教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教師教育のための実践記録法の体系化

2015年10月26日 18時20分23秒 | 教育研究メモ

 保育者にとっても、教師にとっても、子どもとのかかわりを記録化して振り返り、その質を省察することは極めて重要なことです。
 この点に関して、幼児教育学には、認知心理学・関係発達論の立場から、エピソード記述という方法が理論化されて現場にも浸透しつつあります。また、教育学では、実践記録による主観の客観化を行うエスノグラフィー(特に自己エスノグラフィー)という方法が注目されてきています。
 エピソード記述は保育者のかかわりの質改善を明確に意図した方法ですが、エスノグラフィーは人類学・社会学・心理学の方法としての傾向が強く、客観的に記述することに傾斜しがち、と私は見ています。エスノグラフィーについては、教師教育の方法というよりは、教育研究の方法としての傾向が強いように思います。もちろん、教師教育に活用しようとする研究者もいますが。

 教師の力量向上に、実践記録は欠かせません。多様な記録法を整理して、教師教育・教員研修と教育研究とをつなぐように体系化すること。専門化の進展による百花繚乱も必要ですが、教育改良・教師教育のためには総合化・体系化が必要かなと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

学習指導要領の移行措置・全面施行の時期

2015年10月24日 23時55分55秒 | 教育研究メモ

 なんかややこしくなってきたので、整理しておく。

 今のところ、小中高校の学習指導要領は平成28(2016)年度中に全面改訂の予定(幼は?)。高校はいつも一年遅れの改訂だが、いっぺんにやるのだろうか。スケジュール通りに進んで前例通りであれば、平成29(2017)年度から移行措置で、平成32(2020)年度から全面施行になるか。
 ただし、特別の教科道徳や外国語活動などを決めた小中の学習指導要領一部改訂は、すでに平成27(2015)年度から移行措置に入っている。完全施行は、小学校では平成30(2018)年度から、中学校では平成31(2019)年度から。あれ?このままだと一部改訂版は完全施行前に全面改訂されるなあ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

学問と学校~思考停止させていないか?

2015年10月17日 09時17分01秒 | 教育研究メモ

 「三田の文部省」と呼ばれた福沢諭吉は、明治初期の学校制度発足期において、学問について次のように考えた。学問は、自然・人事を統制し、一人ひとりの精神の独立・自由を実現するものである。学問は、国家が民衆を支配するためのものではなく、民衆が自ら学んで独立不羈の国民になっていくためのものである。福沢流に考えれば、学校はそのための学問をするところであった。
 今の学問は、このような学校で行われるにふさわしいものになっているか。すなわち、物事を主体的に判断できる国民を育てるにふさわしいものになっているか。われわれ学者は、常にこのことを考えながら研究に取り組まなければならない。学問教育の問題をさておいて、学問研究を行うことはできない。
 今の学校は、独立の国民になっていく場としてふさわしい指導・環境を提供しているか。子どもたちを、学生たちを、思考停止させていないか。誰かの判断に安易に身を委ねさせていないか。われわれ教師は、子どもたち・学生たちに対して、自ら考え、判断し、行動する境地に導かなければならない。子どもたち・学生たちに、自ら考え、判断し、行動する上で必要な知徳体を育てなければならない。
 学問・学校は、人間が独立するためにあるが、社会・国家から切り離されてはならない。過去・現在の国家・社会における、思想・政治・制度・文化・宗教・外交などと切り離して存在することはできない。むしろ、それらと正面から向き合うことが重要である。向き合うことそのものが、新しい知を生み出し、新しい国民を育てる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

文教祭

2015年10月13日 23時55分55秒 | Weblog

 日曜・月曜と大学祭(文教祭)でした。
 私は学生生活支援委員のため、朝から夜まで勤務。なお、日曜は保護者との交流行事である教育懇談会、月曜はOCのため、多くの教職員が動員された「連休」でした。
 学祭は無事終了。アーティストのイベント実施にかかわるため、大いに気をもんだ雨もたいしたことはなく、ほっとしました。4年生恒例の合唱も感動のフィナーレを迎え、私も陰ながら支えることができました。模擬店もおいしいものばかりでした。1年チューターとしては、我々は何も言わなかったのですが、有志で集まって模擬店を出している1年生がおり、驚くとともにうれしかったです。
 行事はやればいいというものではありませんが、作り上げる過程で、学生達の成長を確実に促します。今回もたくさんの学生たちがそれなりに成長したことでしょう。学祭実施を支えたすべての関係者に感謝です。
 写真は後夜祭終盤のステージです。

 なお、教育懇談会も、保護者との交流によって学生理解の貴重な機会になりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする