獲得しなければいけない条件があるはずであろう。
それは、「2050年には、化石燃料の使用量を世界中で50%削減して、エネルギーの安定的供給を達成すること」である。
そのためには、中国やインド、ブラジルなどのこれから大量にエネルギー消費を拡大する国も、削減交渉の中で一定の数値目標を合意してもらうこと。に尽きる。
最初の段階で提示した、「中期目標が1990年比8%」で、そこに合意できるとは思われない。

日本は、世界で一番、省エネルギーが進み、技術も最先端であるから、これくらいの努力しかできません。
というのでは、中、イン、ブラ、などの新興国は自国の義務を負ってくれるのであろうか。
麻生政権のやり方で、うまくいくとは思えないと危惧してしまう。
かといって、政権が代わればできるか・というとそれも未知数である。

1997年に京都議定書に合意してから、11年間という期間を政権担当している政党として、6%削減〈1990年比〉を国際公約してきたにも関わらず、省エネルギー政策もなまぬるく、「再生可能エネルギー」の普及拡大策に大失敗をしてきた政党に任せることは、国民の評価はどうなのか?

唯一、環境大臣〈公明党〉は、削減幅の拡大を主張し、それに配慮したのか、1%分の上乗せが、間際で決定された。
やはり、目標を高く掲げるには、政治家を変える必要がありそうである。