やはり陸上競技は面白い
ハンガリーのブタペストで、開かれている「世界陸上」のテレビ放映が極めて少ないということが、高校、大学と7年間陸上競技をしていた者として不満だ。ライブ放映もなくはなかったが、しっかり時間を割いて放映してほしいのだと思いながら、インターネット、ダイジェスト、スポーツニュース等で日本代表の選手達を応援していた。
今回の注目選手、女子やり投げ(世界ランク1位)の、明るく笑顔がとっても可愛い北口榛花。女子走り幅飛びで、今季、6m97cm(今季世界4位の記録)という17年振りに日本新をマークした秦澄美鈴。そして男子110mハードルで、今季、強豪が集うダイヤモンドリーグで初出場初優勝を成し遂げた泉谷駿介がどんな試合をするかに注目していた。
北口は、昨年のオレゴン世界陸上で銅メダルを獲得していたが、この3種目とも、かつては決勝、ファイナリストに残るには程遠い種目だった。
短距離、投てき、跳躍で、日本の選手が活躍するなんてことは、私が学生時代には考えられないと言っても過言ではなかった。実際、それらの種目の選手は、ほんの一部の選手を除いて大学卒業後は競技を引退した。続けるための受け皿の実業団が少なく環境が整っていなかった。長距離だけは駅伝があったため多くの実業団チームがあって続けることが出来たが。
短距離種目では、1991年の東京世界陸で、男子400m決勝(7位)に残った高野進(現東海大学教授)に感動したことは、今でも思い出すことが出来る。翌年のバルセロナオリンピックでも決勝に残り8位入賞。その後、世界陸上銅メダリストの為末大、末續慎吾に引き継がれ、4x100mリレーに於いては、北京、リオデジャネイロと連続銀メダルに輝き、さらに今回、サニブラウン・ハキームが、100m準決勝で9秒97と大きな舞台で10秒を割り決勝へ進み6位。今大会、ファイナリストには残らなかったが、高野進が持つ400mの日本記録を32年ぶりに更新した佐藤拳太郎と確実に力は付いてきていると実感できるまでになってきた。
投てき種目では、言う間でもなく2004年のアテネオリンピック金メダルを始めオリンピック、世界陸上で活躍したハンマー投げの室伏広治(現スポーツ庁長官)がけん引し、やり投げの世界陸上銅メダリストの村上幸史、新井涼平らが続いた。
女子走り幅跳びにおいては、池田久美子が2001年世界陸上で決勝に進んだが、それ以降は低迷した。だから、秦澄美鈴には7mを飛んでメダルも夢じゃないと期待していた。しかし予選敗退。世界の舞台に於いて室伏広治だって力が付いてからも予選落ちはあった。そんなことを経験しながら強くなっていった。だから、来年のパリオリンピックに楽しみは持ち越しだ。
100m10秒37、走り幅跳び8m00、三段跳び16m08、110mハードル13秒04の陸上の天才泉谷駿介が、見事に決勝に進出5位。「スタートして両足のふくらはぎが痙攣しました。」と笑顔で。表情が最高!「来年、楽しみにしているから!」と言いたくなるような。
とにかく明るい北口榛花、最終6投目に大逆転で金メダル。弾ける笑顔で、ピョンピョン跳ねながら喜びを爆発させた「今日だけは、本当に世界で一番幸せ!」とインタビュー。6月の日本選手権で斉藤真里菜に敗れ2位、泣きながらインタビューを受けていた時のことが思い出された。
それでも彼女のトレードマークは、あの笑顔とインタビューの受け答え。見ていて、聞いていて、こちらまで笑顔が伝染して嬉しくなるような。素直な彼女の人間性がダイレクトに伝わってくる。今までに、こんな人いたかなというような感じでファンになった。そんな人がいっぱいいるのではないかと思う。
田中希実の5000mの日本記録更新、予選で14分37秒98。決勝ではラスト1周まで12人のトップ集団の中に、結果14分58秒99で8位入賞。どんな練習をしているのか、どんな身体のケアをしているのか?驚きの強さを持った選手だ。
男子35km競歩銅メダルの川野将虎、6位の野田明宏、女子35km競歩7位の園田世玲奈、男子3000m障害6位の三浦龍司、男子走り高跳びの8位の赤松諒一、女子10000m7位の廣中璃梨佳と入賞者は増加している。決勝に進めるくらいの力を持っている選手も多くなっている。
だから、本当に来年のパリオリンピックが楽しみだ。やはり陸上競技は面白い。
令和5年8月28日 笹原 真二
追伸
陸上競技は、短距離、中距離、長距離、マラソン、競歩、投てき、跳躍と、それぞれの種目は全く違うと言ってもよいスポーツなのだが、陸上競技を体験した人は皆、自分がやったことが無い種目も好きだと思う。あえてこんな話を陸上仲間としたことはないし、根拠があるわけでもないが、みんな「好き」と答えるだろう。という変な確信がある。
強いて言えば、勝負が、はっきり記録として表れる単純明快な競技だから?フィジカルの本質を競うスポーツだから?陸上競技という名のもとに集まった個人競技が主体だけど、それとは裏腹に家族的な要素があるからなのか?・・・
陸上競技に家族的な要素があるなんて・・・今まで思ってもみなかったけれど、今、これを書いていて、初めてそんなことを思った次第だ。
