錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

心配に思うこと

2010-04-09 21:43:35 | 錦之助ファン、雑記
 先ほど(金曜の夜)、ファンの会のつどいの案内状を112通発送した。疲れたが、郵便ポストに全部投げ込んで、すっきりした。皆さんのお宅に届くのは、来週の月曜になるだろう。
 発送業務だけで、3日かかかった。全部一人でやっているからだ。会員の皆さんの中には、そういう仕事は手伝いますよと言ってくれる人もいるけれど、一人でやるほうが気が楽だし、マイペースでできる。誰かといっしょにやったら、好きな時間(たとえば夜中)にできないし、おしゃべりしてしまいそうで、無駄な時間が増えそうに思う。
 私は、葉書や手紙の宛名は手書きをモットーにしているのだが、さすがに100通以上もあると、限界である。そこで、今回から宛名シールを利用することにした。パソコンにソフトを入れて、各人のデータを入力するのに、半日。それから、同封する文書(A4用紙3枚)の作成に半日かかり、それをコピーして封詰めするのに半日かかった。こういう単純作業は意外に好き。昔、進学塾の塾長をやっていた時には、200人近い塾生に毎月郵送物を送っていた。それに比べれば、楽なもんだ。
 それはともかく、今日は、パーティ会場を予約した。銀座の並木通りの新橋寄りにあるフレンチ(イタリアン?)レストランで、以前3度ほど食事をしたことのある店。50席くらいの小さな店だが、モダンでお洒落で、料理もうまい。結婚式の二次会なんかに使うには最適の店だ。電話して、店長と話し、貸切りにしてもらった。バイキングで飲み放題、半立食形式で、お一人様、なんと3500円!銀座ですぞ!本当は最低4000円からなのだが、店長に頼んで負けてもらった。パーティは午後1時半からなので、レストランとしては比較的ひまな時間。それで、相談に応じてくれたのだろう。貸切りの時間も延長して2時間30分にしてもらった。この辺は、私の駆け引きのうまさ…、なんちゃって。
 まあ、そんなわけで、今、非常に心配していることは、112名に案内状を出して(そのうち会員は約80名で、残りの30名はファンの会のため援助してくれた人)、6割以上の方が参加したらどうしようかということだ。定員オーバーで、会場に入れないではないか。多分4月終わりくらいには大勢が判明するだろうから、その時考えればいいやと思っている。地方に住んでいる方も多いので、大丈夫な気もするが……。いや、この会は熱烈な錦ちゃんファンが多いので、錦ちゃんのためなら万難を排して東京に駆けつけることも、あり得る。実は、先日、私のブログを見て、早速電話があった。福岡県筑紫野市在住のNさんという女性の会員からだった。なんと、ご主人と愛犬を連れて、上京するというのだ。土日ともぜひ伺うので、上映会の席を1名確保してほしい。それと、ペットが泊まれるホテルを知らないか?新橋の近くでなくてもいいけど…という話だった。彼女がファンの会の催しに参加している間は、ご主人が愛犬の世話をすることになっているらしい。
 予約はすでに11名入っている。上映会場は補助イスを出せば、60名は入りそうである。でも、どうなることやら?
 何を隠そう、びっくりするようなゲストも3名ほどお招きしている。こんなこと言うと、参加者が増えてしまうので、やめとこ。
 

 
 

これからのこと(その2)

2010-04-07 11:38:28 | 錦之助映画祭り
 前々回書いたことの補足。
 錦之助映画ファンの会のつどいは、5月29日(土)と30日(日)の2日間行う。会員限定なので、参加したい方はファンの会に入会することが必須。入会金はないが、年会費2000円を納めていただきたい。すでに会員になっている方には今週案内状を発送する予定。会場は東京・新橋のTCC試写室(ホームページあり)。
 29日(土)は、午後6時開場。6時半より、お宝16ミリフィルム(タイトルは伏せる)を2本鑑賞し、午後9時半すぎより場所を替え、前夜祭をかねた小パーティ。
 30日(日)は、午前9時開場。午前9時半より、これまたお宝16ミリフィルムを2本鑑賞し、12時半より場所を替え、総会および親睦パーティを催す。
 両日とも定員50名。これ以上は試写室に入れません。出席なさる方は、できるだけ早めに(5月20日まで)私に連絡していただきたい。参加費は無料。ただし当日、ファンの会へのカンパを募ります。
 私のメール・アドレスは、sesame@dream.ocn.ne.jp

 新文芸坐での「月形龍之介特集」は、9月中の1週間になりそうである。
 京都シネマの神谷代表に連絡をとったところ、今年は京都映画祭が10月6日から11日まで催されるので、その後に協賛する形で「月形龍之介&錦之助の時代劇特集」を行いたいとのこと。多分10月16日(土)から1週間になるかと思う。上映作品は未定。6月以降に中島貞夫監督にも協力してもらい、神谷代表と円尾さんと私とで作品選定をすることになろう。



