花好き・旅好き80代の北国女性の日記(ブログ開設18年目)

趣味はガーデニングと家庭菜園、外国旅行だったが、新型コロナ禍と膝の不調、円安が重なり外国は見合わせている。

「インド旅行」(7)

2013年12月07日 | 海外旅行「南アジアⅠ」インド

≪「ベナレス」観光②≫

翌朝は、まだ暗い内にホテルを出て、昨日の聖地、ガンジス河畔に向かった。
昨夜はごった返す人々の中を縫うように走る自転車「リキシャ」に乗って聖地の近くまで行ったのだが、朝はバスを下りてから暗い道をガイドに案内されて、懐中電灯を片手に1kmほどの距離を歩いた。

軒先で汚れた布に包まって寝ている「ホームレス」があちこちにいたが、驚いたことにすでに多くの人々が働いていた。
歯磨きをする小枝を売る女性や「ホームレス」に炊き出し用の雑炊を作る男性などだ。
(考えてみたら、この伝統的な小枝のブラシこそ環境を保全するスローライフに繋がる。今世界中で使われているプラスチックの歯ブラシは、絶対自然に分解しないし、燃やすと有害物質「ダイオキシン」を生成するからだ)

  

 
 
昨夜の川岸に近づく頃、少し明るくなった。
ガンジスに捧げる流し花(真ん中に小さなろうそくが乗っている)を売っている女性達がいたので、私達はそれぞれ10ルピー(日本円で18円)で買った。
河畔には何艘もの小型ボートが乗客が乗るのを待っていた。その1つに私達も乗り込んだ。そのボートは手漕ぎで、男性がガンジスの流れと反対側の上流に向かって全身を使って漕ぎ出した。

川岸を見るとズラリと連なった「ガート」が良く分かった。モスクや協会、ホテルの建物もあった。どれも古い建物らしかった。
外れに黒く焼けた木から白煙が立ち昇る「火葬場」らしき場所が見えた。

太陽が対岸遥か地平線に上って来た。私は旅で仲良くなった友人と並んで座っていたが、「無事に旅行を終えて帰れます様に…」とつぶやきながら途中で買った流し花に火をともしてガンジス河に流した。

  

 

河畔のあちこちで、男女が「ガート」を下りて流れに身を浸けるのが見えた。泳ぐ男性もいた。皆、ガンジスの水で顔や髪を洗い、うがいをしていた。

 

やがてボートは反対側に向きを変え、流れに沿って下り始めた。
ガートの下流の外れにも、白い煙が上がる「火葬場」があった。ガイドは「近くから写真を撮ってはいけない。」と注意した。
その周辺には薪が積み上げられていた。どうやら夜中、火葬をしているようだった。その灰は全て聖なるガンジス河に流すのだ。
ここで「火葬」されれば、ヒンズー教が教える生命の輪廻の教え(人間は何度も生まれ変わり、その度に自分が招いた罪を抱えて生きなければならないという教え)から抜け出し、「安心して天国に行くことができる」と信じられているという。
ここで火葬してもらう費用は、10(日本円で18円)~500ルピー(日本円で900円)程がかかる。

乳児、妊婦などは火葬されずに、布に包んだまま流れに入れられるそうだ。

 

ボートを降りて、階段を上った。ガートで「ホームレス」らしき母が、小さな子どもに着替えをさせていた。離れた所では子ども同士で焚き火を焚いて暖を取っていた。

それから「火葬場」の裏手に当たる細い路地を通り抜けた。自転車の後ろにつけた荷車で「火葬場」に薪を運ぶ裸足の男性に出会った。
この場所には人間の様々な、そして赤裸々な生と死、切なる願いが、悲しいほどに凝縮されて現れているように思えた。

  

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「インド旅行」(6) | トップ | 「インド旅行」(8) »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (サマンサどら猫)
2013-12-07 12:12:01
写真リアルで、きれいですねえ。インドはあこがれの地です。行ってみたいですw-。但し、ヨーロッパをあちこち行ってからですけれど。親戚の子(偏差値の高い大学出ですが、挫折し)が、1年ほどバックパッカーでインドも行ってました。私ももっと若いと放浪したいのですが。
返信する
Unknown (ソナタ)
2013-12-07 14:09:15
サマンサどら猫さん、写真を褒めていただき、有難うございます。
古いデジカメで撮っています。
スピードが出ているバスの車窓から写しても、まあまあの画像が撮れますが、その内、一眼レフのデジカメが欲しくなるかも知れません。

親戚の甥子さん(かな?)きっと衝撃を受け、元気を取り戻したのではないですか?
返信する
Unknown (モコモコ)
2013-12-08 10:21:35
ソナタさんこんにちは
日曜の朝団地の掃除を終えてゆっくり読ませていただいております。
美しいシンメトリーのタージマハールと対照的に死を待つ人の写真はちょっと衝撃的でした、これぞブログならではの醍醐味を味わせてもらってます。
インドへ行くと人生観が変わるというのをよくききますが、このガンジス川河畔の生と死の人々の営みをソナタさんの記事と写真からこんなことなのかなと想像して、実際その場に立つことで何かが起こるのでしょうね。
まだブログ途中ほんとにお世話様です、最後までまたじっくり読ませていただきます。
返信する
Unknown (ソナタ)
2013-12-08 18:13:46
モコモコさん、こんにちは♪
コメント有難うございました。
私のブログに意味を見つけて下さり、有難う。
「ベナレス」では、貧しい人たちが多く、それだけに宗教に心の支えを求めるのではと思いました。
初め、ガンジス河で沐浴するのはホームレスの人たちではと疑いましたが、そうばかりではないようでした。
これからも宜しくお願いします。

返信する
Unknown (Pione)
2013-12-09 08:17:11
こんにちは。しばらく留守にしておりましたため、一気に読ませてもらいました。
静と動が入り交じり、逞しく生きている国の感じが伝わってきました。
何でも流れていて、清らかな感じがしないようですが、人々にとってなくてはならない聖なる川、ガンジスなのでしょうね。
返信する
Unknown (ソナタ)
2013-12-09 09:44:06
Pioneさん、コメント有難うございました。
日本人も悪い事を「水に流す」と言いますが、インドでは極限環境にある路上生活者が日本の人口に匹敵するほど多いため、清潔感が育ち難い環境なのでしょう。
気温が高いことで直ぐ死に繋がり難いのだと思いますが、食事も排せつも睡眠も子育ても、全て動物と同じように戸外でするのですから、その過酷さは想像を絶します。
返信する

コメントを投稿

海外旅行「南アジアⅠ」インド」カテゴリの最新記事