なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腰部脊柱管狭窄症

2021年12月21日 | Weblog

 先週、リウマチ性多発筋痛症(PMR)で通院している83歳男性が予約日に受診した。外来通院になってから、少しこじれて両手・両足の浮腫を伴ったりしていた。PMRそのものというよりは、RS3PEと判断され、通常よりは慎重なプレドニン漸減中だった。

 1週間くらい前から、右下肢のしびれと疼痛(左下肢も軽度のしびれもあり)があって、動くのがひどいという。その日の血液検査では炎症反応は陰性で、原疾患であるPMR(RS3PE)の増悪とはとれない。

 腰椎MRIで確認すると、腰部脊柱管狭窄症と読影された。背側からの黄靭帯の圧排がある。専門の本を見れば脊柱管狭窄症が詳しく載っているかと思ったが、案外そういう本は見当たらないかった。

 以前から整形外科クリニックに通院していて、今回も受診しているが、当院でステロイドなどが処方されているので、そちらのクリニックからは湿布くらいしか処方されていないようだ。

 アセトアミノフェン(1500㎎/日)を処方したが、その後痛みがひどいと再受診していた。別の先生がジクロフェナク座薬を使用して、屯用で持たせていた。

 今日また外来に来ていたが、歩行はできるし、名前を呼んだ時の起き上がりもそれなりにできていた。まっすぐ立ち上がると痛いので杖を使用して少し前かがみにした方がいいと伝えた。

 こちらで処方するのもと思ったが、鎮痛薬はトラムセットに変更した。プレドニンの漸減は今回は見合わせて、次回の検査結果をみてから行うことにした。

 

 

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久しぶりの受診~糖尿病には禁忌

2021年12月20日 | Weblog

 現在78歳の女性を娘さんが連れてきた。受診が中断していて、今年6月に娘さんが1か月分の処方だけ取りに来ていたが、その後も受診はしていなかった。

 一人暮らしをしていたが、活発な方で、カラオケなどの会に参加していた。会の仲間たちといっしょに旅行にいった話をよくしていた。

 数年前から認知症の症状が出始めて、予約日を忘れるようになった。その1~2週間後などに受診していたので、薬がなくなったのに気付けば受診することはできた。昨年から中断したままになり、娘さんにいわれてやっと受診するようになった。今年になってからは高血圧症と糖尿病で通院していることも気にしなくなったようだ。

 娘さんが精神科病院になんとか連れて行って、内科からアリセプトを処方して経過をみて下さいということになった。物忘れはあっても、取り繕いがうまいというアルツハイマー型の特徴があり、知らない人ならば認知症と気づかないような対応をする。

 今日の結果は、HbA1cが7.8%とびっくりするような値ではなかった。DPP4阻害薬1剤で6%台後半にはなるので、再開することにした。認知症の患者さんでは、DPP4阻害薬だけの治療が一番無難だと思う。

 一人暮らしのままだったが、毎日デイサービスに行くように、予定を組んでもらっているそうだ。1日1回の処方ならば、施設に依頼できる。

 デイサービスでは血圧を測定するが、高値と問題になっていないそうだが、150くらいにはなっていたらしい。今日は正常域だった。降圧薬3剤(ARB、Ca国交薬、α遮断薬)を処方していたが、Ca拮抗薬1剤だけを継続とした。

 

 まずいと思ったのは、11月から精神科病院でセロクエル(クエチアピン)が(37.5mg/日)から処方されていたことだった。娘さんは糖尿病があることは伝えてあるというが、認識されていなかったようだ。糖尿病があると、セロクエル(クエチアピン)とオランザピン(ジプレキサ)は禁忌になる。リスパダール(リスペリドン)に変更してもらう必要がある。

 娘さんによれば、この薬を飲んでから、いい感じにおとなしくなったという。介護拒否があるので、何らかの抗精神薬は継続したほうが介護しやすい(抑制系の認知症薬もあるが)。

 先方に直接お話します、と娘さんが言うので、診療情報提供書は書かなかった。改めて、糖尿病がありますと言えばすぐにわかるはずだ。

 元気なころを知っているので、従順ではあるが、活気のない様子は少し寂しい気がする。それでも、こうなると家族の希望に合わせて対応することが第一にはなる。

 

