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湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

事件を読んで観る

2010-01-21 18:09:39 | 湘南ライナーで見る


テレビで2度ほど観たことがあった。
野村芳太郎監督の『事件』である。
ただ、その2回とも途中からだったので、いつかは最初から観てみたいと思っていて、先日DVDを借りた。
実は、その原作は文庫で読んでいる(大岡昇平著 新潮文庫刊 781円+税)。法廷でのシーンが中心に据えられ、そこで語られる真相が現場の様子をリアルに再現していくスタイルの興味深い作品だ。
1961年から翌年まで朝日新聞夕刊に連載された。しかし、裁判や法律などに関する堅い表現も多く、夕刊らしくない気もする。

さて、映画だ。原作の魅力が見事に映像化されていてたっぷり楽しめた。静寂の中、厳粛に展開される法廷と、スリリングな回想シーンが絶妙のバランスで交錯していく。後半は原作ではあえて語られなかったエピソードも加わり、飽きさせることはなかった。
それよりも、実はこの映画、注目すべきは裁判所以外の場面なのだ(笑)。なにしろ事件の舞台が「神奈川県高座郡金田町」という「人口5000人に足りない、小さな田舎町」である(もちろん架空の町)。「5キロ北の厚木」、東には小田急江ノ島線の「長後駅」、南は寒川町というロケーションといえば…。
その昭和36年ごろの風景というカタチで、まさに「昭和」が映像として確認できる(撮影は52年)。しかも、実際の場所とはかけ離れているのだが、多くのシーンが平塚市内で撮影されているのだ。特に金目あたり。金目観音堂、バス停、橋、そして殺人現場となった「サラシ沢」から見下ろす先には、東海大学のあのグルグルまで映り込んでいた。黒沢明監督だったら「リアリティがないからどけろ」と言い出したかもしれない(笑)。
登場する風景を、現在と比べてみるのも面白そうだ。あの感じですね。と思ったら、撮影地を訪ねる『シネマ紀行』というDVD特典映像が収められていた。
ラストシーンでよしこ(大竹しのぶ)と宮内(渡瀬恒彦)が話をするのは、相模大橋。浮沈橋だったころの「もぐり橋」(現・あゆみ橋)も見える。そして、本厚木側の街並みの中に『東急ストア 羽根澤屋』という看板も映り込んでいた。この映画が撮影された数年後に、その看板の下で僕は働くことになるのだ。


一番美しくほにゃらか

2010-01-06 21:38:19 | 湘南ライナーで見る


「戦時下に勤労動員された女子挺身隊の物語で、主演は後に黒沢夫人となる矢口陽子。平塚の日本光学の工場で撮影し、セミ・ドキュメンタリータッチに仕上げた。冒頭、『東亜光学株式会社平塚製作所』の看板がクローズアップされ、当時の平塚の町並みも、ふんだんに出てくる」
元旦の神奈川新聞の別刷りにあった『クロサワ生誕100年 映画と神奈川』に紹介されていた映画の一つが『一番美しく』だ。
仕事が見つかる間、まとめて映画も観ておきたいとも考えてTUTAYAのカードを作って借りた。
期待して観たのだが、1944年の平塚の町だ、残念ながら空襲前だから全くわからなかった。朝の出勤時に踏切を渡るシーンがある。これが、東海道線なのだろうか。
ところが、ウィキペディアによると、撮影された工場は「横浜市栄区の日本光学横浜製作所」とあるので、この踏切も横浜市内なのかもしれない。
ただ、女子寮を訪問した上司が平塚について喋るシーンがある。
「この平塚というところはね、昔は有名なタヌキの本場だったね。月のいい晩にはタヌキの鼓笛隊が裏の林でね、ピッ、ピッ、ピーッ…って。今夜あたり、寮の中庭に~」
65年を経た今でも、出そうな(出る)ところはたくさんあると思うけど(笑)。
物語は、戦時中という時代背景を差し引いて考えても、「自己犠牲」とか「献身」とか「謙譲」とか、道徳的な見地からもまさに美しい展開となっている。心が洗われる思いだ。
それにしても、タイトルがもどかしい。『一番美しく』と中途半端に終わっている。『一番美しく』何なのだろうか(笑)。
もう一つ不思議な点が。途中で「タラワ」「マキン」「クエゼリン」「ルオット」というテロップが出てきて、主人公たちが意気消沈してしまうくだりがある。調べてみると、日本軍が玉砕した海外の地名だった。戦時中、しかも形勢が悪くなってきた時期に、よくこんなシーンが“通った”なと。
さて、おおいに期待しての鑑賞は大きな発掘もなく、まさに玉砕に終わった。

時代もマッハ!

