保育者にとっても、教師にとっても、子どもとのかかわりを記録化して振り返り、その質を省察することは極めて重要なことです。
この点に関して、幼児教育学には、認知心理学・関係発達論の立場から、エピソード記述という方法が理論化されて現場にも浸透しつつあります。また、教育学では、実践記録による主観の客観化を行うエスノグラフィー(特に自己エスノグラフィー)という方法が注目されてきています。
エピソード記述は保育者のかかわりの質改善を明確に意図した方法ですが、エスノグラフィーは人類学・社会学・心理学の方法としての傾向が強く、客観的に記述することに傾斜しがち、と私は見ています。エスノグラフィーについては、教師教育の方法というよりは、教育研究の方法としての傾向が強いように思います。もちろん、教師教育に活用しようとする研究者もいますが。
教師の力量向上に、実践記録は欠かせません。多様な記録法を整理して、教師教育・教員研修と教育研究とをつなぐように体系化すること。専門化の進展による百花繚乱も必要ですが、教育改良・教師教育のためには総合化・体系化が必要かなと思います。