この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

シービスケット。

2005-04-06 23:49:44 | 読書
ローラ・ヒレンブランド著、奥田祐士訳、『シービスケット/あるアメリカ競走馬の伝説』を読みました。
松本剛史著『ジョッキー』から続いての競馬物ってことになりますね。
(といっても自分は競馬そのものは一度もやったことはないのですけど。)
競馬を嗜まない自分がなぜこの小説を読む気になったかというと、元々映画『シービスケット』を去年劇場まで観に行って、その時は正直それほど面白いとは思わなかったのですが、何だか物語がずいぶん駆け足で進んでいく感じがして感動に浸るとまではいかなかったのです、ただ映画を観ていて、原作はおそらく非常に良質な感動作に違いないと思わせるものはありました。
そのため文庫化を機に読んでみるか!と思った次第です。

小説を読み終え、自分の直感は間違ってなかったと満足しています。
映画ではほとんど触れられることのなかったエピソードが興味を惹き、また脇役たちが実に魅力的に書かれていました。
中でも驚きなのは、一九二〇年代から三〇年代にかけての、アメリカ競馬ジョッキーたちが置かれた状況の過酷さ。
「脚は一回折ったことがあるし、頭蓋骨も一回割れた。でもひどい怪我なんてしたことがないよ」とうそぶく元騎手。
あるレースで馬から転落し、後続の馬群にふみつけられ、心拍が停止し、医者から死亡宣告すらされるが、奇跡的に蘇生して翌日のレースで見事な騎乗を見せる若きジョッキー。
本当の話だろうかと疑わずにはいられない逸話の目白押しです。
もちろんシービスケットを中心とした本筋の方もべらぼうに面白いです。映画が原作の上澄みでしかなかったということがよくわかります。
宿敵ウォーアドミラルとの決戦は手に汗握る迫力ですし、騎手ポラードの復活劇となるサンタアニタハンデ戦は読んでいて、胸にぐっとくるものがあります。

映画『シービスケット』を観て、面白かった!と思った方にはお勧めです。
もちろん、映画はいまいちだったなぁと思った人でも充分楽しめると思います。自分のように。笑。
コメント
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