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できれば培養検査を

2021年12月19日 | Weblog

 水曜日の当直の時に発熱の患者さんを診る時に、発熱外来の欄に日中に発熱で受診した患者さんがいたので、ちょっと確認した。

 65歳男性で、前日からの発熱で受診していた。尿道の違和感もあるそうだ。午後の発熱外来当番の外科医が対応している。型通り、新型コロナの抗原定性検査とインフルエンザ迅速試験を提出していずれも陰性だった。

 白血球14000・CRP9.8と炎症反応の上昇があった。尿検査では沈査で赤血球10-19/HPF・白血球>100/HPF・細菌(3+)と尿路感染症を示していた。

 胸腹部CTで肺炎像はなかった。両側の腎臓に水腎症はなく、尿管の拡張もない。膀胱壁の肥厚あり、膀胱炎と考えられると記載されていた。レボフロキサシン内服が処方されていた。次の外来予約はないので、それで治ると判断されたようだ。悪化時に再受診と記載されていた。

 発熱以外のバイタルサインに特に有意な異常はない。確かに尿路感染症だとは思うが、発熱(高熱)があるので、膀胱炎ではなく急性腎盂腎炎になる。前立腺炎の有無も気になった。なにしろ最近何人か続いているので。

 感染の係としては、尿培養と血液培養2セットの提出がほしい。前立腺炎の有無をみるため血清PSA値もできれば確認したい。年齢的に(当院としては)若いので外来治療でもいいが、せっかく泌尿器科外来(非常勤医だが週4回)があるので、そちらに回してもらうのもいいと思う。結果的には治って終わりになるのかもしれないが。

 

 今週末はてんかんの初心者向けの本を読み返していた。「一般医のためのベーシックてんかん診療」亀山茂樹著(診断と治療社)2400円。薄い本で、非専門医用にわかりやすく記載している。研修医にお勧めだと思う。

一般医のためのベーシックてんかん診療

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またM蛋白(IgM)

2021年12月18日 | Weblog

 市内の医院から紹介された83歳女性を内科の若い先生が診ていた。紹介状(診療情報提供書)には、貧血・M蛋白とあった。M蛋白ならば、当院に紹介しても仕方ないので、がんセンターなどの血液内科へ紹介してほしいが。

 全身倦怠感と体重減少があり、今月初めの検査で貧血(Hb10g/dl台、MCVでは正球性)があり、血清蛋白電気泳動でM蛋白疑いという外注検査の結果が添付されていた。慢性炎症でしょうか?、と記載されている。

 当院でも検査を行うと、免疫電気泳動でM蛋白(IgM)があり、可溶性IL-2受容体抗体が2190U/mlと上昇していた。胸腹部CTでは脾腫があるが、リンパ節腫大は指摘されない。

 この前、多発性骨髄腫を疑った患者さんがいて、M蛋白はIgMだった。骨髄穿刺で形質細胞とリンパ球の増加があり、リンパ形質細胞性リンパ腫・原発性マクログロブリン血症と診断された。

 こちらの患者さんも同様なのだろうか。前の患者さんでは、認知症で施設入所中であり、家族が専門病院へ紹介しての精査・治療は希望しなかったので(受診しても治療対象とされない)、当院でできる範囲で検査した。

 今回の患者さんは一人で受診してきているくらいなので、家族に連れて行ってもらえば、紹介可能だと思う。その上で、経過観察の方針になれば当院で診ていくのもある。

 次回は家族といっしょに外来に来るそうなので、専門医への紹介を若い先生に勧めた。

 

 火曜日は市医師会の講演会があり、頼まれた座長をした。完全なweb開催で、製薬メーカーが借りた貸し会議室にMRさん2名と当方がいて、講師の先生(名誉教授)は自宅から配信する。zoomが途中で止まったりしたが、無事に終了した。郡部の医師会なので大抵15名くらいの参加の小規模なものだ。

 市医師会の講演会の座長は基本ボランティアだが、このメーカーは座長料を出してくれた。このメーカーは海外大手の関連企業で、そちらのメーカーの時も確か座長料を支払っていた。

 相場は講師10万、座長3万くらいだと思う。今回座長として4.5万で、いったい講師にはいくら支払っていたのだろう。ささやかなCOIだが、製薬メーカーに対する印象は良くなる。もっともこのメーカーの薬は同効薬の中ではすでに一番売れていて、当方もかなり使っていた。

