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この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

『ザ・ファイター』、いろいろな意味で無理がある感動作。

2011-03-28 23:36:22 | 新作映画
 デヴィッド・O・ラッセル監督、マーク・ウォルバーグ主演、『ザ・ファイター』、3/26、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野にて鑑賞。2011年12本目。


 最初に断わっておきますが、、『ザ・ファイター』、アカデミー賞6部門にノミネートされるだけあって、決して不出来な作品ではありません。
 誰もがそれなりに感動できる作品に仕上がっています。
 しかしながら、いろいろな意味で無理がある作品のように思えました。

 まず役者陣。
 主演、助演、女優、男優問わず、よくまぁこれだけ芸達者な役者さんばかり集めたもんだよなぁと感心するぐらい上手い俳優が揃っています。
 俳優の質そのものは非常に高い。
 でも、、、やっぱり無理があるんですよね。

 冒頭のインタビューシーンで元天才ボクサーだった(そして今はただのジャンキーである)ディッキーは、弟のミッキーにボクシングを教えたのは自分だ、と豪語します。
 アラフォーのディッキーと31歳のミッキー、およそ年齢差は8年か、9年だと思われます。
 なのですが、ディッキー演じるクリスチャン・ベイルの生まれは1974年1月30日、一方弟のミッキーを演じたマーク・ウォルバーグの生まれは1971年6月5日、そう、弟を演じたウォルバーグの方が実年齢では三歳年上なんです。
 ウォルバーグは決して下手な役者ってわけではありません。
 本作でも地味な性格の主人公を地味に好演していました。
 しかし、如何せん、決して童顔とは言えない彼が、ベイルより八歳年下のキャラを演じるのはどうしたって無理がある、、、ように思えました。
 最後まで自分には二人は同世代に、、、というかもっと正確に言えばミッキーが年上にしか見えませんでした(自分の想像力の欠如のせい?)。

 本作は実在のボクサーを題材にした作品です。
 当然ボクシングの試合があります。
 しかしこれがどうも自分にはリアリティが感じ取れませんでした。
 ボクシングの試合は常に欠かさず見ているというわけではありませんが、本物のボクシングの試合であれば、ワンラウンドワンパンチKOというのでもない限り、例え勝者であっても試合後はまるでお岩さんのように顔を腫らしているものじゃないですか。
 しかし本作では試合後のミッキーの顔が綺麗すぎるんですよね。
 九キロ以上の体重差のある相手にサンドバッグのようにボコボコにされた負け試合の後であっても少し顔が腫れてるかな、ぐらいなんです。
 しかも試合の翌日ぐらいにはフツーに街を出歩いて、恋人と映画まで観に行っちゃう。
 ちょっとありえないよな、と思いました。

 それに肝心のボクシングのファイトシーンそのものも嘘くさいんですよ。
 ミッキーは世界タイトルの前哨戦の前に、収監されていたディッキーから一つの作戦を授かります。
 その作戦とは、顔を打つと見せかけてボディを打つ、名づけて「ヘッド、ボディ作戦」。
 おぃおぃおぃ、そんな単純な作戦で勝てるわけないだろー、と思うんですけど、驚くなかれ、その作戦が功を奏し、ミッキーは見事その試合に勝っちゃう。それどころか世界タイトル戦も同じ作戦で勝っちゃう。
 本作は、実話を元にした作品なので、もしかしたら実際の試合でもその作戦で勝ったのかもしれませんが、少なくとも映画を観る限りは、そんな作戦で勝てるわけがない、無理がある、と思っちゃいました。

 いろいろケチをつけましたけれど、前述通り、本作は基本的に誰もがそれなりに感動できる作品です。
 特に実話を元にした感動作が好き♪って方にはお薦めです。


 お気に入り度は★★、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。 
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『わたしを離さないで』、非常に文学的な香りのする、極めて悪趣味なホラー映画。

2011-03-28 00:18:47 | 新作映画
 カズオ・イシグロ原作、キャリー・マリガン主演、『わたしを離さないで』、3/27、KBCシネマ天神にて鑑賞。2011年12本目。

 まずは閑話休題から。
 本作の前売り券をチケットぴあで購入した時はワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野で観るつもりでした。
 まぁ家から近いシネコンで観る方が何かと都合がいいですからね。
 でも購入した前売り券をよくよく観ると、本券の使用は五月末日まで、みたいな使用期限が書いてあるんですよ(そんな前売り券は初めてだ)。
 で、ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野の公開スケジュールを確認したら、五月二十八日からの二週間限定。
 実質鑑賞日が一日しかない。
 そんなわけで先行して公開されるKBCシネマ天神まではるばる観に行ってきました。
 ワーナー・マイカル・シネマズ筑紫野も最近は公開予定作品のラインナップを見るとかなりバラエティに富んだタイトルが並んでいるんだけど、出来たらもうちょっとだけ公開期間を長くしてほしいなぁ。
 まぁ公開されるだけありがたいと思わなくっちゃいけないんだろうけど(っていうか映画を鑑賞できる環境にあるだけでも、というべきかもしれない)。

 一つ所に子供たちが集められ、特殊な教育を受けさせられる。
 それが戦闘に特化したものであれば『ガンスリンガー・ガール』になるんだろうし、性的な意味合いが強ければ『エコール』(未見です)になるんでしょう。
 本作では教育を受けさせる側の最終目的は子供たちに将来臓器を提供させるため、なんですよね。
 ぶっちゃけそれって賛否両論分かれるホラー映画『マーターズ』同様、非常に悪趣味なものといえると思います。 
 ただ『マーターズ』の場合、悪趣味な最終目的のための過程もやはり悪趣味であったのに比べ、本作では過程が非常に上品ぶった、文学的香りのするものになっています。
 だからこそ余計に不快感が強かったです。
 はっきりいって(最終目的があのようなものであれば)なぜ子供たちに高等な教育を施す必要があるのか、自分にはまるで理解できません。
 ただ子供たちを不必要に苦悩させるためだけに教育を受けさせているように思えました。

 本作を観てもひたすら不快なだけでまるで感動はしませんでした(とはいえ本作の映像美は認めるところです)。
 当然カズオ・イシグロの原作を読む気もさらさらないのですが、原作は文学として非常に高い評価を受けています。
 最終目的が悪趣味なものであっても過程さえ美しく描かれてあれば人々には受けがよいのだ、ということがわかって、最低限自分としては観る価値はあったな、と思います。


 お気に入り度は★、お薦め度は★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (3)
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