9月19日火曜日は救急当番(発熱外来も兼ねる)だった。救急隊から発熱・咽頭痛・呼吸困難の38歳男性の搬入依頼が来た。
COVID-19と思われ、救急隊もそのつもりだったようだ。到着後すぐにコロナとインフルエンザの迅速試験を行ったが、両者とも陰性だった。
2日前の9月17日から喘鳴が始まっていた。小学校の時まで喘息発作があったが、その後はなかったそうだ。前日は体温測定して37.1℃、搬入時は37.3℃だった。
発熱は微熱で咽頭痛はほとんどないという。2日前からの喘息発作が続いているのだった。酸素飽和度が90~92%で時々880%になる。酸素吸入2L/分を開始すると97~99%になった。
感染が契機になったと思われ、ウイルス感染の原因がCOVID-19か通常の風邪ウイルスかになる。コロナのPCR検査を追加で提出した(結果が出るまで1時間)。
喘息の治療はβ刺激薬の吸入を行って、ステロイド(デキサメサゾン8mg注=6.6mg)を点滴静注した。喘鳴は続いていたが。搬入時より緩やかになってきた。
コロナのPCR検査は陰性だった。さすがに発症3日目でPCR陰性ならコロナではないのか。コロナ用の部屋で治療を開始していたが、胸部CTを撮影して、通常の点滴室に移動してもらうことにした。
胸部CTを行った放射線技師さんから画像上コロナらしいので、コロナ用の部屋に戻して下さいと連絡がきた。画像を書くにすると右肺にすりガラス陰影が散在していた。クリッとした限局性の陰影で、胸膜直下にちょこんとした小陰影もある。縦隔気腫も併発していた。
確かにこれは、100人に見せればほとんどの人がCOVID-19というだろう、という陰影だった。コロナ用の病床に隣接した病室を疑診例の経過観察用にしている。そこに入院してもらって、またPCR検査を再検するしかない。
入院の話をすると、経済的な問題から入院拒否だった。奥さんも説得したが、頑としてきかない。やむなく、500mlの点滴2本を外来で行って夕方までけいかを見た。
酸素吸入は不要になったが、喘鳴はまだあった。翌日必ず受診するという約束をして帰宅となった。(翌日はちゃんと受診して、その後外来点滴を継続した)
コロナ以外の風邪ウイルス感染症でも、胸部CTを行うとコロナ様の陰影があるのだろうか。