東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

帝王学

2011-05-21 | 経営の気づき
先日、一緒に酒を酌み交わした方は、愛媛県の高額納税者のトップククラスに常連で入っていた方のお孫さんだ。その方の祖父に当たる方は、私の仕事の大先輩でもあり、我々業界全体から見ても恩人になる。その時にお聞きした話を、許可を得たので、一部ご紹介する。帝王学の生きた教材として、参考にして頂けるとありがたい。

「祖父には、小さいときから厳しく育てられた。世のおじいさんたちは、孫を甘やかせるけど、私の祖父は全くそうではなかった。例えば、家族で食事するときも、特注の食べ物を自分だけが食べる。私が欲しがると、働いていないあなたは、まだ早い。働きだしてから、自分で食べなさいと言われた」

多分、働くことの尊さを伝えようとしたのであろう。それと、「どれだけの成果をのこせるかによって報酬が異なるから、人様以上に頑張りなさい」と言いたかったのではなかろうか。

「こんなこともあった。会社に帰ってみると、祖父が幹部社員全員を大きな声で叱っている。声の荒立て方は、並大抵ではなかった。社員は皆、祖父の厳しさに震え上がっていたが、でも、厳しいけれども優しい人だったと言ってくれる。私から見れば、さほど優しいとは思えないが、普段、厳しくしているだけに、少し優しい言葉をかけるだけで、感極まるくらい嬉しいようだ」
「祖父が、私がかつて見たことのない様相で怒ってた、この場面にめぐり合えたことは幸運だった。祖父のあの激怒の姿を見たことは、私の人生にとって、凄く印象的だ」

要するに、人間は、優しいだけでは駄目。普段は厳しく事に当たり、必要に応じて、優しい心根で接する。基本姿勢は厳しく、時に応じて優しくというのが正しい。普段優しくしていて、難しい問題が舞い込んだときに、厳しくと言うのでは、誰もついてこない。これがトップのあり方なのだろう。

このお話を聞いて、私との器の差を感じた。私が小船だとすれば、その方のおじいさんは、写真のような威風堂々とした帆船かな。