仕事をしながら隣の席でM博士が言う。
「な~んかうまいカレーを食べた後って、ニコニコしちゃいますよね」
もちろん、僕の顔はニコニコだ。
僕たちは、1時間も前に食べたカレーの余韻にどっぷりと浸ったままでいる。
出先でお昼にと食べたカレーが絶品だったのだ。
店の名は『
京橋屋カレー』。扉を開けた瞬間、いきなり鼻腔に飛び込んできたスパイシーな香辛料の匂いにやられた。
普通のカレー屋さんの匂いではないことは、カレーを見るより明らか!
こじんまりした店内の一番奥の席につくまでに、ズルズル~と、すでに2回ほどヨダレをすすってしまった。
僕が頼んだのは『大根カレー』。かつてこの場所に京橋大根河岸市場があったということからメニューに加えられたという。
カレーに大根とは、かなりの冒険ですよね。でも、地域ネタに滅法弱い僕としては、迷うことなく。
これが、びっくりでした。
挽き肉ベースでかなり辛いルーなんだけど、大根の甘味と相まって絶妙のうまさを醸し出しているのだ。
スプーンが進む進む。辛いけど甘い。甘いけどけっこう辛い。どんどんイケる。あぁ…。
カンカンカンカンカンカン…
頭の中でゴングが鳴り響いた。ノックアウト!
食後に頼んだ『エスプレッソアイス』が、またいい。
燃え上がった口腔内を、ひんやりとした苦味と甘味で優しく、そしてゆっくりとクールダウンしてくれる。
いかにも雑居ビル的な佇まいなのだが、雰囲気よく昇華されていて、長居もしたくなる。
まったりとしたBGMのハワイアンもぴったりだ。
お客さんの男女比は半々とのこと(取材か!)。
やっぱりだ。本当にうまいものに、性別による偏りはない、と思う。
そして、これを書きながら、またまたニコニコしている僕である。