湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

敗戦をたどる

2013-09-04 18:24:50 | 湘南ライナーで読む


遅ればせながら『4522敗の記憶』(村瀬秀信著 双葉社刊 1,500円+税)を読んだ。
「ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」というサブタイトルがついている。
4522は、昨シーズンまで積み重ねて来た敗戦の数だという。もちろん、12球団の中で最多だ。これだけ負けても愛してやまないファンのために、それでもなぜか気になる、それでもなぜかスタジアムへ足を運んでしまうのかが、同じファン目線で書かれている。
そこに、OB、選手、球団に関わった人々の生の声が加わることで、その敗戦の歴史がよりリアルに描き出される。そして、その誰もが敗戦の理由に球団批判をしているようで、実は愛に満ちていたりするところがグッとくるのだ(笑)。ぼくらにとっては、懐かしい名前が並ぶところも嬉しい。あくまでも負けの記憶なので、38年ぶりの優勝シーンを細かく描かない点も徹底していて素晴らしい。
最後の章に、こんな一文があった。


 暗黒期のど真ん中。横浜スタジアムに行けば、自分と同じように、やるせなくて、悔しくて、こんなチームもういいと嘆きながらも、スタジアムに吸い寄せられている人たちがいた。
 そこに集う青いユニフォームを着た人とは、たとえ面識がなくとも、同じ言語のもとにすぐに通じ合えた気がする。
(中略)
 世間的には数少ない人数なのかもしれないが、ここには、ひとつのプレーに同じ感情を抱いてきた人たちがいた。
 選手たちの懸命であり、怠惰な数々のプレーに、喜び、怒り、嘆き、涙落してきた、思いを共有する人たちがいた。
 言葉なんてなくても、わかりあえる。それはもう家族みたいなもんだ。


そう、そう!
強いチームが好きな人には到底わかりあえない感情ですね(笑)。
この本、僕にとってはホエールズ&ベイスターズはもちろん、ベルマーレの記憶でもある。


ホエールズ&ベイスターズの個人的な記録はこちら
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28年前のオムレツ