錦之助ざんまい

時代劇のスーパースター中村錦之助(萬屋錦之介)の出演した映画について、感想や監督・共演者のことなどを書いていきます。

新年を迎えて

2016-01-02 08:14:11 | 錦之助ファン、雑記
あけましておめでとうございます。
                               平成28年元旦


「寿うつぼ猿」七代目坂東三津五郎と初代中村錦之助 / 昭和12年4月、歌舞伎座

 今年は申年ですが、錦之助も昭和7年の申年生まれなので、存命だったならば今年84歳を迎えることになるはずでした。
 上に掲げた写真は、錦之助が4歳の時、歌舞伎座の舞台で演じた子猿です。この時のエピソードは、錦之助自身も自伝に書いていますし、それを参考にして私も「錦之助伝・上巻」にかなり脚色して書きました。
 後年、錦之助は『遠州森の石松』の中で猿に扮して踊ります。あれは監督のマキノ雅弘の十八番の隠し芸で、錦之助はマキノ監督に教わって踊ったとのことです。「堀川猿廻しの段」という演題だそうで、「お猿はめでたやなァ…」という義太夫の唄い出しから始まります、讃岐の金毘羅さまの近くの女郎屋で丘さとみの夕顔さんと一夜を過ごした翌朝、寝坊をした錦ちゃんの石松がやり手ババア(赤木春恵)に起され、庭にいる女郎たちからも冷やかされ、照れ隠しに猿踊りをやるわけですが、念願成就した前夜の嬉しさがよく表されていました。庭に面した二階の欄干を伝わりながら、猿真似する錦ちゃんの顔つき、手つきがケッサクでした。

 書庫に「うまれどし 相性と性格」という古い本があったので引っ張り出して、「申年」のところを読んでみると、こんなことが書いてありました。
――この年の人は、才智縦横の秀才型。口八丁手八丁の頓智型。若年は、血が溢れ、活気が溢れ、正義心が非常に強く、闘争姿勢になります。反面、すこぶる家庭的な、こまめな優しさがあって、人の真似できない親切をつくします。話好きという点では、座談の名手になり、時にこれが昂ずると、議論好きにまで発展し、開けっぴろげの天真爛漫が、時たま誤解を招くことにもなります。根はこれほど魅力的な善人はなく、感情家のことだけに、ちょっとのことですぐ怒る点があっても、善良さに変りはありません。天性気品がそなわって、高雅な人か、孤高な人か、風格のある人を見つけたら、「申年」と思って、間違いありません。内心に自己を恃すること大きく、気の弱いわりに、誇り高い面があります。また、若年、才気縦横に暴れまわっていた人が、ヒョイと宗教的に変化したり、若年と中年では性格に違いが生じるのがこの年です。多様性という変化の仕方と違って、ムードは崩さず変るのです。
――この年の男性は、話し好き、遊び好き、活発な行動力の諸要素から、一見豪放磊落のように見られがちです。ところがよく観察していくと、あんがい気の弱い面があることに気がつきます。押し切ってしまえない弱さがあります。理知で判断する人の場合にはない感情家の弱さがあるのです。こうした性格の特徴から、相性のいい女性は、感情の振幅によって主人の心を乱さない人がいちばんだという結論が出てきます。それには「申年」の男性よりも一枚も二枚も上手の女性か、反対に主人を立てていこうとする女性しかありません。

 なんだか錦之助の性格と相性にぴったりなので、感心してしまいました。

 ところで私は辰年で、性格は朴訥詩人学芸型だそうです。
 運勢占いが好きな知人に言わせると、昨年の私は運気が下がっていたけれども、今年は上昇運にあるそうです。
 確かに昨年は集中力持続力とも不調で、たいした成果も上げられませんでした。錦之助とフランス映画の間を行ったり来たりしていました。錦之助映画ファンの会のつどいも5月末に一回やっただけで、他の上映活動にも一切関与しませんでした。夏はジャン・ギャバンの研究に専念していました。秋からは、錦之助が萬屋錦之介になってからのことをずっと調べていましたが、途中でやる気をなくし、中断したままです。昨年12月に時代劇専門チャンネルの「おにわばん」に出演し、クリスマスの翌日に送ってきた録画DVDを見ましたが、1時間以上話したのが3分ほどに編集され、いささか不本意でした。(コメントを下さった町田さん、桜井さん、ありがとうございました。)

 年も変わったことですし、今年は気合いを入れて、「錦之助伝・下巻」を書き継いで、なんとか本を完成させようと思っています。
 この「錦之助ざんまい」も昨年よりもずっと充実させて、書いていくつもりなので、ご愛読のほどよろしくお願いします。

 

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2 コメント

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初めまして (ままごと座)
2019-07-28 10:37:44
これだけの内容のブログを無料で公開して下さっていることに感謝申し上げます。楽しかった子供時代にグイと連れ戻して頂いた気分です。

小学二年で「里見八犬伝」を見て犬飼現八に心を打たれ、暗くて怖かった映画館にも通うようになりました。小学生で錦の会員になって現金書留の使い方を覚え、撮影所に見学を申し込んで博多から夜行で京都にも参りました。

しかし中学生になると、東映の変化、錦ちゃんの変化で、出来てすぐのATG会員になり、日仏のヌーベルバーグを見るように自分も変化しました。錦ちゃんが亡くなったときは友人たちから知らせが入りましたが、よそごととしか思えませんでした。

それがある方向から背寒様のブログにたどり着き、毎日読ませて頂いております。まだ全部は読み切れておりませんが、これからあれこれの記事にコメントを突っ込ませて頂きたくなっております。
どうぞお許し下さい。
こちらこそ、どうぞよろしく (背寒)
2019-07-30 18:10:15
ご愛読ありがとうございます。
ずいぶん前に書いた記事ばかりで、もう何を書いたか忘れてしまった感じです。
テンションが高く、熱が入り過ぎている文章もあるかと思いますが、ご容赦ください。

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