 

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脳出血で外来経過観察

2021年12月17日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、発熱の86歳女性が救急搬入された。救急隊は、地域の基幹病院に連絡したが、心肺停止の搬入があって受けられないといわれたと言っていた。

 バイタルサインは発熱以外に問題がないので、肺炎よりは尿路感染症(急性腎盂腎炎)かなと検討をつけた。当院で対応できるので引き受けた。

 救急隊がまず基幹病院に搬入依頼をしたのは事情があった。1日前の月曜日に先方の病院の脳外科を受診して、脳出血と診断されていたのだった。

 若干右麻痺があり、内科医院から紹介されて受診していた。手術適応はないので、外来で経過観察をすることになったそうだ。次回に外来予約が次週に入っていた。 

 確かにごく軽度の脳出血だと手術適応はない。当院での神経内科でそのまま入院とすることもある(基幹病院でも脳外科ではなく脳神経内科で扱うこともある)。しかし急性期は普通入院だろう。発症4~5日目ごろに脳浮腫が進行して症状も悪化するので、1週間経過をみないと症状が変化がわからない。

 確かにベット事情が厳しい病院だが、これは入院で診た方がいいと思う。経過観察だけならば、当院に紹介してもらうのもある。頭部CTで確認すると、左被殻出血で脳浮腫を伴っていた。

 

 昼に味噌汁でむせったという話があり、誤嚥性肺炎が疑われた。最初CTで肺炎はなさそうだと思われた。尿路感染症だろうと思って尿検査をしたが、尿路感染症らしさはまったくなかった(採取した時に、肉眼的にまったくきれいで当てが外れた)。

 改めて胸部CTを確認すると、右中葉に淡い陰影が限局性にあるようだ。発熱の原因は肺炎だった(たぶん)。検査では白血球増加・CRP正常域で、感染症初期像を呈していた。脳出血・誤嚥性性肺炎として当院入院とした。

 

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PTPでした

2021年12月16日 | Weblog

 12月14日に記載した胃前庭部腫脹の72歳女性のその後を、消化器科医が報告してきた。

 入院時に腹部CTで胃前庭部に全周性の浮腫性腫脹があった。入院後の内視鏡検査では胃前庭部の限局性にごく軽度の発赤・浮腫があるだけだった。

 心窩部痛も消失していたので、食事が開始されて問題なく摂取できた。患者さんから、便に変なものが混じっていたという報告があったそうだ。どうも薬のPTP包装シートらしい(あの薬を入れいる銀色のもの)。

 改めて、腹部CTを見ると、前庭部の幽門輪のところに線状の物が写っていた。薬のPTP(press through pack)包装シートは薬10個がひとつのシートにパックされている(最近は2週間分14個の薬のシートもある)。あれの1個分のシートらしい。

 患者さんの中には、PTP包装のまま、1個ずつハサミで切ってしまう人がいる。その形で1日分ずる小分けにしている。そうすると、1個分のPTP包装シートを、薬ごとあるいは何かの拍子に薬を取り出したシートを飲んでしまうことがある。

 この患者さんもそうだった。PTP包装シートを飲んだかもしれないという。1個分のシートは四角に切られるので、通常は間違って飲むと下咽頭か食道上部で引っかかる。違和感と疼痛がひどいので、異物誤飲として緊急内視鏡で取り出すことになる。

 実は救急外来を受診して入院になった土曜日の2日前(木曜日)に、耳鼻咽喉科外来を受診していた。主訴は、「薬を3個飲んだ後に、のどに引っかかっているような気がする」というものだった。

 耳鼻咽喉科なので、喉頭鏡で観察して、食道入口部までにはまったく異常を認めなかった。症状が続く時は、上部消化管内視鏡検査でみてもらうように、と言われていた。その後のどに詰まった感じは消失したので、消化器科を受診しなかった。

 症状からは下咽頭か食道上部でいったん引っかったが、無事に咽頭食道を通過して、胃内に落ち込んだ。幽門輪を通過できずに止まってしまったので、そこで浮腫性の炎症を来した。

 しかしその後無事に幽門輪を通過して、小腸から大腸に流れ込み、ちゃんと便といっしょに排出されたのだった。何か所かで引かかったものの、自力で治したのだからたいしたものだ。

