教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

新緑の輝く季節が始まった

2015年04月22日 20時59分52秒 | Weblog

 やっと年度初めの大きな行事があらかた終わりました。外は輝くばかりの新緑の季節に突入。仕事は比較的順調なので楽しいのですが、仕事ばっかりでちょっとイヤだなとも思ってます。今度の休み、どっか行こうかな。

 17日に一年ぶりに誕生日を迎えました。9時から働きづめで19時にやっと解放され、翌日土曜も授業だったのでそこから翌日の準備(授業3つ)に取り掛かり、夜中にイライラさせられるトラブルもありながら、翌日1時半に一通り準備を終えて一日を終えました。その間、上司や同僚、友人から誕生祝いの言葉や食料をいただき、「ありがたや、ありがたや」と手を合わせていただきました。

 あと、先週から1コマだけ母校に非常勤講師に行き始めました。後輩たちを相手に講義するのはとても緊張しますが、手ごたえはあります。

 本学でも、すべての授業が開始しました。昨年度にいろいろ提案したため、言いだしっぺが新しい科目を担当することになり、準備が大変ですが、そこそこ手ごたえがあると感じています。昨年度から受け持っている免許必修科目も、免許取らないけど履修していいですかという人が出てきて、これまた手ごたえを感じています。
 チューターをしている1年生についても、大学生活が軌道に乗ってきたようで楽しくなってきたみたいです。また、本学科には不本意入学者もいるのですが、その人たちもここでやっていく覚悟を決めてくれたようです。さっそく「文教でよかった」という声が聞こえてきたので、本当によかった。年度初め苦しかったけれど、がんばって工夫してきてよかった。これから、しっかり学びながら、いろんな経験して自分を豊かにしていってください。

 あ、拙著『保育者の専門性とは何か』の改訂版が出版されました(社会評論社HP)。初版売切れのためです。買ってくださった方々ありがとうございました。改訂版では、大幅に改訂するとキリがないので、ある程度、加除訂正をしました。ちょっと読みやすくなったと思います。

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鳥取県教育会と教師―学び続ける明治期の教師たち

2015年04月12日 20時35分10秒 | 研究業績情報

 本日、このブログ開設から3655日目だそうです。10年も続けていたなんて…日記を3日で書かなくなる子どもだったのですが、すごい成長です(笑)。これも皆さまのおかげ。

 さて、先日紹介しました拙著『鳥取県教育会と教師―学び続ける明治期の教師たち』について、章節構成を紹介します。本書の目的は、明治30年代の鳥取県教育会に見られた、小学校教員の資質能力向上に関する構想の展開過程を検討することです。これにより、鳥取県における「学び続ける教師像」の起源を明らかにしようとしました。ここでの「学び続ける教師像」とは、平成24年中教審答申以来課題になっている「学び続ける教員像」といちおう区別したもので、明治期における継続的学びの重要性を強調する教員イメージを指します。

 はじめに
1 鳥取県教育会とは何か
 (1) 明治期鳥取県教育会の目的と事業
 (2) 因伯私立教育会の結成―鳥取県教育会の嚆矢
 (3) 明治期鳥取県教育会の会員と幹部
2 鳥取県教育会における小学校教員批判の勃興
 (1) 明治30年代における小学校教員
 (2) 日清戦争後の小学校教員批判
 (3) 教員検定試験と教員の学び
 (4) 県内教員の性質に対する批判
3 鳥取県教育会における教育研究態度批判の展開
 (1) 県内教育界の混乱・鎮静・安定化
 (2) 授業参観・批評の奨励
 (3) 実践的・実効的教育研究の推進を目指して
 (4) 子ども・地域・国家の事情に応じた教育開発
 (5) 明治30年代の鳥取県教育会における小学校教員批判の特徴
4 鳥取県教育会による教育研究の奨励
 (1) 鳥取県教育会における事業の多様化
 (2) 教員講習事業の展開
 (3) 県内における教育研究の発表推進
 (4) 日露戦争に関わる教育研究調査
 (5) 県内外に拡がる教員社会の形成と教育研究の奨励
 (6) 教育成果と教育研究
 おわりに

 以上が章節構成です。もとになっている論文・発表の初出は、研究業績一覧の27番、口頭発表一覧の33番、はじめに・第4章・おわりには完全描き下ろしです。研究業績一覧の18番・20番や学位論文と一緒に読むと、より視野が広がります。私の研究の位置づけ的には、学位論文の続編です。
 もう少し詳しい目次は、そのうち鳥取県立公文書館HPで公開されるのではないかと思います。一般販売は4月15日から、鳥取県内の書店か、鳥取県立公文書館を通して購入できるようです。

