錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

山内鉄也監督逝去

2010-04-12 18:02:40 | 監督、スタッフ、共演者
 4月2日、山内鉄也監督が亡くなった。ニュースで知ったのは8日のことで、近親者で葬儀を済ませていたという。75歳だった。
 山内鉄也監督とは直接面識はなかったが、間接的には私のことをご存知であったかと思う。というのも、昨年錦之助映画祭りの記念本「一心錦之助」を作るにあたり、円尾さんを通じ、山内さんに原稿を依頼した経緯があったからだ。山内さんは、二つ返事で快く引き受けてくださったそうだ。そして、一字一句ゆるがせにしない気合いのこもった文章を書いてくださった。原稿をいただき、名文だと思った。そこで、私は「一心錦之助」の巻頭に、山内さんの文章を置くことに決め、タイトルがなかったので、本文中から選び、「早く出て来い、後継者よ!」とした。スチール写真も内容に合わせ2枚掲載。『徳川家康』で信長の錦ちゃんが馬上で雨に打たれている写真と、『反逆児』で信康の錦ちゃんと信長の月形と家康の佐野周二の3人が写っている写真である。山内鉄也監督の簡単なプロフィールは私が書いて、タイトルの下に加えた。
 円尾さんから山内さんにゲラを送ってもらい、承諾を得た。そのとき、いつもは気難しい山内さんが大変上機嫌で、とても喜んでいたとのことだった。円尾さんの話では、この頃すでに山内さんは病魔に冒され、いつ亡くなるか分からない状態で、その文章は敬愛する錦之助に託し、時代劇の未来に万感の思いを込めて書いたものだということを知った。
 本が完成し、山内さんに2冊送った。私とはこれだけの縁であった。が、病床の山内さんは本を手にしてきっと喜んだにちがいないと思う。それから、およそ一年、山内さんは闘病生活を続け、桜の花が散るのと同じように、散った。
 謹んでご冥福をお祈りする。