なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急な?低酸素血症

2024年02月20日 | 呼吸器疾患

 2月17日(土)は当直だった。午後8時過ぎに65歳男性が受診したいという電話が入った。事務当直はめまいといっていたが、当直看護師が出るとそうではなかった。

 2年前から時々排便後に鮮血の出血がある。その日も午後3時ごろに排便後に出血があった。便自体は普通便だった。午後4時半から動くと息が苦しくなった。横臥してじっとしていると軽快するが、また動くと同様に息切れがする。

 立ち上がるとめまい(pre-syncope?)がすると言っていて、それが最初に聞いためまいという症状だった。症状は慢性だが、消化管出血による貧血の症状ともとれる。出血による重度の貧血で、それによって息切れをめまいが生じている可能性が考えられた。

 

 来院してすぐに排便があり、また出血していた。貧血と血圧低下を想定したが、眼瞼結膜に貧血はなく、血圧は130くらいだった。

 3年前まで当院の循環器科に発作性心房細動と高血圧症で通院してた。循環器科の閉科で市内の医院に紹介となっていた。お薬手帳は持参していないが、DOAC(当院通院時はイグザレルト15mg)が処方されているはずだった。

 救急室に入れて、点滴と採血を行った。胸部聴診では頻脈だが、心拍は整だった。心電図モニターでは洞調律で、心電図をとっても異常なしだった。

 腹部は平坦・軟で圧痛はない。直腸指診では、肛門周囲に血液付着がしていたが、直腸内に腫瘤はなかった。痔出血でいいようだ。血算はHb13.0で低下してなかった。(出血直後ではある)。

 

 酸素飽和度が80%台(81~86~88%)で手が冷たいためもあるかと思ったが、血液ガスで確認すると、PaO2が50.9・PaCO2が40.0・pH7.343と本当に低酸素血症だった。(酸素3L/分で96~97%になった)

 浮腫はなく、心不全ではない。発熱はなく、肺炎らしくもないが、診察だけではわからない。白血球9700・CRP0.1で感染症などの初期像なのかもしれない。

 胸腹部CTを行うと、両側肺にごく軽度の胸水があり、左肺背側に軽度の浸潤影があったが、これでそんなに酸素飽和度が低下するのだろうかと思った。

 

 酸素飽和度の低下が目立つが、それ以外はそれほどではない。搬送するのも少し躊躇われたが、その日は病棟はできるだけ入院はさけてほしいという状況だった。地域の基幹病院に連絡してみると、すぐ受けてもらえた。

 搬送の準備をしていて、そういえば両側肺に気腫性変化があると気づいた。確認すると喫煙者だった。もともと慢性閉塞性肺疾患(COPD)で酸素飽和度が健常者より低めのところに、感染症の併発などがあり、それが軽度でも酸素の低下につながったということか。(呼吸音は正常で喘鳴はない)

 息切れの発症が、急というか突発のようなのがわからない。搬送後に大したことはないとして戻されるのを当直看護師さん(急性期病棟の看護師長)が心配していたが、それはなかった。(外科常勤医がいなくて当院では座薬を入れるくらいなので、痔出血の処置は困るか)

 肺血栓塞栓症の鑑別で造影CTを追加した方がよかったかもしれないが、DOAC内服もあるので、それはないかと思ってしなかった。酸素吸入に抗菌薬投与(+気管支拡張薬)で良くなるのかもしれない。

 その後に急性腎盂腎炎の98歳女性が受診して、どうしても入院させるしかない患者さん用の1ベットを使用することになった。その点では搬送できて助かった。

 

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