 明治期に誕生した小学校教員という職業。その実態は低待遇・非専門的・腰掛的態度などの課題を抱え、すぐに専門的な職業として確立したわけではありませんでした。明治期の指導的教員たちは、教育会を駆動させて教職を専門的職業化しようと試みました。この明治期における教職の専門的職業化過程について、教育研究構想に注目して明らかにしようとしたのが本書です。教育研究活動は、教員の自律的な専門的力量向上に不可欠です。明治30年代に現場における教育研究活動が活性化したことはこれまで指摘されてきましたが、具体的にどのようなプロセスでいつごろどのように活性化していったかは十分に明らかにされてきませんでした。本書は、鳥取県の唯一の全県規模教育団体であった鳥取県教育会の内部に限ってですが、100年も前の指導的教員たちが、教職を務めるためには互いに学び続けなければならないと強調し、授業の批評を始め、具体的に組織的な動きを見せていた事実を明らかにすることができました。しかもこの教育研究奨励の動きが、明治40年の義務教育年限延長に先だって、小学校6年制成立後の国民教育を支える重要な手段の一つとして位置付けられたことも明らかにしました。また、鳥取県では大正期に新教育運動が活発に進められましたが、その前史として「さもありなん」と思いたくなるたくさんの事実が明らかになりました。
 細かいところでも面白い事実が明らかになっています。県師範学校長であり県教育会副会長であった土井亀之進が、明治30年代後半に大量の二宮尊徳・報徳思想研究の成果を県教育会で発表していたこと。峰地光重が教員生活を始めた明治40年代に、芦田恵之助が県教育会夏期講習会の講師を2度も務め、明治43年にはその講義録が県教育会によって出版されたこと。県教育会准教員講習所では、学科講習だけでなく課外活動も行われており、多くの講習生が共同生活を行い、その世話をしていたのが所長の山内良千(良仙、国家主義者・神道関係者で日常的修養を重視した人物、大正期に活躍)であったこと。明治40年代に教育品展覧会の意義として、教員たちの継続的な研究を奨励し、教育成果と研究成果とを結び付けて評価するという意義が見出されたこと。などなど。これらについては紙幅の都合上簡単に指摘するにとどまりましたが、様々な分野にわたる重要な研究課題が見出せたと思います。私だけでなく、多くの研究者のさらなる研究のきっかけになれば幸いです。

 4月頭に公文書館から寄贈分が発送されたようです。その結果、尊敬する先輩学者の方々から、自分の学生にも読ませたいとか、教師の将来を励ます出来であるとか、この上ないお褒めの言葉をいただくことができました。望外の喜びです。ぜひ多くの人に読んでいただきたいと思っています。よろしくお願いします。

※ 本書の正誤表
・12頁10行目 誤 芦田恵之助『国語教授法講義』(明治三四年刊 → 正 芦田恵之助『国語教授法講義』(明治四三年刊

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オリゼミ、学生指導、鳥取県史ブックレット発行

2015年04月11日 10時28分30秒 | Weblog

 7・8日と、福山市沼隈町のツネイシしまなみビレッジ・みろくの里で、オリエンテーションセミナー(通称オリゼミ)でした。基本的にこの合宿内容は学友会各局や上級生有志が企画運営します。初等教育学科の学科別オリエンテーションでは、2年生有志が企画運営するのですが、2年生離れした見事な采配を見せてくれました。1年生は、いろいろありましたが、結果的に落ち着きと満足、集団・所属意識が高まったように思います。オリゼミから帰ってからは、授業や1年生の履修・進路指導、実習・行事もろもろの準備調整など、忙しく働いております。もう3ヶ月くらい働いた気がします。(^_^)

 1日からここまで、1年生同士の集団・所属意識の形成や、履修・進路上の不安解消・方向性指導、教員・1年生との関係構築は十分できたと思うので、年度初めの1年チューター業務について自己評価で◎をつけてやりたい、と思います(笑)。ほとんど関わったことがなかった新2年生ともオリゼミ・授業で関係づくりができたし、これからが楽しみです。主任業務については…まだまだかな。今朝起きると、毎日夜中まで準備に明け暮れてきたので、さすがに疲れがたまって体に不具合が…。この土日で自己修復します。
 今は、勉強できないと自分で言っていた1年生が、できないならこの科目は履修しなよと勧めたのにしない、しかも周りの友達が履修しないからという理由で、という問題状況に悩んでおります(笑)。「勉強できない」という結果は、自分の才能とか素質とかよりも、周りに流されて主体的に学べてこなかった結果、ということに早く気づいて欲しいなぁ。まだ1年生だし、大学では主体的選択そのものが重要な学習機会なので、いっぺん失敗するのもありかなあ。失敗させたくないんだがなぁ。もやもや。
 それ以外にも課題をかかえている学生も少しずつ見えてきました。いずれも、入学前からずっと引きずってきた課題が背景にあります。これらをいかに解消して、大学生活に導入していくか。ほかのチューター先生方や学生支援部局といかに協力・分担していくか。主任業務、難しいです。

 あ、先の3月31日、拙著『鳥取県教育会と教師―学び続ける明治期の教師たち』(鳥取県史ブックレット16、鳥取県、2015年、全112頁、定価500円)が発行されました。寄贈先の何人もの方から、お礼とお褒めの言葉をいただきました。ありがとうございます。販売は4月15日からだそうです。鳥取県外の方は、鳥取県公文書館のページから注文できます(鳥取県史ブックレットの配送による頒布方法)。鳥取県内では各書店で購入できます。

