錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

錦之助映画祭り2010日誌(11月22日)

2010-11-25 03:57:20 | 錦之助映画祭り
 22日(月)、昨夜は疲れて9時ごろに寝たので、今朝は4時半に目が覚めてしまった。今日のトーク・ゲストは尾形伸之介さん。尾形さんに前から頼まれていたのだが、サイン会の時に、尾形さん自筆自画の「宮本武蔵と佐々木小次郎 船島の勝負」の小冊子をお客さんに配りたいとおっしゃるので、その小冊子(26ページ)をコピーして40部作る。手作業で3時間ほどかかる。
 朝一番で新文芸坐へ行く。10時半に到着。お客さんの入りは上々。8割くらいか。三日目の金曜日からお客さんの数が増えている。ただし、夕方前のニ廻り目までで、夜は3割くらいの入りで、さびしい。年配の観客が多いので仕方がないが、サラリーマンや学生は少ない。
 
 まず『弥太郎笠』を鑑賞。錦之助ファンならまず全員が、大、大、大好きな映画だ。『弥太郎笠』の錦ちゃんのカッコ良さは抜群である。うっとりと見とれながら時を忘れて観てしまう。何度観ても飽きないし、こういう作品を名作と呼ぶのだろう。錦ちゃんの代表作の一本で、かつマキノ雅弘監督の名作の一本であることに間違いない。
 江戸前の颯爽とした錦ちゃんが、マキノのこってりした浪花節的芝居に不思議なほどマッチするのはなぜだろう。錦之助主演のマキノ作品は、サビの効いた大阪鮨、アジのたたきとバッテラ鮨を一緒に食べたような味覚とでも言おうか、絶妙な取り合わせなのである。『弥太郎笠』には、きっとほかの俳優が演じたらキザになったり野暮になったりして見せ場にならないような場面でも、錦之助がやるから、カッコ良く粋に見えるような場面がたくさんある。マキノ演出のくどさも、錦之助だからかえって効果を発揮している場面も多い。錦ちゃんが照れくさそうに演じているシーン(例えば、丘チンと盆踊りを踊るところ)がほほえましく魅力的だし、錦ちゃんが本気を出し、乗りに乗って演じているシーン(例えば、お神楽の大八一家へ乗り込んで啖呵を切り、子分をやり込めるところ)がしびれるほど素晴らしい。スカッとする。観る者の心をとろけさせるあの魅力、日本晴れのようなあの明るさと輝き、一陣の風が吹きすぎていくようなあの気風の良さは、錦之助ならではの個性で、これほどまで天賦のスター性を備えた俳優はほかにいないと思う。また、マキノ雅弘監督のメリハリの利いた演出に応え、錦ちゃんほどサマになった俳優もいないと思う。
 
 12時半ごろ『弥太郎笠』終了。尾形さんがすでにいらしていたので、ご挨拶し、今度は尾形さんと一緒に『徳川家康』を鑑賞する。こちらは、伊藤大輔監督の重厚で中身の濃い作品。歴史物の大河ドラマである。俳優がみな熱演しているので、息を抜く暇もない。勿論、尾形さんも大熱演。尾形さんは、松平家(後の徳川家)直参の三河武士の一人で、竹千代君を護衛して送っていく途中で、君を誘拐され、敵と戦い、討たれてしまう。波打ち際で、槍を突き刺し自害するシーンは壮絶で、尾形さん出演の名場面に数えられると思う。錦ちゃんの信長も貫禄十分で、見ごたえ十分だった。ニュープリントの色調も文句なし。
 15時半から尾形さんのトーク。聞き手は私。今日はキャメラマンの宮坂さんが都合が悪くて来場できないので、ビデオ撮影を大川さんにお願いする。尾形さんは、新文芸坐でのトークショーではいつもテンションが上り、話に熱が入る。今日は、刀をお持ちいただいたので、「子連れ狼」で拝一刀を演じた錦之助の殺陣の特長を実演してくださった。
 サイン会の後、尾形さんが『弥太郎笠』もご覧になりたいとおっしゃるので、館内にまた案内する。私は休憩がてら、外へ出て喫茶店で軽食を取る。
 映画を観終わった尾形さんをお誘いして、西奈美さん、町田さん、柴田さんと近くのそば屋でお酒を飲みながら1時間半ほど歓談。
 尾形さんをお見送りし、その後、錦之助映画ファンの会の仲間6人と合流し、場所を変えて1時間ほど歓談。飯田橋に帰ったのは夜の11時半。
 
 
 


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2 コメント

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56年前の映画に (やっlちゃん)
2010-11-25 09:47:20
高速バスに乗って新文芸座へ。錦ちゃんの初出演のひよどり草紙 観てきました。隠密七生記も、大型画面は迫力ありますね。
背寒さん 有難うございました。
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どうも! (背寒)
2010-11-26 10:14:27
どちらから観にいらしたのか分かりませんが、「ひよどり草紙」と「隠密七生記」の2本、十分楽しまれてご覧になったようで、良かったです。有意義な一日を過ごされ、私も嬉しく思います。
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