今日はがんセンター主催の感染管理のカンファランスがある(web開催)。当院の発熱外来の結果を報告するので、2週間分を確認した。
8月28日から9月3日までは、発熱外来受診数が105名で、76名(72%)がCOVID-19と診断された。インフルエンザA型が2名いた。
9月4日から9月10日までは、発熱外来受診数が84名で、45名(54%)がCOVID-19と診断された。インフルエンザA型は1名いた。
受診者に発熱があれば、発熱外来を通してからになるので、急性腎盂腎炎・急性胆管炎・下痢(腸炎)・虫垂炎など呼吸器症状がなくても発熱外来扱いになる。
発熱・呼吸器症状の患者さんに限定すれば、コロナ陽性率はもっと高い。またコロナとインフルエンザの抗原定性試験なので、感度の問題がある(60~70%)。複数の家族がコロナに罹患して、おそらくコロナと思われても検査で陰性ということもある(偽陰性)。
先週、コロナの初期(2020~2021年)に見られたようなウイルス性肺炎(両側肺野の胸膜直下に広がるすりガラス陰影)の患者さんが入院した。
呼吸器外来に来てもらっている先生(大学病院感染症科)にお聞きしたところ、最近ウイルス性肺炎が増えているということだった。
倉原優先生のYahoo newsにも記載があった。
デルタ株の頃と比べると肺炎の頻度はかなり減りました。しかし、直近の第8波と比較すると、当院では「ウイルス性肺炎」が増えています。
ワクチン接種がすすめられる過程で、現場から目にすることが急激に減ったのが、このウイルス性肺炎です。当院のウイルス性肺炎の合併頻度は8~108%にまで減っていたのですが、「5類感染症」に移行してからじわじわと増え、現在18~20%の頻度となっています。
インフルエンザではウイルス性肺炎を起こすことは多くないので、同じ「5類」でも、両者は全く異なるウイルスだと実感しています。本当にやっかいなウイルスです。
では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
1つは感染者数が多いためです。どの波でも経験されたことですが、感染者数が多いと、それに引っ張られるように中等症や重症も増えます。
もう1つがワクチンの効果切れの懸念です。ウイルスの毒性はそこまで変わっていないのにウイルス性肺炎をみかけることが増えたのは、感染予防効果だけでなく重症化予防効果が落ちてきているのかもしれません。
忽那先生のYahoo newsから
新型コロナが5類感染症となった5月8日以降は、定点報告と呼ばれる報告体制に移行しています。
定点報告数とは、定点医療機関と呼ばれる各都道府県で指定されている医療機関で、ある週の月曜日から日曜日に報告された新型コロナの平均報告数のことであり、翌週の木曜日に発表されます。
したがって、これまで即日に把握できていた流行状況が、約1週間遅れるということになります。
忽那先生と倉原優先生のYahoo newsは必見なので、ぜひご覧ください。ちなみに当院は定点医療機関ではありません。