読書日和

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「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)

2021-06-20 13:01:21 | 音楽・映画


(「ショコラの魔法」のポスター。写真はネットより。以下同じ)

今回ご紹介するのは映画「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)です。

-----内容-----
美しき魔女ショコラティエ・哀川ショコラが作るのは、食べるだけで願いが叶う不思議なチョコレート。
ある日、哀川ショコラの元に聖蘭学園に通う女子高生が訪れる。
その女子高生は、「チョコを食べた者は、お代としてその者の“一番大切なもの”を奪われる」という危険な契約を聞かされるが、彼女は契約を受け入れ、チョコを食べる。
そしてその日から、聖蘭学園内に次々と謎の事件が起き…。
一方、学園の新聞部に所属する飯田直はそれらの事件を追う。
直は事件に隠された闇深い欲望と、チョコの謎に迫っていくが…。

-----感想-----
少女漫画紙「ちゃお」に不定期連載されている「ショコラの魔法」(著:みずの梨乃)の実写映画化で、原作は今年第66回小学館漫画賞を受賞しました。
映画に興味を持ったのは、女優の山口真帆さんが主演すると知ったのがきっかけでした。
山口真帆さんはかつて新潟県を本拠地とするアイドルグループで活動していましたが2年前に卒業し、「研音」という芸能事務所に移籍し女優に転身しました。
移籍の際の「研音」のコメントは「令和という時代に合った情報発信力を評価」というもので、これからの時代を担う存在として非凡さが高く評価されていました。
今回の映画初主演はそこから女優として歩んできた2年間の集大成であり、一つの重要な区切りになる気がしてぜひ観に行きたいと思いました



(哀川ショコラ役の山口真帆さん)

どこかの人里離れた森が映し出され、ミステリアスな雰囲気で始まりました。
やがて入口に「Chocolat noir」(ショコラノワール)と書かれた、一見すると洒落ていますが雰囲気はかなり不気味な洋館に辿り着きます。
洋館の主、哀川ショコラが登場していよいよ物語が幕を開けました。
食べれば願いが叶う代わりに1番大切なものを失う怖いチョコと、チョコを売る魔女が登場するホラー要素もあるダークファンタジー映画と知ってはいましたが、冒頭から想像以上に怖さを感じました。



(飯田直役の岡田結実さん)

聖蘭学園高等学校2年生で新聞部部長の飯田直は学園内に流れる噂「食べれば何でも願いが叶うチョコ」に興味を持ちます。
しかし「願いは叶うが高い代償を払うことになり、中にはチョコを食べてビルから飛び降りた子もいる」とありました。



(仁科愛利役の桜田ひよりさん)

2年生で美術部の仁科愛利が描いた絵が全国美術展で最優秀賞を受賞します。
後輩の1年生、水無月花音が「絶対に最優秀賞を取ってください。そのためなら何でもします」と言っている場面があり、もしやこの後輩が先輩に最優秀賞を取らせたいばかりにチョコを食べてしまうのかなと思いました。
しかし物語が進むともっと凄まじい展開が待っていました。



(水無月花音役の畑芽育さん)

沢村という学園一のチャラ男が行方不明になる事件が起きます。
直は事件の真相を突き止めようとしますが、西尾猛という同級生に「お前では無理だからやめておけ」といったことを言われて憤ります。
猛は嫌な奴に見えますが頭は良く、直が追いかけている事件の謎に直よりも早く辿り着くことが何度もあったとのことです。
直は沢村の消息を追うべく聞き込みをしていきますが、何者かに後を付けられていて足音が迫ってくる雰囲気が怖かったです。
そして直の元にショコラからの「招待状」が届きます。
どうやらショコラは何かの願いを強く持っている人のことが分かり、その人の元に招待状を送っているようでした。



(西尾猛役の中島健さん)

人里離れた森の中を直が歩く場面があり、霧も出ていて辺りが不気味でさらに音楽も怖かったです。
ショコラの住む洋館「ショコラノワール」での場面になる時は必ず怖い雰囲気になるのが印象的でした。
やがて直がショコラノワールに辿り着くと、ショコラが「ようこそ、ショコラノワールへ」と静かに淡々と言い出迎えます。
直が最近のわだかまりを口にすると、ショコラがチョコを出して願いを叶えてあげようとしますが、同時に「お代はいただくわ。私のチョコは高いわよ」と怖いことを言います。
チョコを見て考え込む直がどうするのか、とても気になりました。

ショコラ役の山口真帆さんは話す時の声がミステリアスだなと思いました。
そして話し方は穏やかそうに見えますが、実際には「冷たさ」が漂っていると思いました。
人間を人間として見ておらず、自身のモルモットとして見ているような冷たさを感じ、心の奥底を見通すような微笑も印象的で演技力が着実に上がっていると思いました。

