教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

学問史・研究体制史(制度史)

2007年02月01日 18時26分50秒 | 教育研究メモ
 模様替えしてみました。「闘い」が終わったわけではないし、結果が出たわけでもないですが、現在私の中ではすでに区切りができて、切り替えがついているので、そういう気分になったのかも。
 昨日、病院へ行って新型のCPAP機器(無呼吸治療の機械)をもらってきました。前に使っていたのは1年半ほど前にもらったやつだったのですが、先日までの日記でもわかるように、このところ有効に機能していませんでした。そこに新しい機械をもらったので、さっそく昨晩から使ってみました。やー、お医者も言っていましたが、性能が良くなっているのが体感できます。おかげで今朝は普通に目が覚めました。若干前よりうるさいのと、マスクが慣れていないので具合が悪いのを我慢すれば、非常に満足しています。
 今日は朝から登校。昼に久しぶりに体育館で運動(昨日体重を量ったら元に戻ってた)。運動後、再登校して読書。一度は斜め読みをした、佐藤達哉『日本における心理学の受容と展開』(北大路書房、2002年)を気を入れて読みました。通史的な心理学史を受容史・制度史研究の方法で少しつっこんで研究したもの、という感じでしょうか。叙述等に不満が残りますが、勉強させてもらいました。とくに佐藤氏が同著で大きくとりあげている元良勇次郎は、大日本教育会・帝国教育会でも活躍していた人物なので、興味深く読ませてもらいました。
 「学史」といえば、たいてい「学説史」または「思想史」を意味する学問領域は多いようです。でも、私は、学史は、「研究体制史」(または「制度史」)抜きでは語れないはずだという立場をとっています。この立場(思い?)は、中山茂『歴史としての学問』(中央公論社、1974年)に強く影響をうけて導き出したものですが、その後、心理学の現状を見てさらにその思いを強くしたといういきさつがありました。近代日本心理学史の制度史的研究は1990年代ごろから研究が盛んになったようで、今では『心理学史・心理学論』という専門雑誌が出るほど。また、心理学史教育も盛んで、『通史近代日本の心理学』や放送大学教材の『心理学史』など教科書が何種類も出され、大学で専門の講義が開かれています。広島大学でも教育学部心理学講座が「心理学史」の講義を開いています。ほかにも人文社会科学系の学問のなかで、近代日本を対象とし、制度史(研究体制史)の視点を有する「学史」が盛んなのは、社会学史なんかがあります。社会学史学会(機関誌『社会学史研究』)ができるほど。政治学史・経済学史なども、古くから優れた研究があります。まあ、「これも部分的には研究体制史かなぁ」と言い始めると、キリがないですが。
 さて、ついでに教育基本法の勉強。

  【第4条】
○旧教育基本法第3条(教育の機会均等)
 1 すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
 2 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
○新教育基本法第1章第4条(教育の機会均等)
 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
 2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
 3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。

 第4条は教育の機会均等について定められている。旧法の1・2の内容については、新法でも語句・言い回しの変化はみられるが内容にとくに変化はない。新法では、新たに「障害」のある者への教育機会の支援について定められた。「障害の状態」に応じて必要な支援を講じるためには何らかの基準が必要である。国家の法令において定めたのだから、専門家・実際家の意見を聞いて、早急に国家の基準を設けなくてはならないだろう。
コメント
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