「ウワッ、でっかいなぁ」
目の前に運ばれたアイスを見て、思わず声に出してしまった。
「えっ? オホホ…」
品のいい奥様が振り向いて微笑んだ。
周りのテーブルを見たら、ピラフもカレーも山盛り。そんな店なのか。
小田原の商店街で見つけた『ワンダフル』という喫茶店。子供のころ連れられて入ったような懐かしい雰囲気だ。実際、店内は照明のせいかセピアがかって見える。そして、一人客がほとんどのため、静かで落ち着けるのが嬉しい。
残念なのは、ついさっき天丼と玉子焼きを食べてしまったこと。ピラフの大盛り、ビジュアルだけでなく、香ばしい匂いもたまらんぞ。
今日は折り畳み自転車購入後、初の輪行。選んだ場所は、小田原だ。特に意味はない。あえていえば、空いていそうだから(笑)。
来てみて驚いた。昔ながらの商店街が、大きく手を広げている。どこまでも広がっている。
しかも、駅から離れるにつれ古めかしくなっていく、さびれていく。
昭和マニアにとっては、これがたまりません。街ごと『昭和博物館』といった趣。規模的には
国府津や
駿河小山の比ではない。
実は、小田原は10年ほど前には、よく通った街。小田原城の動物園&遊園地は子供たちのお気に入りで、その後の昼食&買い物とセットで休日の定番でもあったのだ。
ただ、そのころ使っていた大型店が軒並み撤退したのと、子供も大きくなってしまったこともあり、すっかり足が遠のいていた。
ところが、久しぶりに来て感動した。
古い建物、昔ながらの商店、栄華を伝える看板建築…。一人でぶらぶらすると、あのころ目に入らなかったものが見えてくる。もう数え切れない。ただ、多過ぎて、いくら小回りの利く自転車でも回りきれない感じだ。
フーッ。そこで、喫茶店で一息ついたというわけ。
その喫茶店が、またレトロでとびきりワンダフルだったのだ。
僕の初めての輪行も、おかげでワンダフルに。
近いうちに、もう一度来よう。もちろん、思いっきりお腹を空かせて!
看板建築をうまく活かしモダンなお店に変身させている。
これは変えようがない?
このちょっとすてきなモダン建築は…少年院でした。
こちらは箱根駅伝のときにもよく映る、大きくカーブを切る場所のビル。
周辺には削り節のいい匂いが立ち込めていた。
かつては貸衣装屋さんは、こんな感じでした。
かつては、こんな山盛りのお菓子屋さん…は、なかったよなぁ。
こういうお医者さんは、よくありました。
お昼をいただいた『だるま食堂』。国の登録有形文化財の重厚な建物の前、だるまさんがユーモラスな表情で迎えてくれる。
もちろん小田原城址公園にも行きました。かつての自分たちをみているみたい。ところでこの象さん、いったい何歳?
ただ、かつていたライオンも熊も、オリごとなくなっていた。ちょっと淋しい。
1回80円の豆汽車も健在。かつては、観覧車や上昇してぐるぐる回る飛行機のアトラクションもあったんだよね。でも、いまでもけっこう賑わっていますよ。
『ワンダフル』の外観。大小のバイクのオーナーはここでお茶した。