湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

最高のクジラ

2013-09-13 19:07:39 | 湘南ライナーで読む


4522敗の記憶」はファン目線だったのに対し、こちらは中立の立場で書かれている。
「最後のクジラ」(赤坂英一著 講談社刊 1,500円+税)は、2010年横浜ベイスターズの2軍監督を辞めるまでホエールズ・ベイスターズひとすじだった「オバQ」こと田代富雄氏のノンフィクションだ。
そう、ホエールズがまだ川崎球場で湘南カラーのユニフォームを纏っていたころ、ホームランをポンポン打って突然現れた印象。しかも、その打球が描く放物線がメチャメチャ魅力的だったんだよね。決して目の覚めるような弾丸ライナーではなく、ポーンと打ち上る感じ。とにかく滞空時間が長いので、みんなが固唾をのんでその打球の行方を見守る。そして、まるでスローモーションのようにスタンドに届くと同時に、一気に歓声が沸き上がるのだ。
そんなホームランを量産した印象の強いオバQだが、実は300本にも達していない。その理由はもちろん、勝てないのがわかっていたのに「監督代行」を引き受けた顛末も、横浜を去る理由も、この本を読めば明らかになる。
「4522敗の記憶」と続けて読むと、また「なるほど!」と思うところもたくさん出てくるのだ。結局は、横浜は伝統的にそういう会社でどうしようもないと理解することになるのだが、だからといってファンをやめたりしないところが横浜のファン気質でもある。いや、この本を読んだら、ダメだったのに、だめだったからこそますます好きになっちゃうかも(笑)。

ただ、オバQを描き出すために、他の選手(横浜以外も含めて)についての記述にやたら詳しいことだけが気になった。「田代富雄の野球人生」の本であることを忘れてしまうくらい(笑)。もっと野球以外のオバQも知りたかった気がする。いや、野球以外はなかったのかなオバQには。

ちなみに、どうして「オバQ」と呼ばれるようになったかも登場から36年も経った今、僕は知ることとなった。

そうそう、それからもう一つ。オバQは現在、東北楽天の1軍打撃コーチなので、野球人として初の優勝を味わうチャンスがやってきている!