なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

拘置所から腹痛で受診

2021年07月18日 | Weblog

 水曜日の夕方に警察署の拘置所から、腹痛の52歳男性が受診した。正確には警察官3名が手錠と縄を付けて連れてきた。

 時間外の入り口から入ってもらい、救急室の診察室に入れて、ドアを閉めての診察だった。警察官3名が付いているので、今どきとしては密な状態だった。

 前夜から心窩部痛が続くという。話し方にはまだ余裕があり、饒舌だった。8年前に心窩部痛が続き、悪化して意識を失い程になって、病院に運ばれたそうだ。

 胃潰瘍穿孔と診断されたというが、穿孔性の急性腹膜炎として手術にはならず、保存的に治療されたという。それでうまく治った。その後、3年前には腸捻転(患者さんの表現)で別の病院で手術を受けた。いずれも患者さんの話だが、心窩部から臍部にかけて手術痕がある。

 腹部は平坦・軟で心窩部に圧痛はあるが、軽度だった。腹膜刺激症状はない。可能性としては胃潰瘍再発だった。

 拘置所にいて、まだ取り調べが続くので、ある程度診断を確定するために検査が必要だった。といっても、吐血・下血ではないので、緊急内視鏡検査とはしがたい。

 腹部CTでみると、腹腔内遊離ガス像はなく、腸閉塞とする所見もなかった。胆嚢・膵臓も問題なかった。血液検査で炎症反応は陰性で肝機能・血清アミラーゼは正常域だった。

 胃潰瘍再発疑いとして、タケキャブ・レバミピド(ムコスタ)を処方して(腹痛時カロナール500mg屯用)で経過をみてもらうことにした。可能ならばどこかで胃内視鏡検査を受けること、またピロリ菌除菌も勧めた(いると言われたが除菌はしてないと)。

 

 どんな犯罪で拘置所にいるのかは、訊いても絶対に教えてはもらえないことになっている。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする