先週の金曜日(9月15日)に、63歳男性が発熱外来を受診した。9月13日から発熱があり、その日に地域の基幹病院を時間外で受診したが、アセトアミノフェンを処方されただけだったそうだ。
38℃の発熱が続いて、悪寒もあったが、悪寒戦慄までではなかったようだ。鼻汁・咽頭痛・咳はないという。発熱以外の症状はなかった。
コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。ウイルス性上気道炎とはいえないので、血液・尿検査と胸部X線検査を行った。
胸部X線で右肺上葉に浸潤影があり、肺炎だった。呼吸器症状がないことから、通常の細菌性肺炎ではない可能性もあり、胸部CTでも確認した。改めて確認したが、咳・痰は出なかった。
血液検査は白血球1600・Hb10.6g/dl・血小板5.3万と貧血は軽度だが、白血球減少・血小板減少が目立つ汎血球減少症を呈していた。CRPは24.3と著明に上昇している。
6月に突発性難聴で基幹病院耳鼻咽喉科に入院しているが、その時は血球減少には言及されていない。8月7日に健診を受けていて、白血球減少を指摘されたという。
結果を確認すると、白血球2900(好中球51.0%)・Hb15.3g/dl・血小板11.8万と、その時から始まっていたようだ。要2次検査だが、受診はしていない。
肝機能障害があり、血球減少と関連するかと腹部エコーで確認したが、脂肪肝を認めただけだった。肝硬変ではない。
肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検査は陰性だった。血液培養2セットを提出して、入院とした。
セフトリアキソンとレボフロキサシン併用で開始した。翌々日には解熱して、食事も摂取できた。連休明けの9月19日には体調が良くなって、暇そうに病室(個室にしていた)でラジオを聴いていた。
血液検査再検では、白血球1100(好中球48.0%)・Hb10.4g/dl・血小板7.5万と気持ちの悪い結果だった。CRPは8.7と改善している。
汎血球減少は骨髄の問題だろう。末梢血で芽球は出ていないが、白血病の可能性もある。再生不良貧血、血球貪食症候群などの疑いがあるが、わからない。このまま肺炎の治療を続けて、血液内科の外来に紹介できればいいが、どうなるか。
血液内科紹介を伝えたところ、医療センターを希望された。娘さんが近くに住んでいるからという。予約がとりにくい病院なので退院は決まっていないが、来週の火曜日に血液内科外来の予約をとった。今週末に当院を退院して、念のためレボフロキサシン内服を継続して紹介としたい。