ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演、『ダーク・シャドウ』、5/26、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野にて鑑賞。2012年20本目。
最初に断っておくと、まったく面白くないというわけではなかったし、もし観に行きたいっていう人がいたら、別段止めたりはしない。
ただ、この作品をティム・バートンが監督したことは些か複雑な思いがしたかなぁ。
ティム・バートンの二十作近い監督作の中で、最高傑作はやっぱり『シザー・ハンズ』であり、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』だと思う(正確には『ナイトメア~』は監督作ではないのだけれど)。
それらの作品の中で、物語は虐げられた者や闇の世界に住む住人の視点で語れていた。
それによって作品はそこはかとない深い感動を生み出していた。
さて、本作の主人公バーナバス・コリンズはヴァンパイアである。つまりは闇の世界の住人である。
しかし彼が虐げられた者かというとそういうことはまったくない。
彼は魔女であるアンジェリークによってヴァンパイアにされてしまった。
もし彼女がまったくの逆恨みでバーナバスをヴァンパイアにしたのであれば、バーナバスは被害者であり、彼に感情移入することも出来る。
だが、そんなことはまったくなく、バーナバスはアンジェリークを散々弄んだ末、「愛していると言って」と懇願する彼女に「愛しているとは言えない。言えば嘘をつくことになるから」などとひどい台詞を吐き、ボロ雑巾のようにあっさりと彼女を捨て、別の女性を運命の相手として選ぶのだ。
自分はフェミニストでも何でもないけれど、バーナバスはどうしようもないクソ野郎だとしか言いようがないし、彼がどれほどの責め苦を受けようがそれは自業自得であり、彼の一族が没落するのもある意味当然のことだと思う。
アンジェリークのことを愛していないのであれば、バーナバスは最初から彼女を相手にしなければいいだけの話だ。
ネタバレになって恐縮だが、物語はバーナバスにとって恐ろしく都合の良い結末を迎える。
それはつまりアンジェリークの想いは何一つ報われなかったということでもある。
本作は奇妙奇天烈な登場人物が織りなすゴシックなダークファンタジーで、一見すると如何にもティム・バートンらしい作品のように思える。
だが、アンジェリークの扱いや安直なハッピーエンドなどは、初期のティム・バートン作品からは思いも寄らぬものばかりだ。
その作家性の変化を良いものとして歓迎する人もいるかもしれないが、自分はティム・バートンもいよいよ薄っぺらい作品を作るようになってしまったなぁと思わざるを得ない。
もう彼の作品を観ないでもいいかな、と思う。
お気に入り度は★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
最初に断っておくと、まったく面白くないというわけではなかったし、もし観に行きたいっていう人がいたら、別段止めたりはしない。
ただ、この作品をティム・バートンが監督したことは些か複雑な思いがしたかなぁ。
ティム・バートンの二十作近い監督作の中で、最高傑作はやっぱり『シザー・ハンズ』であり、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』だと思う(正確には『ナイトメア~』は監督作ではないのだけれど)。
それらの作品の中で、物語は虐げられた者や闇の世界に住む住人の視点で語れていた。
それによって作品はそこはかとない深い感動を生み出していた。
さて、本作の主人公バーナバス・コリンズはヴァンパイアである。つまりは闇の世界の住人である。
しかし彼が虐げられた者かというとそういうことはまったくない。
彼は魔女であるアンジェリークによってヴァンパイアにされてしまった。
もし彼女がまったくの逆恨みでバーナバスをヴァンパイアにしたのであれば、バーナバスは被害者であり、彼に感情移入することも出来る。
だが、そんなことはまったくなく、バーナバスはアンジェリークを散々弄んだ末、「愛していると言って」と懇願する彼女に「愛しているとは言えない。言えば嘘をつくことになるから」などとひどい台詞を吐き、ボロ雑巾のようにあっさりと彼女を捨て、別の女性を運命の相手として選ぶのだ。
自分はフェミニストでも何でもないけれど、バーナバスはどうしようもないクソ野郎だとしか言いようがないし、彼がどれほどの責め苦を受けようがそれは自業自得であり、彼の一族が没落するのもある意味当然のことだと思う。
アンジェリークのことを愛していないのであれば、バーナバスは最初から彼女を相手にしなければいいだけの話だ。
ネタバレになって恐縮だが、物語はバーナバスにとって恐ろしく都合の良い結末を迎える。
それはつまりアンジェリークの想いは何一つ報われなかったということでもある。
本作は奇妙奇天烈な登場人物が織りなすゴシックなダークファンタジーで、一見すると如何にもティム・バートンらしい作品のように思える。
だが、アンジェリークの扱いや安直なハッピーエンドなどは、初期のティム・バートン作品からは思いも寄らぬものばかりだ。
その作家性の変化を良いものとして歓迎する人もいるかもしれないが、自分はティム・バートンもいよいよ薄っぺらい作品を作るようになってしまったなぁと思わざるを得ない。
もう彼の作品を観ないでもいいかな、と思う。
お気に入り度は★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。