ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文藝散歩 「ギリシャ悲劇」

2008年12月06日 | 書評
啓蒙・理性の世紀、紀元前5世紀都市国家アテネの繁栄と没落を描くギリシャ悲劇  第8回

丹下和彦編 「ギリシャ悲劇」 中公新書 (7)


2) アイスキュロス 「オレステイア三部作」ー法の正義  (1)

  アイスキュロス晩年の大作 「オレステイア三部作」が上演されたのは前458年であった。アイスキュロスがこの「オレステイア三部作」で提示しようとしたのは、全ギリシャの文化共同体を支えた市民の価値観であった法の正義の実現過程であったようだ。ペロポネス半島の国アルゴスの盟主アガメムノン一族の血塗られた物語に材をとった「アガメムノン」、「供養する女達」、「慈しみの女神達」からなる三部作の悲劇である。トロイア遠征軍の総大将アガメムノンはアルゴスへの凱旋直後、妻クリュタイメストラとその愛人アイギストトスに惨殺される。時が経ちアガメムノンの息子オレステスが亡命先から帰国し、姉のエレクトラと協力して母クリュタイメストラとその愛人アイギストトスを殺して父の復讐を果たした。しかしオレステスは復讐の女神エリニュスから厳しい追及を受けアテナイに逃れ、そこでに設けられた法廷で裁きを受け無罪とされるというのが全体のストーリーである。


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