湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

踊り子号で伊豆の踊り子を読む

2005-04-14 23:50:21 | 湘南ライナーで読む
東海道線の短いトンネルを抜けると、そこはまだ戸塚だった…
湘南ライナーの車両は、東京-下田間を走る「踊り子号」にもなる。
先日、帰りの湘南ライナーの中で「伊豆の踊り子」を読んだ。
恥ずかしながら、この歳(どの歳よ)になって初めて読む川端康成(以降も敬称略)だった。
川端康成は知っている。ノーベル文学賞を受賞したのも、その数年後に仕事場で自殺したのも子供のころライブで体験している(ただし、その仕事場が逗子マリーナのマンションだったことは知らなかった)。
頬がこけてギロッとした眼の華奢な着物姿も、すぐに思い浮かべることはできる。
作品名だって、いくつかは言えるぞ。伊豆の踊り子、雪国、舞姫、千羽鶴…。
でも今まで、読んだことも、読もうと思ったことさえ一度もなかったのだ。なぜだか。
百恵ちゃん主演の映画「伊豆の踊り子」だって、ちゃんと見た記憶はない。
それが、初めて読むことになったのは、仕事上の資料として必要に迫られて。
作品は何でもよかったのだが、とりあえずとっつきやすそうだったので、書店で新潮文庫の「伊豆の踊り子」を手に取ってみた。
パラパラめくってまず驚いたのが、「伊豆の踊り子」が40ページ弱の短編だったこと!
興味のないものを一冊読むのは骨がいると思っていたのに、いいじゃないか川端君!好きになりそう。
そして読み進めてみて、またびっくり!古い作品(1926年だから約80年も前!)だというのに、とても読みやすい文体なのだ。
しかも、読み終えたあとの気分がとてもいい。「私は涙を出まかせにしていた」というほど泣きまくってしまう結末なのに、妙にすがすがしい読後感なのである。
映画にもなっているくらいだから単なる恋愛モノかと思っていたら、良い意味でそれも裏切られた。
おまけに、今回読むきっかけになった仕事のほうもうまく行って、僕の中では川端さまさまなのだ。
読まず嫌いを新珠美千代、いや改めよ。川端康成先生に教えられました。