この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

やっぱりフィンチャーはスゴイね、映画『ドラゴン・タトゥーの女』。

2012-02-11 23:01:33 | 新作映画
 ダニエル・クレイグ主演、デヴィッド・フィンチャー監督、『ドラゴン・タトゥーの女』、2/11、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野にて鑑賞。2012年4本目。


 新作が公開されたら何はともあれ観に行くことにしているフィンチャーの最新作『ドラゴン・タトゥーの女』を観てきました。
 原作は世界的ベストセラー『ミレニアム』シリーズ三部作の第一作『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』なのですが、ぶっちゃけ自分は原作の方はそれほど高くは評価していません。
 確かにヒロインのリスベット・サランデルはすごく魅力的に描かれていて、彼女の凄惨な過去、そして彼女を襲う様々な災厄には読んでいて引きこまれるものがあります。
 でも、、、ときにそれがあざといように感じられることがあったんですよね。あざといというか、作者の意図が見え隠れするというか。
 例えば、第二作『ミレニアム2 火と戯れる女』で、現場に彼女の指紋が付いた拳銃があったことから殺人事件の被疑者として警察に追われることになります。
 彼女は恐ろしく頭の切れる人間として書かれていますから、自分は真犯人がどのようにして彼女を罠にはめたのか、興味津々読んでいきました。
 そしたら真相は、忍び込んだ部屋にたまたまあった拳銃を彼女が握り、それを真犯人がたまたま持ち出して、たまたま意図せず現場に残した、というものでした。
 いやいや、それはないって。
 彼女は侵入した部屋に(部屋の主がそのことにまったく気づかないほど)一切痕跡を残さない、という設定なんですが、痕跡は残さないけど、指紋はそこら中にベタベタ残す、というのがまずありえないと思うし、たまたま真犯人がリスベットの指紋が付いた拳銃を殺人の現場に残すというのも出来過ぎだと思うのです。
 何だか、作者が無理矢理彼女を危地に追い込もうとしているように感じられました。
 他にもいくつか強引だなと思う箇所があって、そこまで原作は高く評価が出来なかったのです。

 けれど、自分がそこまで高くは評価できない原作を、自分が贔屓にしているフィンチャーがどう料理するのかには、非常に興味がありました。
 しかし、本作は基本的に原作に忠実に作っているので、原作のツッコミどころもそのまま忠実に再現してありました。
 詳しいことはネタバレになるので省きますが、四十年以上にも渡ってきて凶行を繰り返してきた殺人鬼が油断しすぎ。笑。
 シリアスなサスペンスなのにドリフのコントみたいなシーンがありました。

 などと、ひどく貶しているようですが、全体的にはさすがはフィンチャーだな、と感心するぐらいよく出来てましたよ。
 特に、本作をラブストーリーとして見るとすごく切ないです。
 続編も今から公開が楽しみです(といっても続編をフィンチャーが監督するかどうかは定かではないですが)。


  お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (5)
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