ハンガリーのブタペストで、開かれている「世界陸上」のテレビ放映が極めて少ないということが、高校、大学と7年間陸上競技をしていた者として不満だ。ライブ放映もなくはなかったが、しっかり時間を割いて放映してほしいのだと思いながら、インターネット、ダイジェスト、スポーツニュース等で日本代表の選手達を応援していた。
今回の注目選手、女子やり投げ(世界ランク1位)の、明るく笑顔がとっても可愛い北口榛花。女子走り幅飛びで、今季、6m97cm(今季世界4位の記録)という17年振りに日本新をマークした秦澄美鈴。そして男子110mハードルで、今季、強豪が集うダイヤモンドリーグで初出場初優勝を成し遂げた泉谷駿介がどんな試合をするかに注目していた。
北口は、昨年のオレゴン世界陸上で銅メダルを獲得していたが、この3種目とも、かつては決勝、ファイナリストに残るには程遠い種目だった。
短距離、投てき、跳躍で、日本の選手が活躍するなんてことは、私が学生時代には考えられないと言っても過言ではなかった。実際、それらの種目の選手は、ほんの一部の選手を除いて大学卒業後は競技を引退した。続けるための受け皿の実業団が少なく環境が整っていなかった。長距離だけは駅伝があったため多くの実業団チームがあって続けることが出来たが。
短距離種目では、1991年の東京世界陸で、男子400m決勝(7位)に残った高野進(現東海大学教授)に感動したことは、今でも思い出すことが出来る。翌年のバルセロナオリンピックでも決勝に残り8位入賞。その後、世界陸上銅メダリストの為末大、末續慎吾に引き継がれ、4x100mリレーに於いては、北京、リオデジャネイロと連続銀メダルに輝き、さらに今回、サニブラウン・ハキームが、100m準決勝で9秒97と大きな舞台で10秒を割り決勝へ進み6位。今大会、ファイナリストには残らなかったが、高野進が持つ400mの日本記録を32年ぶりに更新した佐藤拳太郎と確実に力は付いてきていると実感できるまでになってきた。
投てき種目では、言う間でもなく2004年のアテネオリンピック金メダルを始めオリンピック、世界陸上で活躍したハンマー投げの室伏広治(現スポーツ庁長官)がけん引し、やり投げの世界陸上銅メダリストの村上幸史、新井涼平らが続いた。
女子走り幅跳びにおいては、池田久美子が2001年世界陸上で決勝に進んだが、それ以降は低迷した。だから、秦澄美鈴には7mを飛んでメダルも夢じゃないと期待していた。しかし予選敗退。世界の舞台に於いて室伏広治だって力が付いてからも予選落ちはあった。そんなことを経験しながら強くなっていった。だから、来年のパリオリンピックに楽しみは持ち越しだ。
100m10秒37、走り幅跳び8m00、三段跳び16m08、110mハードル13秒04の陸上の天才泉谷駿介が、見事に決勝に進出5位。「スタートして両足のふくらはぎが痙攣しました。」と笑顔で。表情が最高!「来年、楽しみにしているから!」と言いたくなるような。
とにかく明るい北口榛花、最終6投目に大逆転で金メダル。弾ける笑顔で、ピョンピョン跳ねながら喜びを爆発させた「今日だけは、本当に世界で一番幸せ!」とインタビュー。6月の日本選手権で斉藤真里菜に敗れ2位、泣きながらインタビューを受けていた時のことが思い出された。
それでも彼女のトレードマークは、あの笑顔とインタビューの受け答え。見ていて、聞いていて、こちらまで笑顔が伝染して嬉しくなるような。素直な彼女の人間性がダイレクトに伝わってくる。今までに、こんな人いたかなというような感じでファンになった。そんな人がいっぱいいるのではないかと思う。
田中希実の5000mの日本記録更新、予選で14分37秒98。決勝ではラスト1周まで12人のトップ集団の中に、結果14分58秒99で8位入賞。どんな練習をしているのか、どんな身体のケアをしているのか?驚きの強さを持った選手だ。
男子35km競歩銅メダルの川野将虎、6位の野田明宏、女子35km競歩7位の園田世玲奈、男子3000m障害6位の三浦龍司、男子走り高跳びの8位の赤松諒一、女子10000m7位の廣中璃梨佳と入賞者は増加している。決勝に進めるくらいの力を持っている選手も多くなっている。
だから、本当に来年のパリオリンピックが楽しみだ。やはり陸上競技は面白い。
令和5年8月28日 笹原 真二
追伸
陸上競技は、短距離、中距離、長距離、マラソン、競歩、投てき、跳躍と、それぞれの種目は全く違うと言ってもよいスポーツなのだが、陸上競技を体験した人は皆、自分がやったことが無い種目も好きだと思う。あえてこんな話を陸上仲間としたことはないし、根拠があるわけでもないが、みんな「好き」と答えるだろう。という変な確信がある。
強いて言えば、勝負が、はっきり記録として表れる単純明快な競技だから?フィジカルの本質を競うスポーツだから?陸上競技という名のもとに集まった個人競技が主体だけど、それとは裏腹に家族的な要素があるからなのか?・・・
陸上競技に家族的な要素があるなんて・・・今まで思ってもみなかったけれど、今、これを書いていて、初めてそんなことを思った次第だ。