 たいていは、PTP包装1個分の四角の角が消化管粘膜に刺さってしまうものだが、飲食物の流れに押されてうまく通過していったようだ。

 

 食道で引っかかってしまった患者さんが来て、たまたま消化器科医がいないと、代わりに摘出を頼まれることがある。粘膜を傷つけないように取り出すため、内視鏡の先端に透明フードを装着する。異物鉗子では大きすぎるので生検鉗子でつかんでフード内に入れて、内視鏡ごと抜いて来る。

 研修医の時に、大きな魚の骨を飲み込んでしまい、食道粘膜を傷つけて縦隔炎を来した患者さんもいた。消化器科医だと、さまざまな異物誤嚥の経験があるはずだ。

 

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新型コロナワクチンの3回目接種

2021年12月15日 | Weblog

 月曜日に新型コロナワクチンの3回目の接種(ファイザー)を受けた。注射部位の疼痛・腫脹や発熱の副反応が2回目より早く出現した。2回目の時は、注射部位の症状は翌日の朝からで、発熱は翌日午後に出て(37.6℃)、倦怠感が強かった。

 今回はその日の夜から注射部位の疼痛・腫脹がひどくなった(寝ていて布団が当たっても痛い)。翌日朝から発熱(37.7℃)があり、午後になっても続いていた(37.5℃)。

 市医師会の講演会があり、座長をすることになっていたので、夕方にアセトアミノフェン500mgを使用した。それもあったとは思うが、時間的な問題でその後は解熱していた。翌々日の今日も注射部位の疼痛・腫脹はまだあるが、治まって来ている。

 昨日は、病院職員の新型コロナワクチンの問診係をしていた。若い人でもほとんど副反応がない人もいて、副反応の頻度は多いが、確かに全員に出るわけではない。

 注射部位の疼痛・腫脹はかなりの人で起きるが、有意な発熱は2~3割になる。おそらくほとんどの人で注射部位の症状は多少あると思うが、程度が軽いと気にしないのだろう。

 

 忽那先生のYahoo newsの記事によれば、3回目接種の副反応は2回目とほぼ同じということだ。

 

3回目のワクチンの副反応の頻度 モデルナ社とファイザー社との比較(DOI: http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7039e4より筆者作成)
3回目のワクチンの副反応の頻度 モデルナ社とファイザー社との比較(DOI: http://dx.doi.org/10.15585/mmwr.mm7039e4より筆者作成)

 

 

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胃前庭部腫脹

2021年12月14日 | Weblog

 土曜日の夜間に心窩部痛の73歳女性が入院していた。夜間の遅い時間の入院は翌朝に連絡をもらうことにしている。

 土曜日の午後に心窩部痛で受診していた。夜間になって再受診したので、精査として腹部造影CTを行っている。肝胆道系・膵臓には異常がなかった。胃前庭部が全周性に浮腫状に腫脹していた。日当直の外科医(大学病院からバイト)は点滴とオメプラール注で治療していた。

 日曜日の日直は消化器科医だったので、土曜日のその話をしたところ、消化器科で診てくれることになった。治療はオメプラール注を継続していた。

 日曜日の昼には症状が軽快していた。月曜日に上部消化管内視鏡検査が行われたが、胃前庭部にはわずかな発赤とごく軽度に限局性浮腫があるだけだった。CTの印象とはだいぶ違う。

 消化器科医は急性胃粘膜病変(AGML)を想定していたが、もう少し病変が残っているもんだろうという。またアニサキスも考えていたらしいが、もう判断はつかない。

 内科クリニックから多分逆流性食道炎としてPPIが処方されていた(オメプラゾール20mg)。PPI内服している人がNSAIDsなどこれといった原因もなく、AGMLを来すかというとちょっと考えにくい。

 消化器科医はオメプラール注を中止して、タケキャブ(P-CAB)を処方していた。すっかり症状が消失しているので、食事を開始した。何らかのアレルギーの機序だったかもしれない、ということになった。

 当院は現在時間外の緊急内視鏡はできないので、吐血の場合は地域の基幹病院などの消化器内科に搬送している。

 

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また前立腺炎?、前立腺癌?

