夏の忘れ物

夕方、我が家に簡易書留が届いた。
送り主は「夏を遊ぼう！夏のビール祭り」キャンペーン事務局とある。
お酒を飲まない僕宛に何だろう？と家では不思議がったらしい。
いや、本人だって忘れかけていたのだ。
ビール会社の名さえ記されていないその封筒を開けながら、少しずつ思い出す。そして、中から出てきた手紙にあった「アサヒビール」の文字を見て、ようやく記憶がよみがえった。
ずいぶんと前に、日ごろ妻が飲んでいる発泡酒に付いていた応募ハガキ２枚を目にして出してみたのだった。
たしか、切手も年賀ハガキで当たったもので、元出はゼロ円！ 書き込む手間のみで、なんと2000円分の商品券をゲットしたということ。しかも、書いたことも出したこともすっかり忘れていたくらいだから、なんだかちょっと嬉しい。2000円だけど、みんな大喜びだ。

偶然ハガキを手にしたあの夏の日、めんどくさがり屋の僕がなぜ出す気になったのか、今となってはまったく思い出せない。でもただひとつ言えるのは、もし出していなかったら、ささやかではあるけれど家族みんなでこうして幸せな一時を手にすることもなかったということである。