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湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

ライオンの棲む街に住む

2013-09-18 22:46:39 | 湘南ライナーで読む


この手のものはあまり読んだことはない。しかも、この装丁だと・・・
でも、読まねばならない理由があった。

なんと、この物語の舞台が平塚なのだ!

本屋大賞や本格ミステリ大賞などを授賞、テレビドラマにもなった「謎解きはディナーのあとで」の東川篤哉氏の作品『ライオンの棲む街』(祥伝社 1,400円+税)である。
たいした特徴もない平塚が舞台になったのは、たまたま担当の編集者が平塚出身だったからだという。ご本人が取材に訪れたのは2回、そのうち1回は七夕祭り中で、その様子が描写される章もある。海がある街の雰囲気と地方都市っぽいところが好きらしい。
市内に実在する地名や店名なども度々登場(懐かしい店名なども)。地元の人間にとってはこれだけでも楽しいのだが、ここでミステリが展開されるので引き込まれてしまう(笑)。頭の中の地図で、いつのまにか点と点を結んで事件を追っていたりする。しまいには、猛獣と猛獣使いのような二人の主人公が、現実の街に現れそうな気がしてくる。

この物語には「平塚おんな探偵の事件簿1」というサブタイトルがついている。著者も2も出すつもりらしいので、期待大。ウチの町内も出てもないかな。ただし、現れてもデニムのショートパンツからすらりとのびた脚をジロジロ見てはダメ。あとですっ転ばされるかもしれない(笑)。

最高のクジラ

2013-09-13 19:07:39 | 湘南ライナーで読む


4522敗の記憶」はファン目線だったのに対し、こちらは中立の立場で書かれている。
「最後のクジラ」(赤坂英一著 講談社刊 1,500円+税)は、2010年横浜ベイスターズの2軍監督を辞めるまでホエールズ・ベイスターズひとすじだった「オバQ」こと田代富雄氏のノンフィクションだ。
そう、ホエールズがまだ川崎球場で湘南カラーのユニフォームを纏っていたころ、ホームランをポンポン打って突然現れた印象。しかも、その打球が描く放物線がメチャメチャ魅力的だったんだよね。決して目の覚めるような弾丸ライナーではなく、ポーンと打ち上る感じ。とにかく滞空時間が長いので、みんなが固唾をのんでその打球の行方を見守る。そして、まるでスローモーションのようにスタンドに届くと同時に、一気に歓声が沸き上がるのだ。
そんなホームランを量産した印象の強いオバQだが、実は300本にも達していない。その理由はもちろん、勝てないのがわかっていたのに「監督代行」を引き受けた顛末も、横浜を去る理由も、この本を読めば明らかになる。
「4522敗の記憶」と続けて読むと、また「なるほど!」と思うところもたくさん出てくるのだ。結局は、横浜は伝統的にそういう会社でどうしようもないと理解することになるのだが、だからといってファンをやめたりしないところが横浜のファン気質でもある。いや、この本を読んだら、ダメだったのに、だめだったからこそますます好きになっちゃうかも(笑)。

ただ、オバQを描き出すために、他の選手(横浜以外も含めて)についての記述にやたら詳しいことだけが気になった。「田代富雄の野球人生」の本であることを忘れてしまうくらい(笑)。もっと野球以外のオバQも知りたかった気がする。いや、野球以外はなかったのかなオバQには。

ちなみに、どうして「オバQ」と呼ばれるようになったかも登場から36年も経った今、僕は知ることとなった。

そうそう、それからもう一つ。オバQは現在、東北楽天の1軍打撃コーチなので、野球人として初の優勝を味わうチャンスがやってきている!

敗戦をたどる

2013-09-04 18:24:50 | 湘南ライナーで読む


遅ればせながら『4522敗の記憶』(村瀬秀信著 双葉社刊 1,500円+税)を読んだ。
「ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」というサブタイトルがついている。
4522は、昨シーズンまで積み重ねて来た敗戦の数だという。もちろん、12球団の中で最多だ。これだけ負けても愛してやまないファンのために、それでもなぜか気になる、それでもなぜかスタジアムへ足を運んでしまうのかが、同じファン目線で書かれている。
そこに、OB、選手、球団に関わった人々の生の声が加わることで、その敗戦の歴史がよりリアルに描き出される。そして、その誰もが敗戦の理由に球団批判をしているようで、実は愛に満ちていたりするところがグッとくるのだ(笑)。ぼくらにとっては、懐かしい名前が並ぶところも嬉しい。あくまでも負けの記憶なので、38年ぶりの優勝シーンを細かく描かない点も徹底していて素晴らしい。
最後の章に、こんな一文があった。


