昨日1月17日、中央教育審議会の学習指導要領改善に関する答申が出されました。そこで早速、小学校社会科の部分だけ読んでみました。今回の答申では、言語・理数系の改善に重点がおかれているようですし、社会科について見たところ、平成10年改訂の学習指導要領でも実現できそうなことが多く見られました。基本的には現行のものを継承しながら、新しい観点から内容を再構成するつもりなのかな、というのが正直な感想です。
とはいえ、何も変化がないわけではなさそうです。現行の学習指導要領とくらべて、変わったかな、新しいかなと思われる点をメモしておくと、以下のようになりました。なお、現行の学習指導要領にすでに表れている特徴は、書いていないのであしからず。
1.能力目標・内容に関して、収集・理解した情報を的確に記録させること。
2.能力目標・内容に関して、比較・関連・総合によって情報を再構成させること。
3.地図学習を重視し、自分たちの住む県や日本の位置・領土と関連させて、47都道府県、主な大陸・海洋、主な国の名称・位置を学習させること。
4.目指すべき社会像として、「持続可能な社会の実現」が挙がっていること。
5.歴史学習の内容として、縄文時代が例示されたこと。
6.歴史学習の方法として、文化遺産の例示が示されたこと。
7.「社会生活を営む上で大切なルール」の学習が必要とされたこと。
8.法・経済の基礎的学習が必要とされたこと。
9.「高度情報化」の進展を踏まえた情報通信の学習が必要とされたこと。
10.国土・地域学習の内容に、環境保全・景観が加わったこと。
11.国土・地域学習を、「地域資源の保護・活用の観点」から再構成することが示されたこと。
以上みたところで最も注目すべきは4で、社会科において伸ばす理解・態度・能力は、この「持続可能な社会の実現」を目指して伸ばすべきと読み取ることができます。「持続可能な社会」とは、1992年の地球サミットや1997年の京都会議などで国際的な合意を得た「持続可能な開発」に関係しており、環境保全を考慮しつつ経済活動や社会生活を行う社会のことだと思います。答申における定義がまだ確認できていないので、一般的な定義ではありますが。また、3や6のように網羅的知識になりやすいに内容の学習が指示されています。答申にもちゃんと注意書きされていますが、これらの学習を指導する際には、子どもの生活から切り離された形で示さないことに注意すべきでしょう。さらに、11の「地域資源の保護・活用の観点」というのは、地理学習を転換させる観点ではないかなと、興味深く思いました。従来の地域・地理学習は、郷土を愛する心を育てたり道徳教育的な観点から内容を構成していましたが、そこに「資源」という概念を通して地域や地理を学習しようという考えが入るわけです(ちなみに、郷土(→国)を愛する心などを育てるという目標は維持されています)。8のように、経済の基礎的学習を加えるようですから、「地域資源」というのは8の内容と関係するのかもしれません。
答申をざっと見たところによると、上記の11点に変化のきざしが見られました。なお、小学校社会科の内容が増える、とはちょっと思えません。小学校6年間で国語科を96時間、算数科を142時間、理科を55時間増加させようとしているのに対し、社会科は20時間しか増加しません。また、増加させた時間数は主に反復練習や発表準備などに費やす性質のもののようですから、20時間分の新しい内容がそのまま増えるわけではないでしょう。新しい小学校社会科の内容は、現行のものに水増しするようなものではなく、現行の内容を生かしつつ新しい観点から再構成したものになるかな、と思いました。
とはいえ、何も変化がないわけではなさそうです。現行の学習指導要領とくらべて、変わったかな、新しいかなと思われる点をメモしておくと、以下のようになりました。なお、現行の学習指導要領にすでに表れている特徴は、書いていないのであしからず。
1.能力目標・内容に関して、収集・理解した情報を的確に記録させること。
2.能力目標・内容に関して、比較・関連・総合によって情報を再構成させること。
3.地図学習を重視し、自分たちの住む県や日本の位置・領土と関連させて、47都道府県、主な大陸・海洋、主な国の名称・位置を学習させること。
4.目指すべき社会像として、「持続可能な社会の実現」が挙がっていること。
5.歴史学習の内容として、縄文時代が例示されたこと。
6.歴史学習の方法として、文化遺産の例示が示されたこと。
7.「社会生活を営む上で大切なルール」の学習が必要とされたこと。
8.法・経済の基礎的学習が必要とされたこと。
9.「高度情報化」の進展を踏まえた情報通信の学習が必要とされたこと。
10.国土・地域学習の内容に、環境保全・景観が加わったこと。
11.国土・地域学習を、「地域資源の保護・活用の観点」から再構成することが示されたこと。
以上みたところで最も注目すべきは4で、社会科において伸ばす理解・態度・能力は、この「持続可能な社会の実現」を目指して伸ばすべきと読み取ることができます。「持続可能な社会」とは、1992年の地球サミットや1997年の京都会議などで国際的な合意を得た「持続可能な開発」に関係しており、環境保全を考慮しつつ経済活動や社会生活を行う社会のことだと思います。答申における定義がまだ確認できていないので、一般的な定義ではありますが。また、3や6のように網羅的知識になりやすいに内容の学習が指示されています。答申にもちゃんと注意書きされていますが、これらの学習を指導する際には、子どもの生活から切り離された形で示さないことに注意すべきでしょう。さらに、11の「地域資源の保護・活用の観点」というのは、地理学習を転換させる観点ではないかなと、興味深く思いました。従来の地域・地理学習は、郷土を愛する心を育てたり道徳教育的な観点から内容を構成していましたが、そこに「資源」という概念を通して地域や地理を学習しようという考えが入るわけです(ちなみに、郷土(→国)を愛する心などを育てるという目標は維持されています)。8のように、経済の基礎的学習を加えるようですから、「地域資源」というのは8の内容と関係するのかもしれません。
答申をざっと見たところによると、上記の11点に変化のきざしが見られました。なお、小学校社会科の内容が増える、とはちょっと思えません。小学校6年間で国語科を96時間、算数科を142時間、理科を55時間増加させようとしているのに対し、社会科は20時間しか増加しません。また、増加させた時間数は主に反復練習や発表準備などに費やす性質のもののようですから、20時間分の新しい内容がそのまま増えるわけではないでしょう。新しい小学校社会科の内容は、現行のものに水増しするようなものではなく、現行の内容を生かしつつ新しい観点から再構成したものになるかな、と思いました。