1点のビハインド。しかもとっくに時計は止まっている。いつ長い笛が吹かれてもおかしくない時間帯である。あぁ、またいつものようにトボトボ帰るのかと思いかけていたその時だった。
アジエル選手から始まった相手ペナルティエリアでの混戦。ボールがルーカス選手の前にこぼれる。ドカーンといきそうなところを、なんと見事なループで決めてみせたのだ。まるでスローモーションのようにボールは僕らに向かって美しく弧を描いた。
今シーズンは、逆のパターンでまさかというシーンを何度も何度も味わってきた。
ところが最後も最後、最終節のアディショナルタイムで、こんな展開が用意されていようとは!
あんなに激しかった雨も上がり、見上げる楕円の空には青空も見える。アジエル選手のラストゲームを気持ちよく・・・
おっと、勝ったわけじゃなかったよ。なんとか引き分けに持ち込んだだけだった(笑)。
ん~、もやもやするなぁ。最終戦でドローで歓喜かぁ。結果的には順位も一つ落とすことになったしね。
それでも、アジエル選手を笑顔で見送れたことがせめてもか。反町監督の深いお辞儀があり、そして反町コールが寒空に寂しく何度も何度も響き渡るのだった。