なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

レムデシビルの肝機能障害

2023年09月11日 | COVID-19

 9月4日に記載したCOVID-19の肺炎を呈した81歳男性の経過。

 8月28日に他院でCOVID-19と診断されていた。自宅静養していたが、食欲低下・倦怠感で9月4日に当院に救急搬入されている。8月28日が発症日とすると(実際はその1~2日前か)、8日目になる。

 両側肺にコロナらしいすりガラス陰影があり、酸素飽和度が90%未満になっていた。中等症Ⅱ相当になる。白血球4100・CRP4.7だった。

 発症後7日は過ぎていたが、10日以内だったので抗ウイルス薬のレムデシビルを投与した。さらに悪化すればデキサメサゾンを開始するつもりだた。

 酸素化は特に悪化しなかったが、3日後の9月7日の検査で白血球6100・CRP5.6と軽快していなかった。その日呼吸器外来に大学病院の感染症科の先生が来られたので相談した。

 その日は発症11日になる。抗炎症薬としてのデキサメサゾン投与は問題ない。(あまり早く入れるとウイルスの増殖を促進してしまう)

 肺炎の程度が重症だったり、進行している時のデキサメサゾン8mg/日ではなくて、4mg/日を5日間その後2mg/日を5日でどうでしょう、といわれた。

 早速その日からデキサメサゾンを開始した。その日と翌日は変わりなかったが、投与3日目の9月9日から食欲が回復して、倦怠感も軽減していた。

 今日(9月11日)病室に行くと、それまでだるそうに横になっていたが、ベット上にすっと起き上がったきた。デキサメサゾン4mg/日の5日目になるので、翌日からは2mg/日を内服で継続とした。

 血液検査は白血球8900(ステロイドのため)・CRP0.9と炎症反応は軽快していた。ただし、思いがけない肝機能障害が出ていた。

 入院時は正常だったが、レムデシビル3日投与後は、AST 55・ALT 32・LDH 211・ALP 57・γ-GTP 21と軽度に上昇していた。9月9日までレムデシビルを5日投与したが、今日はAST 430・ALT 564・LDH 264・ALP 88・γ-GTP 62とかなり上昇している。

 レムデシビルの副作用と判断される。患者さんは調子が良くなって、早く退院したいといっていたが、肝機能障害の軽減を確認しないと帰しにくい。3日後に再検してから判断することにした。

 

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