錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

錦之助映画祭り2010日誌(11月21日)

2010-11-25 00:33:38 | 錦之助映画祭り
 21日の日曜。5日間が終り、今日は中日で、上映作品は錦之助映画ファンの会寄贈ニュープリントの『忠臣蔵』。錦ちゃんが浅野内匠頭を演じた作品である。3時間を越す大作で、櫻花の巻と菊花の巻の二部構成。錦ちゃんは櫻花の巻しか出ていないので、ファンの会の会員の中には、前半だけニュープリントにして上映すれば良いという意見もあった。しかし、そんなこと、出来るわけがない。東映本社も映画館も絶対に承諾しないと思う。こういう錦ちゃんファンの身勝手な意見も分からないことはないが、現実を認識してほしい。私だって、東映本社が半分でもお金を出して、ニュープリント制作に協力してくれればどんなに良いことかと思うのだが、東映にそんな気がないことは今更言うまでもない。あるいは、橋蔵ファン、ひばりファン、千代之介ファンなどが少しでも寄付金を出してくれたら助かるのになーとも思うが、だいたいファン同士の連携ほど難しいことはないし、今、錦之助映画ファンの会がやっているように、寄付金を集めてニュープリントを制作し上映活動を行うことに、理解と協力は得られないだろう。橋蔵ファン、ひばりファン、千代之介ファンは、ともかく出演作だけでいいから、入場料を払って観に来てくれれば良いと思っている。
 さて、今日は『忠臣蔵』の一本立て。どのくらいお客さんが入るか心配だったので、朝一番の上映に間に合うように新文芸坐へ行く。嬉しいことにほぼ満員。朝一の上映ではこれまで一番多かったのではあるまいか。ニュープリントで、約50年ぶりにスクリーンにお目見えした『忠臣蔵』である。さすがにお客さんの入りが違う。それも、圧倒的に男性が多い。年配の男性ばかりだ。錦ちゃんファンというより東映時代劇ファンがほとんどだと思う。オールスター映画を懐かしく思い、皆さん足を運んだのだろう。
 ニュープリントは、やや青みがかり、コントラストも甘くなっていた。特に前半にそうだった。もうネガが劣化しているのだ。でも、今回ニュープリントにしておいて良かったと思う。ネガの劣化はどんどん進んでいくからだ。ニュープリントに焼いておけば、20年以上は持つであろうし、いつでもスクリーンで上映できる。ただし、東映がこのプリントをジャンクしない限りでの話である。そして、新文芸坐のように、こうした映画を上映する名画座が今後も存続していればの話である。(この点、どうも私は悲観的にならざるを得ない。20年後、いや10年後のこの国日本がどうなっているか、悪い予想しか浮ばない……。)
 『忠臣蔵』を一回半観て(櫻花の巻を二回観て)、映画館を出る。だんだん疲れが蓄積して、映画を観る集中力も欠けてきた。それに、昨日『反逆兒』を観たせいか、どうも作品的に見劣りを感じてしまった。錦ちゃんが切腹してからはあまり見どころもなく、退屈に感じた。千恵蔵の大石内蔵助は力みすぎ。「菊花の巻」は、ひばりちゃんが出すぎで、ストーリーが歪んでしまったと思う。大川恵子の内匠頭夫人(阿久里、瑤泉院)は美しく、最高だと思う。 



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