2008-07-06 18:19:13 | 湘南ライナーで見る


このところテレビから懐かしいメロディが流れてくる。
「♪風にふるえるヘアピンカーアーブー」
思わず口ずさんでしまう。
そう、『マッハGoGoGo』だ。
子供の頃、見た竜の子プロのアニメ。、大好きでテレビにかじりついていた記憶がある。
アメリカでも『スピードレーサー』というタイトルで人気があったという話は知っていたが、遂に映画化。しかも、あの『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟製作という。
といっても、実は『マトリックス』は観ようと思ったことすらなかった。食わず嫌いといわれればそれまでだが、いかにもCG、いかにもテレビゲーム的、フルスピード的な画像が苦手なんですね。
でも、『マッハGoGoGo』ですから、これは観ないわけにはいきません。
昨夜、ネットで席を取って今朝、行ってきた。
またまたド真ん中で、僕の前にも横にも誰もいない状態。今日は20名もいなかったんじゃないかな。2日目で日曜だというのに…。
映画のほうは、ハッキリ言ってですねぇ   …面白かった!
わかりやすさ200%! キャラクターもしっかり。一応実写なのに実にもうこのすっきりマンガ的というか、振り切ったところが見事。いやあ、楽しい。やられました。
ちゃんと、かつてのアニメのようにラリーのシーンもあって、ワクワク。あっというまの2時間でした。
子供のころ見ていた『マッハGoGoGo』。いま見るとめちゃめちゃスローでびっくりするはずだが、当時は、そのスピードに圧倒されたものだ。
映画『スピードレーサー』は、その数万倍速い。
時代のスピードを感じちゃうなぁ。

写真は、パンフレットについていた紙工作。最後のグランプリに32時間でつくった『マッハ6』。そういえば、子供のときプラモデルを何台も作ったなぁ。Mの字の真ん中のあたりから、通信用のツバメ型の小型飛行機が飛び出した。

横浜と湘南と昭和と

2008-06-29 17:03:56 | 湘南ライナーで見る


昨秋、テレビでリメイク版をやっていた『天国と地獄』。
映画のほうは、黒澤明監督による昭和38年の作品だ。僕は大学生の時に、友人に勧められてリバイバルで観て感動したのを覚えている。
でも、だからといってここから黒澤監督に傾倒していったかといえば、そうではなかった。単に横浜や湘南が物語の舞台だったというのが、感動を増幅していただけなのかもしれない。
先日C D屋をブラブラしていたら、意外に安い価格で並んでいたので購入。
いやあ、久々に観たら面白かった。迫力があった。出演者の顔ぶれがスゴかった。
そして、やっぱり知っている場所が次々に出てくるのが楽しかった。特に、その風景が昭和30~40代年だからね(あたりまえだけど)。
江ノ電はパンタグラフではなく、ポール1本で走っている。『こだま』は、新幹線ではなく東海道線に、この年デビューした特急だ。食堂車はあるは、電話室はあるは、鉄ちゃんが観ても喜ぶはず。
高台の権藤邸に警察が犯人にわからないように乗り込んでくる時のトラックは横浜高島屋の配送車。賑やかだった伊勢佐木町、怪しさたっぷりの黄金町、腰越漁港…。映像の中の店のメニューには「かつ丼100円」「天丼100円」「オムライス100円」なんていう文字も読み取れる。ちなみに、特典映像の予告編にチケット代「800円」とある。
見ごたえのある映画であると同時に、昭和を知る上でも貴重な作品だ。


三船敏郎氏が抱えている鞄が吉田カバンの創始者の手によるものというのは有名な話。この鞄を燃やして「もも色」の煙が上がるシーンは、『踊る大走査線』でもわざわざそこだけモノクロにしてオマージュされた。確か、青島刑事が「天国と地獄じゃん」みたいな言葉をつぶやいたはず。極楽寺のトンネルも出てくる。

付録が楽しみだったあの頃

2008-05-23 01:05:55 | 湘南ライナーで見る


ALWAYS 続・三丁目の夕日』のDVDが発売になった。
どうしても欲しいというわけではなかったけれど、このブログを『三丁目の夕日食堂日記』だという人もいるくらいなので、一応参考資料として買っておいた(笑)。
今回も、余計なものがいろいろと付いていますね(もちろん付いていない普通バージョンもあるんだけど)。この“付録”的なところが、またまた刺さるんですねぇ、三丁目世代には。
もちろん、付いているのは、くだらないものでいい。間違いなく、それが僕らの付録にまつわる記憶だから。それでも、少年誌の発売日は、それはもう待ち遠しくて待ち遠しくてしかたがないものだった。
それにしても心配なのは、実際にこのDVDを見る日が来るのかということ。
前作も一度だけみたが、やっぱり満員にふくれあがった映画館で見ず知らずの人たちと時間を共有しながら見たいんだよね。大声で笑ったり、人目もははからず泣いたりしながら。そんな雰囲気がよく似合う映画だったなあという記憶だけは確かである。