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明治期帝国教育会における教員講習の展開

2015年04月06日 21時13分46秒 | 教育会史研究

 本日やっとチューターガイダンスが終わりました。まだまだ指導は必要ですが、おそらくこれで、新入生たちもなんとか前に進んで行ってくれるはず。明日から2日間、オリエンテーションセミナーという行事のため合宿に出ます。

 さて、先月末に論文が1本活字化されましたので、お知らせします。すなわち、「明治期帝国教育会における教員講習の展開―中等教員程度の学力向上機会の小学校教員に対する提供」(中国四国教育学会編『教育学研究紀要(CD-ROM版)』第60巻、2014年、37~42頁)です。以前、明治31(1898)年までの大日本教育会・帝国教育会夏期講習会を整理しましたが、この論文では、そのあとの明治32~45年の帝国教育会夏期講習会と、そのほかに帝国教育会が実施した教員講習会について整理しました。論文構成は以下の通りです。

 はじめに
1.受講対象者としての小学校教員の明記
2.教員講習の拡充・発展
 (1)女子小学校教員に対する中等教員程度の学力向上機会の提供
 (2)冬期における小学校教員の学力向上機会提供
 おわりに

 帝国教育会夏期講習会すべてを整理した先行研究はありませんし、帝国教育会女子講習会・冬期講習会についても先行研究は見当たりません。あまりたくさんは書けませんでしたが、先鞭はつけたかなと思います。明らかになったことで一番重要な事実は、中等教員程度の学力向上を目指す帝教の講習会に、少なからぬ女性小学校教員や、准教員が受講しに来ていたことでした。
 ちなみに、夏期講習会の教育学講師についても、一応まとめて概要を検討しましたが、これは学位論文の出版の際にお目見えすると思います。(いつになることやら…)

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今が支え時、頑張り時

2015年04月04日 22時47分15秒 | Weblog

 4月1日から怒濤の毎日でした。今年度は、100名を超える1年生のチューター主任を拝命しました。大変だけど、やるからにはやるよ!(-_-)

 2日は入学式と会議。入学式に一人も欠席なく全員出席、という地方中小大学の関係者なら驚くであろうことが起こりました(笑)。新入生たちは、それほど浮ついた感もなく、なかなか緊張感のある落ち着いた印象です。いい感じ。

 3日は朝から夕方までガイダンス。仕事を把握するので精一杯で、役割分担は二の次になってしまい、一人で立ち回っている状態。こりゃいかん。丸投げしてもいけないし、自分で抱え込んでも意味がない。自分で働くのは問題ないけど、他人を使うのはとにかく苦手。あー、やっぱりこれが今の私の発達課題なんだなぁ。
 ちょっと時間がとれそうだったので、自己紹介ゲームを取り入れて、絡み合う集団活動をしかけていく。それとは別に、けがの功名でしたが、班の交流も始まりました。仕掛け方や環境構成など自分の中ではいろいろ課題は残るけど、学生たちが互いに絡み合いながら生き生きと活動を始めました。いい感じ。

 本日も朝から夕方までガイダンス。学生も同じく朝からなので、もう少し早く出勤しないと十分に対応してやれないので、苦手な早起きを心がけています。慣れない仕事に準備に手間取り、夜中まで働いているので、ちょっとつらいですが、いつものようにダラダラしているより妙に元気です。
 最大の難関、履修指導に突入しました。案の定、つまづきの嵐。これを乗り越えれば、あとは学生たちが自分で歩き始めます。ここが支え時!

 出会って3日経ち、ちょっとずつ一部の学生たちの顔や特性が見えてきました。お互いにゼロからの関係づくりなので、二人三脚で一緒に前に足を踏み出して、一歩二歩よたよたと歩いて行く感覚。この感覚が一年チューターの醍醐味だ、と私は思います(笑)。
 毎日いろいろなことが起きて、時間配分が大幅に狂うのが困りもの。でも、学生たちが自分たちで考え、適切に動き始めれば、私の表だった出番はほとんどなくなります。毎日汗だくで働いております。ここが頑張り時!

 
 入学式当日の早朝

 
 入学式当日の旧正門近くの桜
 (先日の春の嵐でだいぶ散ってしまいました)

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教育目標一双

2015年04月01日 21時25分09秒 | 教育研究メモ

 人格(主体性)の完成と、国家社会の形成者としての基礎(社会性)の育成とは、一双の教育目標である。
 これらの教育目標を達成することは、個人の充足と、相互扶助の豊潤化とを進め、人間の文化・福祉・平和を実現することにつながる。
 いずれの目標も、人間の生命や文化を豊かにするために欠かせない、人間の努力である。

 主体性と社会性との育成は、バランスよく進められなければならない。
 主体性とは。社会性とは。主体性の育成過程・手段とは、社会性の育成過程・手段とは。「バランスのよい状態」とはどのような状態であり、どのようにすれば実現できるのだろうか。
 人の心は、自立と依存との絶妙なバランスが必要である。人は自らバランスをとる力を備えなければならず、教師はその努力を支えなければならない。

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