 暗黒期のど真ん中。横浜スタジアムに行けば、自分と同じように、やるせなくて、悔しくて、こんなチームもういいと嘆きながらも、スタジアムに吸い寄せられている人たちがいた。
 そこに集う青いユニフォームを着た人とは、たとえ面識がなくとも、同じ言語のもとにすぐに通じ合えた気がする。
(中略)
 世間的には数少ない人数なのかもしれないが、ここには、ひとつのプレーに同じ感情を抱いてきた人たちがいた。
 選手たちの懸命であり、怠惰な数々のプレーに、喜び、怒り、嘆き、涙落してきた、思いを共有する人たちがいた。
 言葉なんてなくても、わかりあえる。それはもう家族みたいなもんだ。


そう、そう!
強いチームが好きな人には到底わかりあえない感情ですね(笑)。
この本、僕にとってはホエールズ&ベイスターズはもちろん、ベルマーレの記憶でもある。


ホエールズ&ベイスターズの個人的な記録はこちら
みんなのみらいヨコハマ
湘南ホエールズ
男ふたり昭和の横浜巡り
YG帽の謎
28年前のオムレツ

骨盤、体幹、代謝、体脂肪、肉体改造

2013-05-09 17:41:10 | 湘南ライナーで読む



『骨盤力』と読み取れる。
なんだかわからないけど、やたら効きそう。読んだら絶対ナットクしそう。「骨盤」という場所がカラダのすべてに通じている感がしてスゴイ。売れそう。
いや、すでに売れてるのか。こんなけっこうなおじいさんがこうして手にしているのだからね。

でも、いいとわかっていても、たしかに面白そうなんだけど、まるで購買意欲がわいてこないのは、『Tarzan』誌恒例の特集のように見えちゃうからかな(笑)。

仏陀ーランド

2013-02-11 16:22:54 | 湘南ライナーで読む


「お釈迦様には珍しいゴージャスな身繕い」円覚寺の宝冠釈迦如来座像
「衆生を救う最強トリオ」浄智寺の阿弥陀・釈迦・弥勒の三世仏座像
「仏教界一の俊足ボーイ」鎌倉国宝館の韋駄天立像(浄智寺)
「手首のスナップをきかせて説法中です」極楽寺の釈迦如来座像

どうです、このキャッチコピー。
仏像に詳しくない僕たちにも、楽しくなんとなくわかりやすく伝えてくれている。
載っているのは『仏像 ワンダーランド 鎌倉&東京』(JTBパブリシング刊 1,000円+税)というムック本だ。
ビジュアルが多用され、パラパラ見ているだけで楽しい。それだけでお寺や国宝館をまわっている気になる・・・ってほどじゃないけど(笑)、この面白さは何だろうと思ったら、監修が美術評論家で明治学院大教授の山下裕二氏だった(というか、本編に写真入りで時々登場しては案内してくれている)。山下氏といえば、僕の大好きな『ぶらぶら美術・博物館』の準レギュラー(笑)。めちゃめちゃ楽しい解説でおなじみだ。この方のプロデュースする展覧会自体も面白いのだ。最近では
白隠展』や『五百羅漢展』などなど。
こういった切り口の面白さや知識が詰め込まれているのがこの本、というイメージですね。

謎が謎を読む

2013-02-04 19:53:39 | 湘南ライナーで読む


普段はミステリーなど読まないのに、ひとにすすめられて読み出したら面白くて、おや、テレビドラマになって・・・

『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延著 メディアワークス文庫)は、鎌倉が舞台だ。ま、それだけで読んでいても、見ていても楽しいんだけどね(笑)。ましてや知っている場所が登場すればなおさらだ。



昨日のワークショップで歩いた道沿いにある『ビブリア古書堂』。北鎌倉駅の脇に建っている設定だけど、建物の住所は由比ヶ浜。知っている人にとっては、リアルなようでリアルでない。これこそミステリーだ(笑)。

いちばん上の書店は、通りに面した古書店。スタッフが取材に訪れているらしい。

大磯の魚屋さん家族

2013-01-20 18:53:32 | 湘南ライナーで読む


『海辺の家族 魚屋三代記』(黒川鍾信著 みやび出版刊 2,000円+税)は、大磯の魚屋さんが舞台。その家族が懐かしい風景の中、等身大のドラマを展開していく。散りばめられたウンチクと共に、昭和の大磯の暮らしが目の前に広がっていくようだ。
登場人物の数がやたら多いような気もするが、ほとんどが親族か、親族のような存在。彼らも含めての海辺の優しい家族という印象である。苦労話はあっても、最後まで悪人は出てこないだろうことも、途中まで読めばわかること。
僕にとっては、大磯は隣町。登場する場面の位置関係など何となくわかるから、よりリアルに伝わってきた。と思ったら、どうやら実際のモデルがあるそうだね。
それから、大磯の町の成り立ちや背景もよくわかる。大磯町民のみなさん必読です。この本の内容ともリンクしていた。