三丁目の夕日が目にしみた

2007-11-04 01:32:08 | 湘南ライナーで見る


いちいち笑うなよ、おいおい。
それは、ちょっとしたエッセンスであって、声をあげて笑うところか?
出だしから、劇場はいい調子だ。
21時半からのレイトショーだというのに、満員御礼ですよ。空いてると思って、わざわざこの時間にしたんだけどなあ。
平均年齢は、高い。夫婦連れか家族連ればかり。家族連れといっても、レイトショーなので18歳未満はNG。つまり、子供もデッカイ家族連れ(笑)。で、僕のような「お一人様」は端っこに追いやられての『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の鑑賞だった。
でも、いちいち声を出して笑ってもいいのだということが、物語の中で明らかになる。
裕次郎の映画(という設定。♪おいらはドラマー…)に一喜一憂している観客席のシーンが、まるでそれだったのだ。スゴイですよ、まるで鏡のよう。そういう時代を体感した人々が、今晩の観客席を埋めていたということだったのだ。
声出して、思い切って笑ってください。
おい、今度はグスッ、グスッ…と、鼻をすする音。
いいよいいよ、泣いてもね。声出して泣いてください。
えっ、なんだか僕までおかしいぞ。
くっそー、「夕日が目にしみるぜ」
涙がアゴまでたれてきやがった。隣のおばちゃんに見られそうで拭けない…って、横目で見たら、おばちゃんも相当目にしみまくっているようだね。
わかりきった、できすぎの、王道のストーリーなのに、いや、だからこその涙なのだ。
昭和のドタバタ映画をそのまま映像しているからこその面白さなのだ。
それにしても、幕開けのサプライズといい、物語と劇中の小説がシンクロしているところといい、時代を映す言葉やモノ、コトをそこここに盛り込む巧みさといい、実にサービス満点でよくできた映画だった。
もちろん、その時代を生きたり、知っている人々にとっては。

写真は、昼間セブンイレブンで買ったフィギュア。

タイムトンネルへGO

2007-11-02 00:54:10 | 湘南ライナーで見る


先日帰宅したら、こんなものが置いてあった(右は二年前に自分で購入)。
コンビニのカードのポイントが貯まったからと、妻が買ってきてくれたのだ。
映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』は、いよいよ土曜日封切り。
この予告編的DVDを観ただけで、もう泣きそうになってしまった。
内容がどうこうという以前に、ドタバタ大娯楽活劇というスタイル自体が昭和的であり、安心して楽しめる仕掛けになっている。そこが、前作の素晴らしいところだったと思う。
まさか、その続編があるとは…。
安心して初日から思い切り泣きに行きたい(笑)ところだが、土曜日は久々にホームでフットサル。だから2日目かなぁ。確か二年前も、同じ2日目。でも、客席はガラガラだった。ただし、今回はそうもいかないだろうなぁ。

日本沈没が沈没する日

2006-08-06 14:50:04 | 湘南ライナーで見る


「あっ、落っこちた!」
先週末の夕方、買い物帰りにクルマから降りた息子がそう叫んだ。
買ったばかりの文庫本『日本沈没』(小松左京著/小学館)を、スルリと立体駐車場の足元の隙間へ。
まあ、ものの見事にだ。
しかも、手元に残ったのが下巻だから、落下したのは上巻。
「今夜から読もうと楽しみにしていたのに」
と、その日は下巻のあとがきだけ繰り返し読んでいたようだ。
さて、その息子は部活を引退してからというもの、すっかり“ニート”というか“引きこもり”生活。後日、再度上巻を購入したその『日本沈没』も、とっくに読み終えている。
そこで、今日は映画『日本沈没』に連れ出した。
迫力ある映像には感服したが、物語は何となくハリウッド風で出来すぎ。危機に直面して本性むき出しに行動する人間がほとんど登場しないのが、日本らしさか。
「内容的には、本のほうが怖かった」
とは、息子評。
なにしろ33年も前に発表された小説のほうでは、結局全部沈んでしまうという。
そして、梅雨明け以来降っていない雨が降れば、駐車場の底にある文庫本も、いよいよ沈没の時を迎える。命がけで救う手立てはないのか。

