なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

MPA+OMAAV

2018年10月10日 | Weblog

 87歳男性を、退職した内科の若い先生から引き継いで外来で診ている。病名は高血圧症・発作性心房細動・慢性心不全など。血圧を気にしすぎて、自分で降圧薬を調整してしまって、かえって不安性になっていた。また両足の甲の浮腫が出没することも気にし過ぎるくらい気にしていた。

 いつも奥さんが付いてきていて、夫が神経質というか心気症的で頻回に受診するのを申し訳なく思っていたようだ。その奥さんは今年の5月に、通院している内科クリニックからネフローゼ症候群の疑いとして紹介されて来た。腎臓内科への紹介だったが、受診前にめまい・食欲不振で内科に入院した(担当は他の先生)。

 血清総蛋白5.9g/dl・血清アルブミン2.6g/dlと低蛋白血症があり、尿蛋白(1.59g/g・Cr)・尿潜血陽性だった。白血球数8000(ふだん4000なので倍増)・CRP5.6と炎症反応も陽性だった。腎臓内科外来(大学病院から週1回来ている)で診てもらって、MPO-ANCAが陽性だった(194U/ml)。顕微鏡的多発血管炎(MPA)として、大学病院よりは受け入れの早い腎臓センターのある専門病院に紹介となった。

 そこまでの経過は知っていたが、その後忘れていた。今日その夫が外来受診日で(妻が入院してからはずっと一人で来ていた)、妻の話が出た。食欲があリ過ぎて困るという。

 奥さんの、門病院からの診療情報提供書を確認させてもらった。当院に入院していた時から難聴を訴えていたが、ANCA関連血管炎性中耳炎(otitis media with ANCA-associated vasculitis:OMAAV)と診断されて、治療により症状が改善したそうだ。

 顕微鏡的多発血管炎(MPA)はステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日)を行って、その後プレドニン内服になった。プレドニン30mg/日では尿所見の改善があまりなく、エンドキサンパルス療法も行っていた。その後は検査値も改善して、現在はプレドニン15mg/日になっている。

 確かに食欲は出そうだ。それにしも奥さんが入院してからは、この患者さん(夫)はひとりで通院していて、診察室では以前のこだわりの強い訴えは影を潜めている。家庭内での仕事も増えたようだし、精神的に自立せざるを得なかったのだろうか。

 

 

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