庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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将来に不安を残し続ける原子力発電はまっとうな手段か? 

2009-06-04 | 核エネルギー・原子力問題
不都合な事実をまともに説明できないままに、安定した電源であると主張しているのが原子力発電を推進する信奉者の姿勢は理解しがたい。
高レベル放射性廃棄物や、不測の事態に対するリスク対策などで、将来は間違いなく発電コストの上昇ということで、対応せざるを得なくなる。

しかし、推進したい人たちは、地球温暖化防止に効果が出せるということで、それらは将来において、なんとか出来るはずであるからと、議論を先送りする姿勢に終始している。
炭酸ガスの削減がとにかく優先する。
化石燃料の枯渇に対する体制を早く作るべきである。
というのが大義名分であり、コスト面で不利なことなどは採りあげる姿勢もない。

では廃棄物処理もコストの件も、ナンとかなったと仮定して、それで原子力発電の不透明な将来を議論しないで済ませることができるのであろうか?
いや、大きな問題点として「核兵器の廃絶」との関連をしっかりと検討しておかなければ、不安を抱えたままの社会的大問題を次世代に先送りしていることになる。
原子力発電は核技術の平和利用という大義名分で、今まで世界に説明されているが、そうではないことは、あらゆる事実から浮かび上がっている。

お隣の国の北朝鮮が、核兵器を持ちたがっているのは理解しがたい状況であるが、その前に原子力発電を自前で開発していることが、国際的にも問題になった。
先進国では原子力発電技術を開発して、運転することが当然の権利とされている。
しかし後進国の要注意政権のもとでは、「原子力発電」の技術導入は、将来は「核兵器を自前で持つ」という筋道が想定されるので、たとえ平和利用の名分でも「原子力発電」の技術供与は禁止の措置をとる。

どんなに平和目的の発電のみの利用といっても、核反応技術に接近して技術レベルを上げることができると、ホンの少しの努力で核兵器が開発可能になってしまう。
これ以上に核兵器保有国が増えることは、紛争の起こるたびに核兵器が使用される不安を引きおこす。
そこまで行かなくても原子力発電の技術は、政情が安定しない国で運転されるとなると、安全確保の保証は全くないと言える。

日本の原子力発電の技術に詳しい人たちは、日本でならば安全に運転することはできるだろう(大地震の件はさておいて)と言っている。
しかし、北朝鮮とかイランなどの政情の不安定な国で運転する原子力発電は、とても安全を確保できるとは言えない。とホンネの言い分を吐露している。
少しの偶発的な事故や意図的な破壊行為などの不安を考えると、「原子力発電」は持ってもよい国と、いけない国に分ける必要がある。
しかし、国際政治の中で、そのようなことが可能である保証は全くない。
このように核兵器の拡散と同じ程度に、原子力発電の技術の拡散も、世界の政情が安定しないうちは禁止的に制限しておく必要がある。

この複雑な核兵器の不拡散と、長期的目標の『核兵器の廃絶』という最重要な課題を、まず一番に考える必要がある。
アメリカのオバマ政権は、この重要な課題に主導的な役割を果たすとして、核兵器の削減交渉に入ることを宣言した。
日本は、これを最大限に支援する必要がある。
そして原子力発電の未来は、この核兵器と核発電技術の拡散の問題と絡めて、慎重に検討すべき課題である。

単にコストが安いとか、炭酸ガス排出削減になる、とかの単純な課題ではない。以下、次回に。