食べる.横浜を聞く

2012-07-24 23:39:23 | 湘南ライナーで読む


まだ前の仕事をしていた頃に、書店に置かれていたのを見て即買いした本である。
食べる.横浜』(神奈川新聞社 食べる.横浜制作委員会 1300円+税)は、平塚に住み、鎌倉の仕事をしていたにもかかわらず、買わずにいられなかったほど魅力的な横浜の本だったのだ。
都会的なイメージのある横浜だが、意外に農業が盛んで、たとえば小松菜の生産量は全国1、2位を争うほど。そんな市内の第1次産業の情報を詰め込んでいる。もうとにかく詰め込んじゃったという印象(笑)。先日紹介した『函館はぐれ本』の美しさとは、好対照である。
それでも、なかなか知ることができない情報がこれだけまとまっている本に出会ったことがなく、内容で思わず買ってしまったんだな。

今晩、職場が主催したイベントで、この本を作った人たちの話を聞くことができた。なんという幸運!
苦労話から驚き、楽しさなどみなさん声がリアル。聞きごたえある1時間を過ごす。
ちなみに取材・執筆・撮影の大無田龍一さんは、横浜から数えて僕より2駅遠い二宮住まいだった(笑)。

写真は、残念ながら横浜市内ではなく、海老名。イチゴの苗を成育中。

はるばるいきたいぜ函館

2012-06-21 21:09:53 | 湘南ライナーで読む


まったく期待していなかったスーパーの中にある小さな本屋さんで、まったく行くチャンスもないだろうという遠い場所のガイドブックと出会う。

『函館はぐれ本』( ぶらんとマガジン社 HO増刊 580円 )というちょっとコンパクトサイズ(B5変形)の本である。

そりゃ行けるならいつかは行きたいとは思うけど、当分というか生きている間に行けるイメージがまったくない場所でもある。万一、行けたとしてもかなり先の話で、掲載されている情報が役に立つとも思えない、まったく(笑)。
なのに、なぜこんな本を買ったのか、まったくもう。
それがですね、一つ一つの情報の中身というより、まとめ方、打ち出し方、見せ方が、ちょっとステキな本だったから。地元を知り尽くし、地元愛に満ちた人たちがどうしてもみんなに知ってもらいたくて作っちゃいました的な楽しさが、でも情熱的ではなくゆる~い感じで伝わってくるのだ。
こういう本が大好き。ここのところ毎晩パラパラやっている。かなり行きたくなってきたけど、相変わらずまったく行けるイメージだけは湧いてこないなあ(笑)。

それより何より、なんでこんな本が、あんな本屋さんに置いてあったのかが今もまったくもって不思議。いや、だからこそ、そこがどんな店構えだとしても、本屋だとわかるとちょっと覗いちゃうんだけどね。
ネットの書店は確かに便利だけど、やっぱり足を運んでぶらぶら見て歩くからこそ、ちょっといい出会いもあると思うのだ。いつか函館に出かけて、ぶらりと本屋さんを覗いてみたいものである。

そこにシウマイ弁当があるから

2012-06-18 22:59:25 | 湘南ライナーで読む
いや、なんとなくいつもそんな疑問を抱いてはいたんだけどね。
その疑問とは・・・


『なぜ今日もシウマイ弁当を買ってしまうのか?』(ラズウェル細木著 集英社刊 838円+税)
実は、知り合いのライターさんが読んでいて「終わったらお貸ししますよ」と言ってくださったのだが、待ちきれず買ってしまった(笑)。

読み進めるほどに、その理由が解き明かされていく・・・ような気がする。
知らなかった事実を知るにつけ、なるほど、だからだよねと納得・・・したような気がする。
そして、どうして買ってしまうのかがわかった・・・ような気がする。

とはいえ、やっぱりいつでも『シウマイ弁当』を買えるロケーションであることが一番の理由のような気がするなぁ。なにしろ崎陽軒の経営理念のはじめに「崎陽軒はナショナルブランドを目指しません」と書かれているというのだから。
つくづく思う。
あぁ、横浜に生まれて神奈川に暮らしていてよかった!

さて、今月の『dancyu』では、特集の餃子のサブで「シュウマイ」が取り上げられていて、崎陽軒の「シウマイ」も登場。食べる順序や作法まで載っているけど、ほっといてくれ(笑)。
ラズウェル細木さんのいうように「何から食べ始めるか、しょう油はどのようにつけるのかを話題にするのは酒の席ではテッパン」なんだからね。