なかなか更新できなくて申し訳ありません。
業務をうまくこなせずにもたついているのと、⑥新規科目の授業づくり(「教育原理Ⅱ」15回分)に入ってしまったので、なかなか区切りがつかなくて。
いまのところ、授業づくりについては、5回分まで(とりあえず)仕上げました。ドイツ啓蒙主義教育学(カント含む)、ペスタロッチ、フレーベルの教材化をなんとか完了しました。頭の中の再整理のためにもなりますので、ちょっと「教育原理Ⅱ」の授業構想を述べてみましょう。
「教育原理Ⅱ」は選択科目なので、教職科目の必要事項「教育の理念・思想・歴史」をテーマにして、かなり専門的にしてやろうと思っています。。大学によっては、「幼児教育史」とか「幼児教育の思想」とか「教育学基礎論」などの科目名で設置しているようなものをイメージしてます。なお、「教育に関する社会的・制度的・経営的事項」については、「教育原理Ⅰ」で「理念・思想・歴史」とともに扱っています(学習過程の事項もⅠで少し扱っています)。
教育原理Ⅱの第1回はガイダンスです。シラバスや授業の進め方、評価方法などを説明した後、15回の内容の流れをざっと追っていこうと思ってます。今後の予習効果も少しねらっています。
第2回は、日本における「教育」概念の変遷をテーマとし、「社会における教育とは何か」を考える機会の一つにしています。主な内容は、石川謙氏以来の「教育」概念史と広田照幸氏の「教育的」概念史をヒントに組み上げています。「教育」の語源はⅠで扱っていますので、社会的文脈から教育を考える機会を提供します。
第3回は、近代西欧(ドイツ語圏)における「教育」概念の変遷をテーマとし、「教育とは何か」を考える機会その2とするつもりです。というか、本当にねらっているのは、次回以降のペスタロッチ・フレーベルに引き続く、「教育とは何か」を考えるポイントをおさえることです。「啓蒙」「理性」「汎愛派」などなどから、名言「人間は教育によって人間になれる」(カント)について考えていけるようにします。コメニウスとルソーは、「教育原理Ⅰ」で取り上げているので、関連をほのめかす程度です。
第4回は、ペスタロッチの教育思想をテーマとし、「教育方法とは何か」を考える機会とするつもりです。鳥光美緒子氏の研究からかなりのヒントを得ました。ペスタロッチの人間発展モデルとメトーデ(基礎陶冶の理念)を解説していきます。なお、名言「生活が陶冶する」についても、考えていけるようにします。
第5回は、フレーベルの教育思想をテーマとし、「フレーベルは幼稚園(キンダーガルテン)を作って何をしたかったのか」を考える機会です。ここまでの第3回・第4回は、この回を深く理解するための準備といった方がいいかもしれません。しかし、フレーベルの思想は、独学でそう簡単に理解できるほど甘くはありませんので、私が理解した範囲内で整理して提供してみようと思っています。とくに幼稚園構想の意味を考えることができるようにします(遊びの重要性や教育目的など)。それから、名言「さあ、私たちの子どもらに生きようではないか!」についても、考えていけるようにします。
保育者がフレーベルの幼児教育思想をしっかり考えていくことは、とても大事だと思います。深く、確かな子ども認識や遊び指導・支援をしていくためにも。また、幼児教育を形式化してしまうような、歴史をくり返さないようにするためにも。
で、第6回は明治日本における幼稚園の成立をテーマとし、「なぜ幼稚園が必要だったのか」を考えます。湯川嘉津美氏の研究が主なベースです。江戸期の「先入主」思想や、託児所的保育施設構想についても取り上げるつもりです。ここで、第5回のフレーベル理解が利いてくるんじゃないか、と思っています。
なお、第7回以降は、明治後期以降の保育史や、エレン・ケイ、モンテッソーリ、デューイ、倉橋惣三、二葉幼稚園(保育園)を取り上げるようにシラバスを切っています。
ちなみに、『幼児教育の理論と応用』の出版(2分冊化)にむけ、⑤分の原稿も入稿前の最終チェック段階。分量が多いので、これがなかなか終わらない…