2021年12月13日 | Weblog

 土曜日の夜に日当直の外科医(大学病院からバイト)から、発熱の97歳男性を入院させたいと連絡が来た。

 老夫婦二人暮らしで、夫は車いす移動で、妻も認知症で介護を要する。毎日にようにヘルパーさんが入っていて、その日はケアマネージャーが連れてきたそうだ。

 肺炎はなく、尿混濁もなく、原因は不明だという。食欲低下もあるので、点滴をしてもらうことにした。夫を入院させて、妻は急遽ショートステイ入所させることになるそうだ。

 日曜日に患者さんを診に行った。高齢の割に元気そうだった。よくしゃべる人だが、電子カルテにポチッとマークがあった。何かともめるひとらしい。

 炎症反応は初期像のせいか、上昇は軽度だった。確かに胸部X線で肺炎像はなく、尿も正常域だった。腹部CTを取っていたので、確認した。

 前立腺肥大症を指摘されたことがあるが、治療は中断していた。前立腺腫大というより均等な腫大ではなく、左側が腫大して膀胱に突出している。

 日曜日だが、検査で血清PSAを追加測定してくれた。血清PSAは86.155ng/mlと上昇していた。前立腺癌な前立腺炎による上昇と判断される。あるいはベースに前立腺癌があり、炎症でさらに上昇しているのかもしれない。

 入院後にセフトリアキソンは入っていたが、血液培養2セットを提出しておいた。セフトリアキソンは前立腺への移行がいいので、そのまま継続とした。

 前立腺炎として3週間治療をして、血清PSAを再検して、炎症の鎮静により低下するかどうかみることになる。今日は体調がよくなったせいか、退院すると言って病棟の看護師さんを困らせ始めていた。

 明日血液検査をして、入院時と比較するので、明日までは入院していることにした。明日忘れていなければ、普通に入院を継続するが、騒ぐ時は抗菌薬経口に切り替えるしかない(前立腺移行のいいレボフロキサシンになる)。

 現実的には介護の手を借りないと生活できないのだが、それは考えていないらしい。

 

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血糖コントロール依頼

2021年12月12日 | Weblog

 脳塞栓症(心房細動あり)で地域の基幹病院に入院した67歳男性が、11月半ばに当院回復期リハビリ病棟に転院してきた。

 担当は神経内科だが、糖尿病の治療を内科に依頼された。もともと内科クリニックに通院して、SGLT2阻害薬(ジャディアンス10mg)が処方されていた。

 先方の入院時のHbA1cが7.1%なのでそう悪くはない。外来ならば、DPP4阻害薬を追加してHbA1c6%台に持っていくというところだ。

 しかし入院後の血糖が200~400mg/dl台で推移したので、糖尿病科で治療されて、インスリン強化療法が開始された。持効型インスリンを定期で入れて、食事摂取量が安定しないため、食事摂取量に応じて速効型インスリン(ヒューマリンR)を使用していた。

 糖尿病の治療は急性期の状態で転院してきたので、神経内科医としては面倒だと思ったのだろう。とりあえず、先方と同じで数日血糖を見てもらって、その結果で調整することにした。

 当院転院時はHbA1c7.8%になっていた。先方での外注検査で血中Cペプチドが3.30ng/ml(空腹時)と正常域だったが、当院で再検すると0.4ng/mlと低下していた。0.6ng/ml未満だとインスリン依存状態相当になる。

 短期間でそんなに変わるかと思ったが、インスリンは中止にしがたい。先方の病院入院時は腎機能障害(血清クレアチニン2mg/dl)だったが、その後回復している。脱水症としての悪化だったようだ。

 DPP4阻害薬、メトホルミンを入れて、ヒューマリンRで補正は使用しないくらいにはなった。インスリンは持効型だけ少量使用している。あとはSGLT2阻害薬を入れて、可能ならば持効型インスリンも中止できるかだが、もう一度血中Cペプチドを見てからの方がいいようだ。

 インスリン依存状態だと、インスリン量が少量なので中止できると思ってやめると、血糖がぐっと上昇する。それにしてもCペプチドは安定しているはずで、こんな変化はしないはずだが。送られてきた胸腹部CTの画像を見ると、膵臓自体にとくに異常はない。

 もう1回1か月くらい間をあけて、血中Cペプチドを測定して、前回より増加していればインスリンを中止する方向で調整したい。本人のためもあるが、施設入所の予定なので、施設で治療しやすい形を目指す必要がある。

 

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