猛が直に「お前なんかに事件が解けるわけねーよ」と言うのは、直の身を案じているように見えました。
するとやはり、直は聞き込みをするうちにある女性から凄まじい嫉妬による憎悪を向けられて窮地に立たされます。
その場面も怖く、超常現象的な怖さとはまた違う、嫉妬でそこまで狂気じみたことが出来るのかという人間の心の怖さを感じました。

全国美術展で最優秀賞を受賞した仁科愛利は進路も順風満帆でしたが、この人の笑い方を見て怖さを感じ、裏があるなと思いました。
愛利が美術室で遭遇した体験は恐ろしいものでした。
私はまず愛利ととある「絵」のシーンでギクッとなりました。
音楽もこちらに打ち込んでくるような響き方で、客席で思わず身じろぎしました。
さらに美術室はまるで脱出不可能な永遠に続く地獄のような様相になり、愛利が恐怖しているのと同じように見ているほうも恐怖しました。
日本を代表するホラー映画「リング」の貞子が井戸から出てきて対象を呪い殺す時を彷彿とさせるようなシーンもあり、まさかここまで怖い映画だとは思っていなくて衝撃的でした。

やがて愛利にどういったことがあったのかが明らかになります。
ここにも人間の嫉妬が絡んでいて、嫉妬に狂う人間は時として感情に任せて一線を越えてしまうのだなと思いました。

「お待ちなさい。あなたからはまだ代償を頂いていないわ。言ったはずよ、私のチョコは高いわよ」
最後はショコラもかなり怖くなり、怒っているのが分かりました。

「黒き闇に堕ちて行きなさい」

「ショコラノワール」にはカカオ・テオブロマ(綱啓永さん)という得体の知れない人物も住んでいて、「しかし人間というのは欲深い生き物だな」と言っていました。
嫉妬のような感情に支配され、欲深く他人よりも自身が何かを手に入れようとすると周りが見えなくなり、気が付いた時には手遅れとなります。
そうならないように、自身が抱いている感情と向き合い、感情任せに動かずに気持ちの整理をする力を身に付けるのは重要だと思いました。





(最近の山口真帆さん)

山口真帆さんはこの2年間でアイドルの顔から女優の顔になってきた気がします。
高校や大学からプロ野球選手になった人などによく見られますが、人は新たな環境で顔の雰囲気が変わることがあります。
最近は充実感が伝わってくるような表情を目にすることがあり、良い雰囲気だと思います。

主役ではありますが役柄上頻繁に登場するわけではない山口真帆さんを、岡田結実さんが準主役の立ち位置で映画全編に渡って登場し強力に支えていました。
岡田結実さんは演技も良かったですが顔立ちの凛々しさが印象的で、女優として良い個性だと思いました。
後半は桜田ひよりさんもかなり存在感が出ていて、山口真帆さんと同じ「研音」所属で年齢は今年度19歳と若いですが女優歴は長く、演技も上手かったです。
こういった人達の支えによってショコラの淡々としたミステリアスさが際立ったと思います。



(新潟の先行上映で舞台挨拶時の山口真帆さん)

6月18日の全国公開に先立ち、16日に新潟県で先行上映が行われました。
大都市東京ではなく新潟で先行上映というのが、山口真帆さんの「義理」への熱い思いを感じて良いなと思いました。
新潟を本拠地とするアイドルを卒業後、女優として2年間歩んできた姿の集大成を、新潟の人達に真っ先にお見せしに来てくれたのではと思います。
この姿勢は非常に好感が持て、今後のさらなる飛躍を決定付けた気がしました
義理を大事にする人には周りの人達も義理を持って接してくれると思います。


山口真帆さん本人の努力も当然凄いですが、それとともに「研音」という芸能事務所も凄いと思いました。
移籍の直後、当時は全国放送のニュースやワイドショーで連日報道されていたので、ワイドショーなどに出演してさらに知名度を上げる手はいくらでもありました。
しかし「研音」はそれをしませんでした。
最初はモデルやグラビアのお仕事を中心に活動して、その間にじっくりと演技の稽古をしていったのだと思います。
その後少しずつドラマや舞台に出演するようになり、ついに映画初主演となりました。
地道な歩み方ですが「王道の歩み方」でもあり、私は女優としての活動を長期的に見れば大正解だったのではと思います。
今回の主演が今後への大きな糧になると思われ、これから先どんな活躍を見せて行くのかとても楽しみです


-----山口真帆さん登場作品の記事-----
「山口真帆 1st写真集 present」
「DIVER-特殊潜入班- 第二話」


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