この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

まさか復帰するとは思わなかった!筒井哲也著『予告犯』。

2012-05-05 22:09:48 | 漫画・アニメ
 『失踪日記』の著者である吾妻ひでおの例を持ち出すまでもなく、失踪する漫画家は多い。
 失踪、といっても別段住んでる場所を知ってるわけではないので、この場合、何ら事情説明のない長期休載のことであるが。

 今個人的に一番気になる失踪漫画家は『喧嘩商売』の木多康昭だ。
 『喧嘩商売』はジャンル的にいうと格闘漫画なのだが、ギャグパートとシリアスパートの配分が絶妙で、世界で一番強い男を決めるトーナメント戦に出場する十六人が選出されたところで、休載した。
 それが2010年の秋のことで、翌2011年の2月に連載再開を告知しておきながら、2012年5月現在も連載には至っていない。

 多くの格闘漫画が、何だかんだいろいろあっても最終的に主人公が勝っちゃうのに比べ、『喧嘩商売』は必ずしも主人公が勝たないのが特徴である。
 というか、主人公以外の登場人物が、端役に至るまで濃すぎるよ!!
 余命一年の末期癌患者や左手首が欠損している障害者など、十六人のうちまともな奴は一人もいなくて、誰が当て馬なのか全く読めず、この先どうなるんだろう?と再開を待ち望んでいたのだけれど、未だその一報は届いていない。
 たぶん、、、再開する気、ないよね?
 ファンがそう思ったとしても仕方のないことだと思う。

 さて、木多康昭と同じぐらい復帰することはないだろうと思っていたのが筒井哲也である。
 何しろ前作を発表して五年、新作を発表してなかったので、さすがに漫画家を引退してしまったのだろうと思って、彼の代表作である『マンホール』も知人に譲ってしまった。
 すごく好きな作品ではあったのだけれど、家にあると何だか悲しい気分になってしまったので。

 その筒井哲也が戻ってきたのだ、それも超絶的な傑作を引っ提げて。
 その傑作のタイトルは『予告犯』
 世の中には漫画に勢いを重視する人がいる。また、連載しながら、今後の展開や結末を考える漫画家も多いと思う。
 その点、筒井哲也の漫画に勢いはない。あるのは緻密さだ。
 おそらく彼は第一話を描いた時点で最終話までの展開、そして結末を考え抜いている。
 自分はやはり彼のような創作スタイルの作家が好きだ。

 作品はインターネットを用いたテロリストと、テロリストを追うサイバー犯罪捜査チームとの闘いが描かれている。
 連載されているのがジャンプ改などというマイナーな雑誌なので(それでもこれまで彼が連載した雑誌に比べるとメジャーなのだけれど)、単行本を手に入れるだけでもすごく苦労したのだけれど(密林書店に注文すれば簡単に購入できるのはもちろん知っているけど、自分は基本的に本は本屋で買いたい主義なのだ。例えるならヘリコプターで富士山の頂上に行くのも、自分の足で登るのも、富士山の頂上に行くこと自体は変わりないが、感動がより多いのは明らかに後者だろうから。)、でも苦労した甲斐があった!!
 めちゃめちゃ面白かった!!

 ほんと、復帰を信じきれずに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 『マンホール』、改めて買い直そうかな…。
コメント (2)
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