庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

需要の回復は安定した雇用と、環境意識に沿うこと。  

2009-06-19 | 暮らし・健康問題
経済の停滞の大きな原因は、国内の需要の大幅な減少であることははっきりしている。
一昔は企業の競争力を付けることが、景気回復の要であると、多くの経済学者は声を大にして訴えた。
そして、企業は成果主義などを取り入れたり、労働環境の引き下げ、ダンピングに奔走して、見かけ上の企業競争力を上げてきた。
その結果は国内需要の大幅減少であり、経済学者は何も解っていないということを証明してきた。

前回までに労働環境ダンピング路線を転換して、勤務時間も減らして安定した雇用を最優先すべきだと書いてきた。それを実現するには、相当の期間が必要である。
政府のお金のバラマキ的に借金すればできるという生易しい政策ではない。
しかし、それは時間をかけてでもやらねばならない。
その間の需要の回復をどうするかが次の重要な課題になってきている。

最近の消費者の動きで、気のついた流れがある。
それは、消費者は環境意識に目覚めていて、それに合致する商品やサービスには、前向きに関心を示す動きである。
一例をあげると、イトーヨーカ堂の始めた販売方法に、各家庭に眠っている不要品を持ち込めば、一定額以上の買い物に対して、現金によるバック、言ってみれば不用品の一定金額買い取りをする制度である。
これは、今までの常識を覆す販売方法であり、いわば、変形のキャッシュバク方式であるが、これが消費者の潜在意識に合致して、瞬く間にあちこちの小売業界に波及をした。

経済紙の評論によると、消費者の家にはモノが十分にあふれていて、少しの刺激では新たなモノは買わない、という状態になっている。
しかも、最近の「もったいない」思想が普及しているので、簡単には捨てない。
しかし、引き取りをしてくれるなら、誰かが次に使うことを想定しているので、気が軽くなって、新しいモノに買い替えをしたくなる。
まだ使える物を下取りして新しいものを消費するのであるから、本当の「エコ」とは言えないが、自分では捨てるということが罪悪感になるので、捨てるのは長著する。
しかし、下取りした後は、誰かが使う筈であるから無駄ではない、と納得して買い変えることができる。

いまの時流の消費者意識にうまく訴えた販売方法である。
同じ様な趣旨で、省エネ製品への買い替えを奨励する制度が次々に始まっている。
省エネ家電の購入では、エコポイントを付ける制度が政府の肝いりで始まった。
旧式のエネルギー消費の多い冷蔵庫などを、新型の省エネタイプに買い替えるならば、確かにエネルギー消費は半分以下になり、「エコ」と言える。
しかし、従来の小型のブラウン管式テレビからの買い替えでは、大型の薄型テレビへ買い替えることでは、ほとんど省エネではなく、場合によっては増エネである。
それでも、「エコ」という表示に共鳴して買い替えに踏み切る消費者が増えるであろう。

とにかく、日本の生活水準では、「ワーキングプアー」と言われる層は別にして、ほとんどの消費者は、あまり物を買わない習慣に切り替えてきている。
それに対して日本の経済構造は、「モノつくりこそ基本」という旧来の意識もあって、モノの生産重視の企業構造になっている。
「知価社会」などの合言葉では簡単には変わっていかない。
であるのを承知の上でいえば、ここ当面での需要の拡大は、たとえ見せかけの「エコ」であっても、消費者の潜在意識に訴える「環境適正型商品」を開発してつくり続ける。
それを「もったいない」意識のある消費者に買ってもらうことで、需要を呼び起こすことでつなぐしかないであろう。

本当の賢い消費者になるまでの時間稼ぎになる。以下、次回に。