『尻啖え孫市』を観る

2010-04-07 01:04:05 | 戦国武将
 今日は、新文芸坐で錦之助主演の『尻啖え孫市』を観てきた。映画館では以前二度、ビデオでも二度観ているが、ずいぶん長い間観ていない感じがする。今やっている新文芸坐の特集は「映画の中の日本文学」というタイトルで、今日は司馬遼太郎原作の2本を上映。もう一本は篠田正浩監督の『暗殺』である。
 2時すぎに行くと、ロビーに錦之助ファンの会の方が5名ほど来ていたので、声をかける。藤沢のTさんと練馬のSさん姉妹、平塚のGさん、川越のTさん、愛知の倭錦さん。TさんとSさん姉妹は、午前中新宿のバルトで『千姫と秀頼』を観てきたとのこと。みんな、今日は錦ちゃんの映画が観られるとあって、心が弾んでいる。5月末にファンの会のつどいを催すことを伝えると、「なにがなんでも参加します」「ほんと楽しみだわ」といった返事。錦ちゃんファンは純粋で、相変わらずノリがいい。
 ロビーで新文芸坐の顧問(元支配人)の永田さんと軽くおしゃべりする。「また、錦ちゃん特集やるんだって?」「ええ、よろしく。要望が多いんですよ」「今日もファン会の人、みえてますな」「10人以上は来ると思いますよ」
 館内に入ると、いつもよりお客さんが多い。6割以上の入りである。先週金曜日に松本清張原作の『黒い画集』を2本観に来た時は、4割程度だった。今日は錦ちゃんの人気と司馬遼太郎の人気の両方であろう。
 『尻啖え孫市』が始まる。カラーなのに、相当褪色している。フィルムもところどころ切れている。こりゃー、ニュープリントにしないとダメだなあと思いながら観る。この映画、東映ではなく、大映作品である。で、現在は角川映画がフィルムを持っている。角川映画は、「雷蔵祭」(「大雷蔵祭」と「大」の字を付けるのはやめてもらいたい!)で雷蔵主演作のニュープリントをたくさん作ったが、錦ちゃんのこの映画がニュープリントになるのはいつのことやら?可能性がないような気もする。
 さて、『尻啖え孫市』の感想。前半は面白いが、後半は腰砕けで、山場がないままに終わってしまう。前半は、錦ちゃんと賀津雄さんの掛け合いが楽しい。中村賀津雄の木下藤吉郎は、『風雲児織田信長』でも良かったが、この映画でも良い。それと、藤吉郎の妻ねねをやった梓英子が可愛い。彼女は前半にちょっと顔見世程度に出てくるが、これで終わりで、あとはまったく登場しないのが不満。勝新太郎の信長は、どうも品がない。あの不精ヒゲはやめてもらいたい。うすぎたなくて見ていられない。日焼けして脂ぎった顔も、信長らしくない。勝新は、柴田勝家か加藤清正あたりがいいところだろう。ところで、錦之助の孫市だが、どうしても違和感がぬぐえない。大映での映画製作に錦之助が不慣れだった点も大きいが、三隅研次監督も錦之助を生かしきれなかったようだ。この映画の孫市は、もともと市川雷蔵が演じるはずだったのだが、雷蔵が亡くなったので、錦之助が代演することになったと聞く。孫市という役柄を錦之助はずいぶん工夫して演じているが、どうも芝居っぽさが目立って、錦之助の素の良さが出ていない。喜劇的な面をもっと前面に出せば良いのにと思う。錦之助が吹っ切れていないから、観ていても東映時代の錦之助映画のようにスカッとしない。孫市の豪放磊落さは出ている。が、その変態ぶりの表し方が足りない。これは、錦之助の責任ではなく、演出の三隅研次の問題だったと思う。孫市が次々に女の着物の裾をめくって足を見るのは、「足フェチ」だからだ。清水寺の法会で、とある高貴な女性の足の美しさに一目惚れして、その女をずっと探し求めているほどの偏執狂である。「足の指の爪が桜色だった」というが、後半で登場するその女は栗原小巻で、彼女の足(小巻の足かどうかは不明)が映し出されるが、足の形も悪いし、ちっとも美しくない。指の爪も桜色ではない。この頃の栗原小巻は、全盛期だったと思うが、今観ると、こういうお姫様役はどうかと思う。錦ちゃんの相手役としても合わないと感じる。彼女は、流れ弾に当たって急に死んでしまうが、描き方が雑で、観ているほうはまったく感情移入できない。後半は、話があまりにも短兵急で、石上本願寺の信徒と信長との抗争も全然描けていないし、石山合戦のシーンもないまま、あれっと思ったら終わってしまった。本郷功次郎の坊主はどうなったのか、孫市の親父の志村喬はどうなったのか、訳も分からず、最後は、クレジットが出て、雑賀孫市は8年にわたり信長が死ぬまでその天下取りを阻止したという説明で一巻の終わり。これでは納得がいかない。
 蛇足かもしれないが、錦ちゃんはクレー射撃をやっていただけあって、鉄砲の構え方、狙い方がいい。後半、海辺で錦ちゃんが魚をさばいて刺身にする場面があり、これをロングショットの長回しで撮っていたが、真剣に魚をさばいている姿がほほえましかった。あと、槍を使っての錦ちゃんの立ち回りは珍しいが、これがカッコ良く、見事だった。