まったく専門ではありませんが、教室内での冷暖房効果を維持しながら換気を行う方法について、おもしろい研究成果が公開されていましたので、ご紹介します。
理化学研究所計算科学研究センターが研究チームを組んで、スーパーコンピュータ「富岳」を使ったシミュレーションを行った結果が、同センターのHP内で公開されています。記者勉強会の講義動画では、通勤電車、オフィス、教室、多目的ホールなどのケースでの感染リスクについて説明されているのですが、どこの窓・扉をどれくらい開けると教室における換気の効率がどのくらい得られるかについて説明があります(動画25分過ぎくらい)。
その結果によると、すべての窓をほぼ開けたケース1(廊下側欄間窓全開・窓側全窓20cm)と、対角線上に窓・扉を少し空けたケース2(廊下側前扉20cm・窓側後方窓20cm)、扉・窓を少し空けたケース3(廊下側前後扉10cm・窓側全窓10cm)、扉全開・窓側窓をおおよそ開けたケース4(廊下側前後扉40cm・窓側全窓20cm)では、換気の様子がまったく違っていました。ケース1とケース4は一気に換気され、100秒ほどで教室の換気がほぼ進みます。一気に換気するときはやはり扉・窓全開にするのが有効のようです。一方、ケース2とケース3は、ケース1・4の換気効果には及びませんが、それなりに換気は進みます(ケース3の方が比較的換気が進むようですが、劇的な違いはない様子)。
ケース2は、4つのケースの中では一番換気が進まないのですが、実は、500秒ほどで法令等で決められた換気条件とほぼ同じレベルに達するとのこと。発表者によると、冷暖房効率を考えるとケース2を推奨したいとのことです。
現在、そしてこれからの学校・大学では、感染対策のため、換気しながら児童生徒学生を学習させなければなりません。とくに現在は猛暑のため、窓を開けていると冷房が利かず、集中力が続きません。これから冬に向けて寒くなってくると、暖房が利かないという声にかわるでしょう。そんなとき、上記の研究成果を踏まえると、効率的な換気・冷暖房の両立ができる可能性があります。
たとえば、扉・窓全開であれば2分ほどでほぼ換気が完了するのだとすれば、全開放は大休憩の時や子ども達が帰った後などのピンポイントでするに止めることも考えられます。数分以上かけて、ずっと扉・窓を全開にしておく必要はそれほど大きくないのかもしれません。それから、教室の対角線上の扉・窓を20cmだけ開けておけば、8分ほどで十分換気することができるという結果も有益なデータです。授業中もずっと換気しておかなければならないけれども、冷暖房の効果もできるだけ維持したいなら、対角線上の扉・窓だけ20cm開けておくことで、十分換気はできるのかもしれません。
参考: 「教室の換気は「対角開け」で 理研がスパコンで計算」『教育新聞』、2020.8.26記事。
理化学研究所計算科学研究センターが研究チームを組んで、スーパーコンピュータ「富岳」を使ったシミュレーションを行った結果が、同センターのHP内で公開されています。記者勉強会の講義動画では、通勤電車、オフィス、教室、多目的ホールなどのケースでの感染リスクについて説明されているのですが、どこの窓・扉をどれくらい開けると教室における換気の効率がどのくらい得られるかについて説明があります(動画25分過ぎくらい)。
その結果によると、すべての窓をほぼ開けたケース1(廊下側欄間窓全開・窓側全窓20cm)と、対角線上に窓・扉を少し空けたケース2(廊下側前扉20cm・窓側後方窓20cm)、扉・窓を少し空けたケース3(廊下側前後扉10cm・窓側全窓10cm)、扉全開・窓側窓をおおよそ開けたケース4(廊下側前後扉40cm・窓側全窓20cm)では、換気の様子がまったく違っていました。ケース1とケース4は一気に換気され、100秒ほどで教室の換気がほぼ進みます。一気に換気するときはやはり扉・窓全開にするのが有効のようです。一方、ケース2とケース3は、ケース1・4の換気効果には及びませんが、それなりに換気は進みます(ケース3の方が比較的換気が進むようですが、劇的な違いはない様子)。
ケース2は、4つのケースの中では一番換気が進まないのですが、実は、500秒ほどで法令等で決められた換気条件とほぼ同じレベルに達するとのこと。発表者によると、冷暖房効率を考えるとケース2を推奨したいとのことです。
現在、そしてこれからの学校・大学では、感染対策のため、換気しながら児童生徒学生を学習させなければなりません。とくに現在は猛暑のため、窓を開けていると冷房が利かず、集中力が続きません。これから冬に向けて寒くなってくると、暖房が利かないという声にかわるでしょう。そんなとき、上記の研究成果を踏まえると、効率的な換気・冷暖房の両立ができる可能性があります。
たとえば、扉・窓全開であれば2分ほどでほぼ換気が完了するのだとすれば、全開放は大休憩の時や子ども達が帰った後などのピンポイントでするに止めることも考えられます。数分以上かけて、ずっと扉・窓を全開にしておく必要はそれほど大きくないのかもしれません。それから、教室の対角線上の扉・窓を20cmだけ開けておけば、8分ほどで十分換気することができるという結果も有益なデータです。授業中もずっと換気しておかなければならないけれども、冷暖房の効果もできるだけ維持したいなら、対角線上の扉・窓だけ20cm開けておくことで、十分換気はできるのかもしれません。
参考: 「教室の換気は「対角開け」で 理研がスパコンで計算」『教育新聞』、2020.8.26記事。