光の国から僕らのために

2006-05-27 01:45:08 | 湘南ライナーで見る


とにかく衝撃的だった。
こちらへ向かってどんどん大きくなってきる銀色のコブシ。
『ウルトラQ』の印象的なタイトルバックを破って、ウルトラマンがすっとんでくるのだ。それまで見たこともない構図のインパクトと共に、僕たちの胸に見事に突き刺さった。
次の日から小学校では、あちこちから「ハッ!」「ジャッ!」「シュワッ!」と奇声があがり、あのスペシューム光線のポーズが定番となっていくのである。
今晩9時過ぎ、何かの拍子にM博士が初代ウルトラマンマニアであることが判明。初代というところが嬉しい。そこからギュィーンと盛り上がってしまった(ダッ!仕事がはかどらん)
僕の場合は、リアルタイム+息子と一緒で二度とハマったクチ。
細かいことを書き始めたらキリがないのでやめておくが、我が家には息子と擦りきれるくらいよく見たレーザーディスクが何枚かある。
でも、プレーヤーが壊れた今は見る術もないのだが。
「DVDBOX35000円ですって!」とM博士。
(売っているのかどうかわからないけど)レーザーディスクプレーヤー買うより安いかも!
誘惑されるなぁ、ん~…。
ピコーン、ピコーン、ピコン、ピコン、ピコピコピコ…
おっと、悩んでいたら3分経過。
「ジュエッ!!」
M博士が操る怪獣軍団の総攻撃に、はたして我が家の家計の平和は守れるのか!
(M博士のMはM78星雲のMなのか)
つづく…かどうかわからない。

メリーさんとあの頃へ

2006-05-02 22:21:39 | 湘南ライナーで見る


繁華街の通りを一歩入った路地で、視界に何か白っぽいものが飛び込んできた。
よく見ると、白いドレスに身を包んだ小さな女性だ。顔も真っ白。目の周りは真っ黒、口の周りは真っ赤なおばあさん。
『ハマのメリーさん』だった。
僕が彼女の姿を伊勢佐木町で最後に見たのはもう14~5年も前のこと。
さらに遡ること10年位前には横浜スタジアムでアルバイトをしていたので、その頃も伊勢佐木町あたりで何度か見かけていた。
最近は“都市伝説”になっていたそうだが、僕にとっては事実以外の何ものでもない。
そんな彼女を追ったドキュメンタリー映画『ヨコハマメリー』が先日封切られた。
今日はそれを観に、一人で伊勢佐木町の横浜ニューテアトルに。
ニューテアトルといえば、妻と付き合っていたころに観たジョディー・フォスター主演の『君といた夏』を思い出す。118席のキャパで観客はたった5人だったから。
ところが、今日は伊勢佐木町の通りに傘の列が伸びるほどの盛況ぶり(僕は早く行って16番の整理券をゲット)。
客層は、女性7:男性3。平均年齢は60近いのではないだろうか。そんな高齢の女性たちは、何を求めて来場するのか。なぜヨン様ではなく、メリ様なのか。そのあたりをぜひインタビューしてドキュメンタリーにしたいものだ(笑)。
さて、「涙が抑えられなかった」とか「感動した」というレビューも事前に読んていたが、僕にとっては彼女への特別な思い入れがなかったからか、「涙」も「感動」もなかった。
ただ、故郷へ帰ったメリーさんの姿をキャッチしたのに驚き、しかも、あえて本人の口から何も語らせなかったところも見事だと感じた。普通のいいおばあちゃんになっていたのを確認できただけで、何だかとっても幸せな気分になれた。重~くならず清々しい気持ちで映画館を後にすることができたのだ。
それよりも、観ながらよみがえってくるのは自分のアルバイト時代のことばかり。
そこで、ちょっと関内を歩き回ってみた。お昼は横浜市役所地下の第3食堂で決まりだ。
実によく通った所。ここは『レストランかをり』が運営しているのだが、市役所価格でいただける(もちろんベーシックな食堂メニューばかりだけど)。



頼んだのは、あのころ一番好きだった『オムライス』の“大”。仲間内では『恐竜の卵で作ったオムライス』が通称。卵の向こう側にはキャベツとポテトサラダが隠れている。カップの味噌汁も付いて580円!(通常盛り530円)
さすがにオバチャンたち(ウエイトレス)の顔ぶれは変わっていたけれど、テーブルや結婚式場にあるような椅子も当時のまま。味も一緒で嬉しくなった。
その後、浜スタをぐるっと回って帰宅。
メリーさんのおかげで、あの頃を思い出しながらステキな散歩を楽しむ。なぜか歩いている間は雨が強くなることはなかった。
※一番上の写真はメリーさんがよく現れたアート宝飾ビル前。今でもいそうな雰囲気


伊勢佐木町から馬車道を海へ向かうと現れる県立歴史博物館


浜スタのある横浜公園はチューリップを中心に花々が満開


お土産は泉平のいなりとかんぴょう巻。当時“もらって”よく食べた。相変わらず美味!